koizumi 2012-08-08 22:48:20
みなさん、こんにちは。いつも私は質問に答える側ですが、今日は、私の方からみなさんに質問というか、問題を出します。ただ、これはどこかで調べて、正しい答えを書くとかではなく、「これが法的に論点になるんじゃないか!」とパッと思いついたことを自由に書いて下さい(1行とか2行で結構です)。なので、完全な正解も不正解もなく、私がまったく考えてなかったことをみなさんが気づかれるかもしれません。私は、いつも判例や先例を学ぶときに、そこでの「論点」を掴まなきゃダメだと言っていますが、普段から、その論点を捕まえにいく訓練をして、そういう思考回路を自分の中に作ってしまうことは、とても有効な勉強方法です。解説は、次回第6回目の「3分間レッスン」(小泉司法書士予備校Facebookページ)で行います(8月8日UP予定)。 小泉嘉孝
【問】抵当権者Aは債務者兼設定者甲に対する抵当権付被担保債権をBに対して譲渡担保に供した。さて、この場合の登記に関する論点は?
回答順に表示 新しい回答から表示 参考になった順に表示
小泉先生、こんばんは。被担保債権の債権譲渡と質入れは受験時代に勉強しましたが、譲渡担保は初耳です。債権譲渡のように債権が移転するのであれば、随伴性で抵当権も移転し、質入れと同じく担保権の設定に過ぎないとすれば・・・あれっ?、どんな登記になるのでしょう。「質入れ」を「譲渡担保」に代えるとか?
参考になった:0人
Heathcliff 2012-08-06 17:33:46
こんにちは。よろしくお願いいたします。
抵当権は随伴性によりBに移転するため、抵当権の移転登記を申請するのではないでしょうか?
参考になった:0人
barbie 2012-08-06 20:31:43
小泉先生、こんばんは。登記記録に現れるのは、この事実関係では、抵当権のみなので、抵当権に着目します。そして、譲渡担保の法的構成として、①所有権的構成、②担保権的構成の2説が有り、所有権的構成では所有権が移転し、担保権的構成では、所有権移転という外形はあっても、所有権は設定者に帰属したままと考えます。判例がどちらの説か知らないのですが、①では、当然、抵当権の移転登記が必要となり、②では、所有権移転の外形があることにより、抵当権移転登記が必要なのか、実質を見て、抵当権移転登記が必要ないのか、が論点になると思います。
参考になった:0人
image 2012-08-07 05:03:50
Heathcliffさん、imageさんは、共に譲渡担保が持つ特有の法的性質からのアプローチですね。ナイスです!
では、結局、なすべき登記は、被担保債権が移転するか否かにより決定されるということになりますが、barbieさんのように、被担保債権が移転すると判断できる根拠は何かないですか? 譲渡担保なので、条文はないわけですが。 小泉嘉孝
参考になった:0人
koizumi 2012-08-07 10:19:28
被担保債権の譲渡について、証書の無い指名債権の場合は、債権譲渡の債務者に対する対抗要件として、譲渡人からの債務者への通知、or債務者の承諾が有り、第三者に対する対抗要件として、確定日付ある証書による通知or承諾が有ります。このいずれかの対抗用件が備わっているかどうかが、被担保債権が移転したかどうかの判断の一つの根拠材料となるのではないでしょうか?証書のある証券的債権の場合は、その証書がAからBに交付されたかどうかが、被担保債権が移転したかどうかの判断の一つの根拠材料となるのではないでしょうか?
