syouhouiya 2013-05-06 18:57:04
いつもありがとうございます。
抵当権者が物上代位する場合の論点で混乱してます。よろしくお願いします。
372条によって304条が抵当権にも準用されている物上代位で、行使要件として『払渡し又は引渡し』の前に、差押をしなければいけなく、その対抗要件具備の基準時は抵当権設定登記時で、それよりも前に第三者が設定者や差押債権者や債権譲受人への弁済をしたり、相殺をしてしまったら、物上代位は対抗できないとのことだと思うのですが、その『払渡し又は引渡し』に該当しないとされるものがいくつかあると思います。
①債権譲渡(最判H10,1,30)
②一般債権者による差押(最判S69,7,19)
これらは、物上代位の差押登記をしさえすれば、債権譲渡通知などの前後に関係なく対抗できるということなのでしょうか。それとも差押などせずとも勝てる…?おかしな質問になってるかもしれません…。
とくに②についてですが、判例として、『差押に基づく転付命令が第三債務者へ送達されると、『払渡し又は引渡し』があったものとして、物上代位することができなくなる(最判H14,3,12)』とあるので、基本的には転付命令がなければ勝てますよということだと思うのですが、①や②に物上代位する上で設定登記は必要なのでしょうか。
あと、公示方法の存在しない動産売買の先取特権に基づく物上代位は、目的債権が譲渡されて第三者に対する対抗要件が備えられた後においては行使することができない(最判H17,2,22)とありますが、この時物上代位の対抗要件具備である抵当権を設定していたとしても行使できないのでしょうか。
少々混乱してます。
よろしくお願いします。
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わかりにくい部分があります。
これらは、 「物上代位の差押登記」 をしさえすれば、債権譲渡通知などの前後に関係なく対抗できるということなのでしょうか。それとも差押などせずとも勝てる…?おかしな質問になってるかもしれません…。
抵当権の物上代位に基づく賃料の差し押さえの方法は、債権執行になります。
とくに②についてですが、判例として、『差押に基づく転付命令が第三債務者へ送達されると、『払渡し又は引渡し』があったものとして、物上代位することができなくなる(最判H14,3,12)』とあるので、基本的には転付命令がなければ勝てますよということだと思うのですが、①や②に物上代位する上で 「設定登記」
は必要なのでしょうか。
判例では、第三債務者が賃料の二重払いをしないように、抵当権設定登記をして公示をしておく
あと、公示方法の存在しない 「動産売買の先取特権に基づく物上代位」 は、目的債権が譲渡されて第三者に対する対抗要件が備えられた後においては行使することができない(最判H17,2,22)とありますが、この時物上代位の対抗要件具備である 「抵当権を設定」 していたとしても行使できないのでしょうか。
動産と言っているので、抵当権とは無関係では?
以上、??な部分です。
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senpai 2013-05-07 09:18:34
自分の混乱している箇所がわかりました。抵当権の『設定登記』とその抵当権者の物上代位の差押の『設定登記』が頭の中でごっちゃになってました…。
あと動産についての抵当権話ですがそうですね。確かに無関係でした…。
お二人の説明でしっかり理解できました。
ありがとうございました。
syouhouiya 2013-05-07 13:20:21
先に回答されているsenpaiさんよりも、後輩の受験生として回答させていただきます。まず、物上代位という権利が、抵当権者を保護するものだという事を前提に考えてみてください。もしも、債権譲渡が物上代位に優先してしまったら、抵当権の設定者は簡単に物上代位されるのをブロック出来てしまう事になり、抵当権者がかわいそうです。
かといって、どこまでも抵当権者をとことん保護するわけではなくて、そこには、やはりルールがあります。
まず、物上代位をする前提として、差押えが必要ですが、この差押え自体が物上代位と債権譲渡の優劣関係を決める訳ではなくて、「抵当権の設定登記」と「債権譲渡の対抗要件の具備」のタイミングで優先関係が決まります。
だから、債権が他人に譲渡されても(対抗要件が具備されていても)、設定登記さえしてれば、物上代位の差押えは出来るということになります。
