koizumi 2012-09-23 14:20:47
今回は、特定の相続人を債務者とする抵当権の変更登記における登記原因証明情報について検討します。
【問い】抵当権の債務者について相続が開始し、遺産分割により、共同相続人の1人が債権者Aの承諾を得て、債務を引き受けた場合において、相続を原因として、これに基づく変更登記を申請するときに
①登記原因についての第三者の許可、同意又は承諾を証する情報(令7Ⅰ⑤ハ)としての債権者Aの承諾書は必要か?
②登記原因証明情報には、債権者Aが承諾した旨の記録を要するか?
それぞれの結論と理由を考えてみましょう。
解説は、次回第19回目の「3分間レッスン」で行います(9月20日UP予定)。 小泉嘉孝
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先生こんばんは。
まず①については、債権者の承諾書は必要ないと思います。債権者は申請人本人であり、承諾の意思がなければ、自ら申請に関与していないと考えられるからです。
次に②についてですが、承諾した旨の記載は必要だと思います。特定の相続人を債務者とするためには、債権者の承諾が成立要件であるので、『債権者が承諾したから、共同相続人の1人を債務者とする変更登記をする』これこそが、登記の原因たる事実であり、形式的審査権限しかない登記官にわかるように、積極的に記録しなければならないと思います。
時効取得による所有権移転の際の登記原因証明情報にも、共同申請にもかかわらず、『援用した事、等』を記録しなければならない事と、同じように考えました。
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ymryua 2012-09-17 22:55:07
こんばんは。①については、債務引受をするためには債権者の同意は効力発生要件ですから承諾は必要です。しかしこの場合債権者=抵当権者ですから登記権利者として必ず登記申請に参加=承諾してなきゃ申請人にならない、と判断すれば承諾書の添付は不要ではないでしょうか?②については記載は必要であると考えます。登記原因として債務引受があったことを記載することになるので、それが成立するためには承諾の記載がないといけないのではないでしょうか。うまく言えませんが。
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ryopapa 2012-09-17 22:58:42
①同意又は承諾を証する情報(令7Ⅰ⑤ハ)は極度額増額のようにそれによって効力が発生する場合に要求されるものです 本問題では遺産分割の遡及効により相続開始時に効力が発生となるためこれにあてはまりません ゆえに不要です
②必要です 記載がなければ法定相続分で登記するのかどうか区別できなくなるからです
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kuril 2012-09-18 05:34:30
先生こんにちわ。
1、共同相続人のうちの一人が債務引受けをした場合には、債権者の承諾が実体上必要となります。そして、共同登記であることのみをもって、その承諾があったとみることは出来ず、承諾書も必要となるのではないでしょうか。
2、登記原因たる法律行為である債務引受けの効力発生要件にあたるので、記載を要すると考えます。
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nijntje 2012-09-18 12:45:17
☆ 本件では、遺産分割により、共同相続人の一人が債務を引き受けたわけですが、実質的には、免責的債務引受がなされた場面と捉えることができます。ゆえに、みなさんのご指摘のとおり債権者の保護の観点から、当該債権者の承諾は、実体上の効力要件に該当します。しかし、不動産登記令7条1項第5号ハに規定されているのは、「第三者」の許可・同意・承諾したことを証する情報であり、当事者である申請人は含まれないことになります。よって、債権者Aの承諾書は不要です。
次に登記原因証明情報については、本件登記における登記原因となる事実又は法律行為は、①債務者が死亡し、相続が開始したこと、②共同相続人の一人が債務を引き受ける旨の遺産分割協議が成立したこと、③債権者がこれについて承諾をしたこと、④これらにより、抵当権の債務者の変更の効力が発生したこと、ということになります。
そして、登記原因証明情報は、上記登記原因となる事実又は法律行為を明らかにし、その原因が生じたことを登記官が審査することにより、登記の内容の真正を担保することを目的としています。そうすると、権利変動に影響があるものについては、たとえ申請人が行った法律行為であっても、すべて提供をさせなければ、その趣旨は没却されてしまいます。よって、本件においては、抵当権者たる債権者が行った承諾であっても、その行為があった事実については、登記原因証明情報として提供が要求されています(登研743号参照)。 小泉嘉孝
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koizumi 2012-09-20 11:23:40
不動産登記令7条1項第5号ハは極度額の増額でも出てきますがそのときは第三者の承諾日付が原因日付となります
今回は遺産分割の遡及効により原因日付は死亡日となり承諾日と異なります
その意味でAの承諾書は不要でないでしょいうか?
kuril 2012-09-20 16:24:19
☆ kurilさん、こんにちは。確かに、不動産登記令7条1項第5号ハに規定されている第三者の許可・同意・承諾したことを証する情報は、原因日付に影響を与えるものが原則となっていますが、未成年者の法律行為に対する法定代理人の同意書、株式会社の利益相反行為における承認議事録等、令7Ⅰ⑤ハに根拠を置きながらも、原因日付には、影響しないものも存在することから、本件においても、債権者の承諾Bと原因日付が異なることを根拠として、承諾書を不要とすることはできないものと考えます。 小泉嘉孝
koizumi 2012-09-23 14:20:47