参考になった:0人
image 2012-08-07 11:34:30
権利の移転と対抗要件の具備は、効果としては分けて考える必要がありますが、そこをリンクさせて答えを導こうとするimageさんの発想はいいですね。参考になるのは、やはり最判平13.11.22の判例だと私は考えます。これは、いわゆる集合債権についての譲渡担保契約がなされた場合の第三者対抗要件について、指名債権譲渡の対抗要件(民467Ⅱ)の方法によることができることを明らかにした判例ですが、この判例の中で「この場合は、既に生じ、又は将来生ずべき債権は、(中略)確定的に譲渡されており、・・・・(中略)したがって、・・・指名債権譲渡の対抗要件(民法467条2項)の方法によることができるのであり、・・・・」と示されています。よって、債権が譲渡担保に供された場合には、譲渡担保権者に対し当該債権が確定的に移転しているものと判断するべきと考えます。では、次の段階に進みましょう。この被担保債権の移転により、随伴性から、抵当権も移転することになりますが、この場合の登記原因はどうなるでしょう?①「年月日債権譲渡」 ②「年月日譲渡担保」 ③「年月日債権譲渡担保」 もちろん、なぜそのように記載すべきかという理由を考えて下さい。 小泉嘉孝
参考になった:2人
koizumi 2012-08-07 22:15:14
不動産登記法上求められる原因関係は、あくまで、債権の譲渡に伴い随伴性により抵当権が移転するということだけですから、実体上、譲渡担保契約により、債権譲渡の結果が生じたとしても、不動産登記法上、純粋に求められる原因関係は、債権譲渡だけと考え、①「年月日債権譲渡」となるのかもしれません。一方、債権譲渡はあくまで譲渡担保契約の結果であり、債権譲渡契約は存在せず、譲渡担保契約しか実体関係は存在しないと考えれば、②「年月日譲渡担保」③「年月日債権譲渡担保」となるのかもしれません。しかし、そもそも実体上譲渡担保契約と債権譲渡契約が併存していると考えるべきか、債権譲渡は譲渡担保契約の結果であり、債権譲渡契約は独立して存在しないと考えるべきか、分かりません。
参考になった:0人
image 2012-08-08 00:23:23
良い視点での分析だと思います。では、そもそも「登記原因」とは何かという原点に戻ってみましょう。登記原因は、「登記の原因となる事実又は法律行為」(不登5Ⅱ)でした。とすると、今回は、被担保債権が譲渡担保に供されたことにより、その随伴性によって、抵当権が移転したということですから、登記の原因となる法律行為は、「譲渡担保」だということになります。被担保債権の移転という点で、債権譲渡と同様の結果をもたらしたとしても、やはり直接の法律行為は、「譲渡担保」です。しかし、所有権が譲渡担保の対象となった場合のように単に「譲渡担保」とするのでは不十分だとされています。これは、登記原因が単に「年月日譲渡担保」では、譲渡担保の対象が、被担保債権であるのか、抵当権であるのかが不明確となるからだと考えられます。譲渡担保の目的となる財産は、当然物権も含まれており、これは「所有権」に限定されているわけではなく、「抵当権」も対象となります。確かに抵当権のみを譲渡担保に供した場合は、「抵当権の処分」となり、実体上、抵当権の移転を生じさせるものではないといえますが、混乱を生じさせないためにも、登記原因は、「年月日債権譲渡担保」(年月日は、債権譲渡担保契約成立日)とするべき旨が登記研究754号-カウンター相談に示されています。 では、これらを踏まえて、「3分間レッスン」の解説を見てみましょう。 小泉嘉孝
参考になった:0人
koizumi 2012-08-08 12:07:56
「抵当権のみを譲渡担保に供した場合は、「抵当権の処分」となり、実体上、抵当権の移転を生じさせるものではないといえます」ということの意味がよく分からないのですが、抵当権のみを譲渡担保に供した場合は、元本確定前の抵当権の処分(全部譲渡)と考え、実体上、元の抵当権者の抵当権は消滅し、新しい抵当権者の抵当権が新しく生じるようなこととなり、移転ではないと考えるべきなのでしょうか?また、このような、被担保債権を移転しない、抵当権のみを譲渡担保の対象とする、元本確定前の抵当権の処分(全部譲渡)による譲渡担保契約も可能なのでしょうか?
参考になった:0人
image 2012-08-08 17:49:43
抵当権ですから、根抵当権のように元本確定の前後という分け方はありません。ここでの処分とは、民法376条の処分のことであり、転抵当や抵当権のみの譲渡や放棄等で、抵当権自体は被担保債権と独立して移転するものではない、というのと同じように考えます。 小泉嘉孝
koizumi 2012-08-08 18:17:15
小泉先生こんばんわ。
所有権の場合は、譲渡担保を所有権移転説と考え、甲区で所有権移転登記をすると考えると、抵当権の所有権移転、すなわち、抵当権移転登記をするべきだと思います。
参考になった:0人
ymryua 2012-08-08 22:48:20