司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

会社法/新株発行無効の訴え

feel 2012-06-26 23:40:49

新株発行の無効の訴えの原因で確認したいのですが、以下の解釈で間違えないでしょうか。無効の訴えができる場合は三通り。①株式発行が法令又は定款に違反、もしくは処分が著しく不公正な方法により行われる場合(差止め請求可能状態)で、かつ新株発行事項の通知・公告を欠いているとき。②差止め請求の機会が奪われたとき。③差止め請求をしているにもかかわらず発行されたとき。よろしくお願いします。

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feelさん、こんにちは。新株発行の無効原因は、会社法上規定はなく、解釈に委ねられています。そこで、手続が法令に違反している場合であっても、取引安全との関係で、無効原因となっているか否かを区別していく必要があります。無効事由と認められる代表的なものとして、①定款所定の発行可能株式総数を超過する発行 ②定款の認めていない種類の株式の発行があり、その他にも、③募集株式の発行が、仮処分や判決により差し止められたにも関わらず、それを無視する発行 ④募集事項の通知・公告が必要な場合にこれを欠く発行 ⑤譲渡制限株式である募集株式の発行等に必要な株主総会・種類株主総会の決議に瑕疵がある場合等があります。逆に無効原因とならないと解されているものとして、①公開会社において、取締役会の決議なくして代表取締役が募集株式を発行した場合 ②有利発行において、株主総会の特別決議を欠く場合 ③著しく不公正な方法で募集株式が発行された場合 ④引受人と通謀して著しく不公正な払込金額等で発行した場合等があります。  小泉嘉孝

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koizumi 2012-06-25 13:47:14

小泉先生回答ありがとうございます。最判平成9.1.28で新株発行無効の訴えの原因を『新株発行事項の通知・公告を欠いており、かつ差止事由がある場合』として二つの要因が必要らしいのですが、小泉先生の無効事由の④と組み合わせて解釈すると、<④によって無効にあたり、さらに訴えをするには差止事由が必要>ということなのでしょうか?重ねて質問申し訳ありません。よろしくお願いします。

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feel  2012-06-26 00:21:06

feelさん、こんばんは。上記のうち、学説上、特に争いのあるものは、募集株式の発行が、仮処分により差し止められたにも関わらず、それを無視する発行(上記無効原因となるもの③)、募集事項の通知・公告が必要な場合にこれを欠く発行(上記無効原因となるもの④)、著しく不公正な方法で募集株式が発行された場合(上記無効原因とならないもの③)があります。しかし、判例は、差止めの仮処分に違反した発行を無効とし(最判平5.12.16)、不公正な方法で発行されたこと自体は無効原因とならないとしています(最判平6.7.14)。そして、通知・公告を欠く場合については、折衷説を採用し、feelさんの記載されているとおり、公告又は通知を欠くことは、新株発行差止請求をしたとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合でない限り、新株発行の無効原因となるとしています(最判平9.1.28)。 小泉嘉孝

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koizumi  2012-06-26 23:40:49

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