司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

【3分】不登法/債務者住所変更と追加設定

koizumi 2012-09-12 14:07:58

今回は、行政区画の変更に伴う債務者の住所変更と根抵当権の追加設定について検討します。

【問い】以下3つのパターンの各結論とそこに差異が生じる場合は、その理由を考えて下さい。

①既登記根抵当権の債務者の住所について、「住所移転」による変更があった場合に、その変更登記をしないまま、変更後の住所で債務者を表示した追加設定は受理されるか?         

②債務者の住所が「住居表示実施」により変更されている場合はどうか?

③債務者の住所について、「区制施行等の地番変更を伴わない行政区画の変更」が行われた場合はどうか?

解説は、次回第17回目の「3分間レッスン」で行います(9月12日UP予定)。  小泉嘉孝

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①抵当権と違い3要件が一致する必要があるので受理されない

②①と同じく本実施がされても当然に既登記分が変更されるわけでないので変更登記してから追加設定登記する必要がある

③同様に商業登記法と異なり当然に変更されるわけでないので変更登記する必要がある

いずれも証明書があれば免税される

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kuril 2012-09-09 14:27:13

①根抵当権は、被担保債権との関係で付従性や随伴性が切り離されているため、債務者の同一性は抵当権より要求されているため住所移転の変更も必要であると考えます。

②住居表示実施は、市町村が行う街区と建物に番号を付けるため、市町村(行政)側の担当者レベルの取り扱い方もあり、法務局で特定するのは難しいことがあるため、変更登記を行ってから追加設定が必要と考えます。

余談ですが、大阪市の住居表示は大阪城中心に番号付けされていますし、住所番号の付け方も玄関が南向きか北向き等で番号が変わるなど若干自治体によって取り扱いが異なっています。

③「区制施行等の地番変更を伴わない行政区画の変更」は、公知の事実として、登記官も認識していると思われます。また表示に関してではあるが、不動産登記規則92条でみなし規定があるため、変更登記をせずに登記ができると考えます。特に市町村合併でニュースになるし、知らないことはないかと考えます。 花田

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hanada 2012-09-09 17:24:56

こんばんわ。結論は、①②は受理されないが③は受理されます。根抵当権を追加設定する場合には、債務の同一性を確認するために債権者・極度額・債務者が先に設定された根抵当権と完全に一致していることが求められます。そこで債務者に住所変更や住居表示による変更があった場合には、追加設定に先立って債務者の変更をしなければ同一性が確認できず、申請は却下されることになります。ところが、③の場合においては、「地番変更を伴わない」行政区画の変更ということですから、変更登記をしなくても同一性は登記官にも明らかとなり変更登記を要せずして追加設定登記が受理されることになります。以上から、その差異は債務者の住所変更等を経た債務の同一性が、登記官においても明らかかどうかによって生じるのではないでしょうか。

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nijntje 2012-09-10 23:54:43

☆ みなさん、実に論理的な発想で、いいですね。
まず、みなさんが記載されているとおり、純粋共同根抵当権では、極度額・債権の範囲・債務者の三要素の同一性が厳格に要求されています。当然、その中の一つである債務者についても、これを特定するための住所と氏名が同一でなければなりません。
そこで、①の「住所移転」があった場合、②の「住居表示実施」があった場合、いずれの場合も、追加設定登記の前提として、それぞれの変更登記を必要とします。
さらに、③の「区制施行等の地番変更を伴わない行政区画の変更」についても、前回勉強したとおり、変更みなしの規定がなくなったことからすると同様に変更登記が必要であると思えそうですが、①②と異なり、その変更は、官報等により告示され、地方自治体のホームページ等を閲覧することで容易に確認できることから、いわゆる「公知の事実」であるといえます。よって、前の登記の債務者変更登記をすることなく、追加設定の登記をすることができるとされています(平22.11.1第2759号)。花田さん、面白い追加情報ありがとうございます(笑)。 小泉嘉孝

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koizumi 2012-09-12 14:07:58

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