ga_ta_o 2013-05-04 18:11:55
引換給付判決と執行文について教えてください。
「原告が被告に100万円を支払う代わりに、
被告は別紙目録の被告所有の不動産につき、原告のために売買を
原因とする所有権移転の登記をせよ。」
との確定判決を得た場合、原告が反対給付の提供をした
事を証する書面を裁判所書記官に提出し執行文の付与を受けた
上でそれを債務名義として所有権移転の登記をすることができるという論点と、
「引換給付判決が確定した場合、反対給付の義務履行は執行開始の
要件であって、執行文付与の要件ではない」という論点の違いがわかりません。
後者では、義務履行を執行文付与の条件とすると、当事者の一方に
先履行を強いる事になる、と言いますが、実際はそうではないですか?
矛盾しているような気がするのですが・・・
「代金を払わなくても、とりあえず執行文だけは付与しておきますが、
実際に執行を開始出来るのはお金をはらってからですよ」
というのならば話はわかりますが、実際はそうはないってないですよね?
「反対給付をしたことを証する文書を提供しないと執行文は付与されない」
ということは、原告が「先に」お金を払わないといつまで経っても話が前に進まないのでは?
つまり結局原告が先履行を強いられてませんか?
このあたりの解釈に困っています。
どなたかご教授いただけるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。
ga_ta_oさん,こんばんは。
間違っているかも知れませんので,ひとつの意見として。
まず,民事執行法31条1項の論点ですが,
「引換給付判決が確定した場合,反対給付の義務履行は執行開始の要件であって,執行文付与の要件ではい」
ということは,
「代金を払わなくても,とりあえず執行文だけは付与しておきますが,実際に執行を開始出来るのはお金をはらってからですよ。」
ということです。これは,民事執行におけるもので,不動産登記の場面での
「原告が被告に100万円を支払う代わりに,被告は別紙目録の被告所有の不動産につき,原告のために売買を原因とする所有権移転の登記をせよ。」との確定判決を得た場合,原告が反対給付の提供をした事を証する書面を裁判所書記官に提出し執行文の付与を受けた上でそれを債務名義として所有権移転の登記をすることができる。
という論点とは切り離して考えるべきだと思います。
上記の不動産登記の場面での確定判決を添付して法務局に登記を単独申請することは,強制執行ではないので,登記申請に際して添付する判決に執行分の付与を要するとしても,民事執行の論点と矛盾するものではありません。
また,不動産登記法63条1項の判決というためには登記申請意思が擬制されたものでなければならないところ,原告が被告に100万円を支払うことにより不動産の所有権が移転し,被告の登記申請意思が擬制されることとなりますが,判決に執行文が付与されてはじめて,登記申請意思が擬制されていると判断できる判決になると思います。
執行文が付与されていない確定判決の正本と「原告が被告に100万円を支払ったことを証する情報」を添付して登記を申請する場合,共同申請ならば可能かもしれませんが,単独申請をした場合には63条1項の判決の添付がないとして却下されるのではないでしょうか。
たしかに100万円を支払ってから執行文が付与されるまでのタイムラグを考えると,原告が先履行を強いられているということになるかも知れませんが,民事執行の論点と不動産登記の論点との矛盾はないと思います。
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shako 2013-05-20 02:57:06
shako 様
ご返信いただきありがとうございます。
そういう考え方でいけばいいんですね。
「執行文の付与」の使い方を一緒くたにしていました。
確かに、別個で考えると双方がぶつからず理解できます。
どうもありがとうございました。
大変助かりました。
ga_ta_o 2013-05-21 15:34:01