ps 2012-08-22 04:32:00
所有権保存の仮登記について質問させて下さい。
所有権保存の仮登記は、仮登記を命ずる処分の決定書の正本を添付した仮登記権利者からの単独申請だけに限定していますが、その場合の登録免許税の税率は1000分の2で正しいでしょうか?
また、初級講座の不登法(19)-6、P37のdでは『所有権保存の2号仮登記は不可 ※所有権保存の請求権はありえない』と記載されています
この理由ですが、
保存登記は、申請適格者が法定されていることと、単独申請であることから、仮登記をする必要性、実益がない、形式的に不可能ということでしょうか?
たとえば、表題部所有者甲から売買予約をした乙はその請求権を仮登記する場合、1番で保存登記 甲、2番で所有権移転請求権仮登記 乙をいれるのが原則的な流れですよね。
そんな甲が保存登記をしない場合は、乙は実体上所有権はまだ取得していない以上、法74条1項2号は使えない、つまりP37のaのような保存の仮登記は使えないということでしょうか?
あくまでもP37のaは、実体上の所有権者が法74条1項2号の保存登記をいれるまで間の救済策として特別に認められてるという捉え方でよいでしょうか?
もし、そうであれば所有権保存の仮登記自体、P37のaの場合のみに成り立つ登記になりますが、
ただ、ある参考書に〔所有権保存(請求権)の仮登記 税率1000分の2〕という記載がありました。
果たして、所有権保存仮登記はどう考えればよいのでしょうか??
psさん、こんにちは。まず、所有権保存仮登記の登録免許税の税率は、1000分の2で正しいです(登録免許税法別表第一第一号(十二)イ-以下「別表」という。)。この別表に基づけば、「所有権の保存の仮登記又は保存の請求権の保全のための仮登記」と規定されているため、その参考書にも〔所有権保存(請求権)の仮登記 税率1000分の2〕と記載されていると考えます。ところが、この別表に規定されているものが、現実にすべて登記の対象になっているかというと、実はこれは別に考えなければなりません。たとえば、別表第一第一号(十二)ロ(1)には、「相続又は法人の合併による移転の仮登記又は移転の請求権の保全のための仮登記」と規定されていますが、もちろん、この登記は現在も認められていません。というように、別表は、現時点でその登記が認められているか否かを区別せず、包括的・網羅的に規定しているところがあるということを理解しておく必要があります。
次に、psさんが、保存登記ができない理由として挙げられているものは、場面を区別して押さえておく必要があります。まず、不動産の原始取得者が所有権保存の仮登記ができないのは、その原始取得は登記なくして対抗できるので、仮登記を認める実益がないという理由があてはまります。また、表題部所有者からの承継取得者については、所有権を確認する判決が得られていない段階での保存の仮登記には実益があり、これが1号仮登記として認められます。さらに、これは単独申請であり、登記義務者の(添付情報を含めた)一切の関与がないことから、登記の真実性を担保するために、「仮登記を命ずる処分の決定書の正本」を提供する場合に限定しています。
一方、もともと2号仮登記は、将来その権利変動を生じさせる請求権が法律上発生している場合等に、その順位を保全するために認められているものですが、表題部所有者甲から売買予約により、乙がその請求権を取得したという場面では、乙は「所有権移転請求権」を取得したのであり、そもそもが乙の所有権保存登記をなすべき場面ではありません。これが、所有権移転の請求権はあり得ても、所有権保存の請求権はあり得ないということです。 小泉嘉孝
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koizumi 2012-08-13 11:56:35