koizumi 2012-08-28 19:50:23
みなさん、こんにちは。今回は、読替規定ある遺言書について検討します。
【問い】孫に遺産を承継させたいと考え、その孫を受遺者としつつも、仮に子が遺言者よりも先に死亡し、その孫が代襲相続により推定相続人となる場合を想定し、その場合には、当該孫に「相続させる」とする。そんな読替規定ある遺言書に基づき登記を申請することは可能か?
解説は、次回第13回目の「3分間レッスン」で行います(8月28日UP予定)。 小泉嘉孝
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可能だと思います 遺言者の意思としてはとにかく孫に財産を渡したいのです 仮に子がいつ死亡するかという偶然の事情により孫に財産譲渡できないとすれば遺言者のほんとうの意思に反することになります 現に先例では子が生きてるときに文言が相続させるとなってても遺贈として有効となってます
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kuril 2012-08-25 14:45:35
こんにちわ。
初めての投稿です。
文章を書くのは得意ではないのですが、近年こういった形式の出題も増えていますし、何事も練習と思い、自分なりに考察してみました。
この設問においての論点は二つあると思います。
①読み替え規定ある遺言は可能か。
②孫に代襲相続が生じた場合の「相続させる」という文言を用いての遺言は可能か。
①は、条件付の遺言も可能とされていること等から考えても、遺言者の意志を尊重して可能であると考えます。
次に②については、
遺言者が遺言においてなしうる行為は限られており、この場合「相続させる」との文言を遺産分割方法の指定がなされたと考えることができます。
遺産分割方法の指定と解することにより、相続開始後直ちに相続受益者に当該相続財産が帰属することとなり直接の相続登記が可能となると考えます。
以上より、当該遺言書に基づいて登記を申請することは可能です。
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nijntje 2012-08-25 17:51:19
☆みなさん、非常に的確な判断です。ほとんど私の解説する部分がありません(笑)。まず、遺言解釈の基本は、kurilさんの記載されているとおり、遺言者の意思を合理的に探求し、できる限り適法有効なものとして解釈すべきであるということですね(最判昭30.5.10)。そこで、本件では読替の内容として、いわゆる条件が付されているわけですが、遺言に条件を付すこと自体は問題なく、また孫に遺産を承継させたいという遺言者の意思を尊重する観点からも、本件のような読替規定は有効と解されています。また、特定の財産を特定の相続人に相続させるという内容は、「遺産分割方法の指定」となり、被相続人の死亡の時をもって直ちに相続人に承継される点も、nijntjeさんの記載されているとおりです。
では、なぜこのような読替規定を付す必要があるのでしょう。つまり、推定相続人に対しても遺贈を行うことは認められているわけですから、あえて「相続」で登記をすることの登記手続上のメリットは何がありますか?
小泉嘉孝
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koizumi 2012-08-27 12:07:43
例えば、Xが被相続人、Yがその子、Zが孫とすると、相続による場合、XからY、Zと数次相続が1件の申請でできます。(中間省略登記)さらに、この場合の登記原因証明情報としては、X,Y,Zの戸籍謄本等は必要になってくきますが、遺言書は不要である。また、登記済証(登記識別情報)も不要である。
遺贈の場合は、遺贈による所有権移転登記原因証明情報が必要であり、受遺者と遺贈者の共同申請であるため登記済証(登記識別情報)も必要である。遺言執行者の印鑑証明書も必要。
ということで添付書類が相続の場合、格段に軽減されています。
実際、私も、父が亡くなり、自分で祖母から私への中間省略登記を申請しましたが、建物の登記済証(登記識別情報)は不要でした。単独申請ですものね。登記済証がないというケースや、遺贈の場合、家庭裁判所の検認までいるケースに備えてあえて「相続」で登記するメリットがあると思います。
hounobanin 2012-08-27 23:18:11
小泉先生、こんにちは。推定相続人に対する特定遺贈と相続の登記手続上の違いとしては、仮に遺産の対象が農地であった場合の農地法の許可があると思います。特定遺贈では必要で、相続では不要となります。後は、登録免許税にも違いあると一瞬思いつきましたが、よく考えたら、推定相続人に対する遺贈なので、これを証する情報を提供することで、相続と同じ1000分の4ですね。
hayate 2012-08-28 09:05:15
小泉先生、こんにちは。あえて「相続」で登記することのメリットとしては、「相続させる旨の遺言」は「遺産分割方法の指定」と解され、何らの行為を要せず当然に相続人に承継されるため、更なる遺産分割協議を経る必要がない、そして単独で登記申請ができる、さらに登記なくして第三者に対抗できる、などであるかと考えます。
barbie 2012-08-28 13:16:42
☆ やはり1番大きな違いは、相続登記は単独申請が可能であるということですね。そこから、添付情報として、登記識別情報や印鑑証明書が不要となるというのはhounobaninさんのご指摘のとおりです。農地法の許可の要否についても大きなポイントですね。さらに、登記手続以前に、実体的に考えて、「遺産分割方法の指定」は、登記なくして第三者に対抗できる(最判平14.6.10)なんていうのも、ついつい忘れがちな論点ですね。みなさん、素晴らしいです! 今回は、みなさん冴えてて論点は出尽くした感もありますが、確認として、「3分間レッスン」を見て頂けたらと思います。 小泉嘉孝
koizumi 2012-08-28 19:50:23