totto 2012-06-16 23:39:00
吸収分割承継会社に承継される吸収分割会社の債務のすべてについて、吸収分割会社が重畳的債務引受を行った場合でも、吸収分割承継会社がする吸収分割による変更の登記の申請書には、吸収分割会社が債権者保護手続きを行ったことを証する書面を添付しなければならないということはないのでしょうか。添付する必要があるように思えてます。ご教授下さい。お願い致します。
回答順に表示 新しい回答から表示 参考になった順に表示
tottoさん、商登法のテキストの原文をほぼそのまま載せてみます。 商登法inputⅠP148
:異議を述べることができる債権者⇒分割後、分割会社に対して債務の履行(その債務の保証人として承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む)を請求することができない分割会社の債権者 。 以下の場合には、「分割会社に債務の履行を請求することができる分割会社の債権者」に対しても債権者保護手続きが必要。ア・分割会社が分割と同時に剰余金の配当として分割会社の株主に承継会社の株式のみを現物配当する場合。イ・分割会社が分割と同時に承継会社の株式持分を対価とする全部取得条項付種類株式の取得をさせる場合。(会社789Ⅰ②):
ここからは僕の考えですが、<重畳的債務引受を行った場合>の分割会社の債権者というのは、この文中にある「分割会社に債務の履行を請求することができる分割会社の債権者」に該当するので、『分割会社は、ア又はイの場合には「分割会社に債務の履行を請求することができる債権者」に対しても債権者保護手続きをする必要がある。』これに伴い、分割会社において債権者保護手続きを行ったことを証する書面を添付しなければならないのではないかと思います。
参考になった:2人
franky 2012-06-13 04:52:36
重畳的債務引受とは。=====A社が支払いますということに関して、B社も支払います、ということです。
お金を貸している(売掛金がある)人にとっては、支払う人が増えるので、不利になりません。→保護手続きをする必要はないということです。
参考になった:1人
eikuranana 2012-06-13 08:45:14
tottoさん、こんにちは。frankyさんの記載されているとおり、重畳的債務引受の場合は、分割会社においては、原則として、債権者保護手続は不要です。ただし、アイの場合は、債権者保護手続きが必要となります。これらの場合は、分割会社の財産が減少しますが、アについては、この会社分割の場面では剰余金配当に係る財源規制が及ばず(792②)、イについても、自己株式の有償取得に係る財源規制は及ばない(792②)こととし、その反面、債権者保護手続を要求することで、債権者の保護を考慮しています。よって、これらの場合は、債権者保護手続に関する添付書面が必要となります。なお、免責的債務引受がなされ、かつ、分割会社が債権者との間で連帯保証契約を締結した場合には、当該連帯保証契約を締結した債権者との関係では債権者保護手続は不要ですが、不法行為債権者やその他の知れていない債権者との間では、連帯保証契約を締結することは、事実上不可能であり、不法行為に係る債務をも承継会社に承継させるときには、債権者保護手続をすべての債権者との関係で省略することができるわけではない点にも注意して下さい。 小泉嘉孝
参考になった:5人
koizumi 2012-06-13 11:26:48
小泉先生、いつもお世話になっております。一つ質問があるのですが、ここでいう「不法行為に係る債務をも承継させるときには、債権者保護手続きを全ての債権者との関係で省略することができない」ということは、似たようなもので、『①「分割会社の不法行為債権者」に対しては、「個別催告」が省略できできない。』というものがありますが、これとは別に、『②「不法行為に係る債務をも承継させるときには」不法行為債権者に対してだけではなく、全ての債権者に対して「債権者保護手続き」自体を省略できない。』という認識でよろしいのでしょうか?①については小泉先生の講義でもやりましたので覚えていたのですが、②については、テキストにも載っておらず、小泉先生の講義でも聴いた記憶がなかったものですから、もっと深い論点なのでしょうか?僕の記憶違いで、講義で仰られていたということでしたら申し訳ございません。
franky 2012-06-14 19:16:37
frankyさん、こんにちは。その通りです。①の不法行為債権者への個別催告省略不可とは別の論点です(講義ではお話ししていません)。ただ、気を付けなければならないのは、「不法行為に係る債務をも承継させるときには・・・・すべての債権者との関係で省略できない」ではなく、「すべての債権者との関係で省略できるわけではない」です。つまり、連帯保証契約が締結されているか否かによるので、不法行為債務のみを承継させた場合でない限り、連帯保証契約が締結されている債権者との関係では、債権者保護手続は省略できます。
まとめると、以下の通りです(すべて免責的債務引受の場合)。
a 不法行為債権者:連帯保証契約締結が事実上不可能 ⇒債権者保護手続省略不可 ⇒個別催告も省略不可
b 不法行為債権者以外で、かつ、知れたる債権者:連帯保証契約締結あり ⇒債権者保護手続省略可
c 不法行為債権者以外で、かつ、知れたる債権者:連帯保証契約締結なし ⇒債権者保護手続省略不可
⇒原則:官報+個別催告 例外:官報+日刊新聞又は電子公告⇒個別催告省略可
小泉嘉孝
koizumi 2012-06-16 09:05:30
小泉先生、丁寧な回答をありがとうございます。最初に小泉先生の回答を見たときには、僕の質問の「すべての債権者との関係で省略できない」と、小泉先生の「すべての債権者との関係で省略できるわけではない」の違いが良く分からず困惑しておりましたが、よく見てみると全然違うものなのですね。こういう一つの文言の違いで全く別の意味になってしまうところにも法律の難しさを感じてしまいますが、小泉先生の丁寧な回答のおかげですんなりと理解できました。ただ、一度限りで完璧に理解できるほど単純な論点でもないので、いつも躓く分割会社の債権者保護手続きと併せて覚えられるように、小泉先生がまとめてくださった回答をテキストに書き込ませていただきました。この極板では、小泉先生の丁寧な回答は勿論のこと、他の方の質問や回答も勉強になることばかりで、このような場を提供してくださった小泉先生には深く感謝しております。また質問がありましたら、ご教授宜しくお願い致します。
franky 2012-06-16 22:49:51