piyopiyo 2012-07-12 21:16:19
民法第212条
「第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。」
囲繞地通行権について調べてみたところ、権利事態は当然に発生するものの、他の土地の所有者に償金(通行料)を支払うことが前提であるという解説と、実際に損害が発生しなければ償金を支払う必要がないとする解説を見受けるのですが、どちらが正しいのでしょう?(因みに前者の方が圧倒的に多い)
通行すること自体を(他の土地の所有者の所有権を侵害する)損害とするなら、償金を支払う事が前提になるでしょうし、そうでなければ、例えば、他の土地を通行中に何らかの器物を破損したような場合に償金を支払う事になるかと思われます。
そこで質問なのですが、212条にある「損害」というのは、通行そのものも含まれているのでしょうか?
なにぶん素人なもので駄文による質問で恐縮ですが、よろしくお願いします。
piyopiyoさん、こんばんは。これはまたハイレベルな質問ですね。我妻先生が見られても、「君らメチャメチャ勉強しとるなぁ~」と喜んで頂けるかもしれません(笑)。明確な文献は見つかりませんでしたが、試験的には、ここまで突っ込んで問われることはないので、あくまで私見として記載しておきます。まず、論点となるのはpiyopiyoさんの記載されているとおり、ここでの「損害」とは何か?ということになりますが、212条の制度趣旨は、その土地を通行することにより、当該所有者に大なり小なり影響を与えているから、償金を支払わなければならないと説明されている(基本法 コンメンタール参照)ので、通行すること自体で損害を生じさせていると捉えるべきですね。また、たとえば第209条2項では、「隣人が損害を受けたときは、」と規定されているのに対し、第212条は、「損害に対して」と規定し、損害を受けたか否かの区別をしていないこと、さらに、第211条では、「他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない」として、あたかも損害が損害が生じることを前提として(損害が生じない場所と方法を選ぶという選択肢がない)、その中でそれが最も少ないものとしているところからも、通行には、損害が伴うことを予定されていると、私は考えます。 小泉嘉孝
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koizumi 2012-07-12 21:16:19