司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

【3分】不登法/買戻と登記原因証明情報

koizumi 2012-09-16 11:50:50


 今回は、買戻期間満了と登記原因証明情報の関係について検討しましょう。

【問い】買戻期間を10年とする買戻特約の登記がなされている場合において、買戻期間満了を登記原因とする買戻権の抹消登記を申請するときには、登記原因証明情報の提供を省略することは可能か?

混同による抵当権抹消と比較して考えてみましょう。

解説は、次回第18回目の「3分間レッスン」で行います(9月16日UP予定)。  小泉嘉孝 

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こんにちは。私は、登記原因証明情報は省略できると思います。
①買戻期間を定めた場合は登記事項である事、②一度定めた買戻期間は伸長することができないという事。
以上から、買戻期間が経過したことは登記記録から明らかであるといえるので、登記官に別途情報を提供する必要がないと思います。
混同による抵当権抹消も、登記記録から混同が生じている事が明らかになりますので、登記原因証明情報は省略できます。
どちらの場合も共同申請ですので登記識別情報は添付しますが、登記原因日付の取り方、申請人の記載の仕方が異なる事や、不動産が共有名義の際に一括申請ができるのか、というところで差が出てくると思います。

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ymryua 2012-09-14 10:49:52

期間内に意思表示をした場合、期間経過後に登記申請をしても受理して差し支えない。
登記研究227
農地につき昭和42.2.8-293

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eikuranana  2012-09-15 07:15:51

eikurananaさん、ありがとうございます。
そうすると、10年経過したからと言って登記記録上明らかであるとは言えないですね。
しかし、登記識別情報を添付する共同申請をすることによって、担保できていると考えることはできないのですか。
それとも、登記原因証明情報に『買戻期間内に意思表示をしていない旨』を記載するのですか?

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ymryua  2012-09-15 09:28:36

不可能です 省略できる場合として3ケースしかありません 混同ほか
混同による抵当権抹消のときは登記記録から事実がわかりほかに意思表示を必要としません
実体上当然に効果が生じるのに対して本問題では当事者の意思表示が必要でそれを示す登記原因証明情報が要求されるからです 

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kuril 2012-09-14 12:29:56

こんにちわ。
混同による抵当権抹消の場合に、登記記録上権利消滅が明らかな場合は登記原因証明情報は不要なことからも、買戻権抹消においても登記記録から権利が消滅していることが明らかな場合には登記原因証明情報を提供せずに申請することができるのではないでしょうか。

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miku 2012-09-14 14:00:57

小泉先生こんにちわ。
私は、登記原因証明情報の提供を省略することはできないと考えます。

混同による抵当権抹消においては、登記記録上権利消滅が明らかである場合には登記原因証明情報は不要とされますが、一方、買戻権の抹消においては登記識別情報の添付が要求されている等、事実上所有権の抹消という性質があるため、登記原因証明情報の提供も省略できないのではないでしょうか。

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nijntje 2012-09-14 14:12:26

先の投稿の『登記識別情報』は、『印鑑証明書』の間違いでした。

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nijntje  2012-09-15 10:15:03

登記原因証明情報省略はできないです。省略できる場合の3つに該当しない、という消極的な理由なので、理由を自分なりに考えてみましたがよくわかりません。登記記録を見ただけで明らかな場合は、登記原因証明情報以前の問題として通常は職権で登記は抹消されるのではないでしょうか?(むしろ混同の抹消が例外かと)職権抹消できない理由として当事者の意思表示が何か関係してるような気がします。

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ryopapa 2012-09-14 20:07:10

☆ みなさん、私が想像するよりずっと鋭い視点で、的確に論点を押さえられています。条文にない問題を解決するには、まず本来の制度の目的や条文の趣旨から考えていくべきですね。何度も何度も原点に戻るわけです。
そもそも、登記原因証明情報とは何か? 「申請に係る登記の原因となる事実又は法律行為及びこれに基づき現に物権変動等の登記を申請すべき原因が生じたことを登記官に明らかにする情報」でした。

そして、この登記原因証明情報は、不動産登記法61条で、法令に別段の定めがある場合を除き」原則的にその提供が必要とされています。また、この「法令に別段の定めがある場合」に該当するのが、令7条3項各号ということになります。
ここでは、①所有権保存登記については、登記原因及びその日付が登記事項となっていないことから、登記原因証明情報は不要とされており、②処分禁止の登記に後れる登記の抹消については、証明すべき事実が、抹消される登記が処分禁止の登記に後れることと、仮処分債権者が債務者を登記義務者とする登記又は本登記をしたことであり、これらの事実は、申請情報及び登記記録から「登記官が職務上知りうる事実」であることから、登記原因証明情報の提供は不要とされています。

今回の買戻期間満了による抹消は、条文上、この例外には規定されていないことは明らかです。では、上記②で処分禁止の登記に後れる登記の抹消の際の「登記官が職務上知りうる事実」であるから登記原因証明情報の省略が可能となるという趣旨が本件にあてはまらないかというとどうですか?

そこで、ymryuaさんの記載されているとおり、 ①買戻期間が登記事項であり、②一度定めた買戻期間は伸長することができないことから、買戻期間が経過したことは登記記録から明らかであり、これも「登記官が職務上知りうる事実」に該当しているのでないかと考えられます。

しかし、eikurananaさんのご指摘の通り、買戻の期間内にその権利が行使されていたならば、期間満了による買戻権の消滅ということはあり得なくなってしまいます。では、この期間内に買戻権行使がなされなかったことを「共同申請」という申請構造(抹消によって不利益を受ける登記義務者が関与している)をもって担保できるのではないかというymryuaさんの考え方が出てきます。

ならば、この点をもう少し掘り下げて議論しましょう。 ポイントは、やはりここでも原点に戻るということです。登記原因証明情報の省略は、どのような位置づけで規定されているか(原則か例外か、それは広く解釈すべきか狭く解釈すべきか)、共同申請における他の登記との比較という視点ではどうか?


小泉嘉孝

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koizumi 2012-09-15 13:10:11


小泉先生、こんにちは。登記原因証明情報の省略は、条文の規定からも例外的位置づけであり、例外である以上、それは狭く解釈するべきだと考えます。また、他の共同申請の登記を見ても、共同申請であることだけを理由に登記原因証明情報の省略は認められておらず、その点からも、本件における登記原因証明情報の省略はできないものと考えます。

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hayate  2012-09-16 08:45:46

☆ hayateさんの考え方でバッチリです。やはり、登記原因証明情報の提供不要の場面は、厳格に限定して解釈すべきです。また、共同申請を採っていることだけでは、買戻期間満了前に買戻権が行使されなかったという判断には及ばないといえます。さらに、共同申請においても、原則として登記原因証明情報の提供は要求されている点も考慮すべきですね。 小泉嘉孝

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koizumi  2012-09-16 11:50:50

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