これは、「抵当権の設定登記」によって、物上代位されることぐらい公示によりわかるでしょってことです。
そこから、物上代位の要件である「代位物を払渡し前又は引渡し前に差押えること」の「払渡しまたは引渡し」には、債権譲渡は含まれないという結論になります。
また、一般債権者による差押えとの関係は、上記のように物上代位の差押え自体が優劣関係を決める訳ではないので、他の債権者の差押えに劣後しても大丈夫です。(物上代位の権利行使のための差押え)
この場合の優先関係も、やはり「抵当権の設定登記」と「差押えによる転付命令の送達」のタイミングで物上代位出来るかどうかが決まります。
ただし、この場合は、注意が必要です。
確かに、抵当権者は、抵当権の公示により、債権の譲受人や他の差押え債権者に物上代位権を主張出来ますが、転付命令に関しては、いくら設定登記をしていても、正式に転付命令を受けた債権者には対抗できないとされています。
これは、転付命令は、第三債務者に送達されるまでに、他の債権者が差押え(物上代位によるものも含む)をすれば、転付命令は効力を生じないとされていることから、抵当権者は、第三債務者に対する転付命令送達前に物上代位による差押えをしなければ、転付命令が優先し、正式に転付命令を受けた債権者に物上代位権を対抗出来なくなります。
それと、動産には抵当権は設定出来ません。
目的物である動産が転売されて、その転売代金債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられたら、アウトです。
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tarakoise 2013-05-07 12:05:04
非常に参考になりました。
抵当権設定と差押設定登記について混同がなぜか私の中であってごっちゃになってました…。
A:
設定者や差押債権者や債権譲受人への弁済や第三債務者による相殺のときは、それよりも前に抵当権者の物上代位の差押登記が必要
B:
債権譲渡のときは、抵当権設定登記をしていれば対抗できる
C:
一般債権者による差押のときは転付命令より前に物上代位の差押登記が必要
と解釈しました。動産についての話は抵当権とは関係なかったです…。
すごくわかりやすかったです。
お二方ありがとうございました。
syouhouiya 2013-05-07 13:32:12
全て、物上代位権を行使するには、抵当権の設定登記と差押えは必要ですよ。ちょっと勘違いされているようですが、不動産を差押えた時は、登記出来ますが、債権の差押えは登記が出来ません。差押えの効力は、裁判所から第三債務者に、差押え命令が送達された時です。
tarakoise 2013-05-07 14:52:23
再び回答ありがとうございます。
なんかまた勘違いを起こしてました…。
私があげたABCというのは対抗する上での行使要件にすぎないということなのでしょうか。つまりいずれにしてもすべて物上代位の差押が必要で、まず行使要件を満たして…そして差押をしていくという流れということなんですね。何度もすいません。
syouhouiya 2013-05-07 14:58:40
差押えの目的もちょっとお話した方がいいですよね。そもそも物上代位は、目的物が不動産であれば、例えばその価値変形物である賃料債権からも回収出来る権利です。そして、賃料債権から回収しようと思ったら、差押えをしないといけないわけですが、裁判所に申立て、その後される差押え命令は、まず債務者(設定者)ではなく、債務者(設定者)に家賃を払っている第三債務者に対して送達されます。
今まで設定者に払っていた家賃ですが、差押え命令送達後は、抵当権者に払わないといけません(設定者に対しての弁済が禁止されます)
もし、送達後に第三債務者が設定者に家賃を払ったとしても、抵当権者にはその払った事(債務の消滅)を対抗出来ませんから、抵当権者にも払わないといけない事になります。逆に、送達前であれば、設定者に払っていればいいわけで、抵当権者からよこせと言われても、払う必要はありません。
要するに、差押えの目的は、抵当権者が目的物の価値変形物である家賃を回収出来る事と、第三債務者の家賃の二重払いの可能性から保護してあげることです。第三債務者に初めに送達されるのはそういうことです。
tarakoise 2013-05-07 17:07:21
もともとの差押えの趣旨などよくわかりました。
民事執行法も絡んできてるんですね。
丁寧に教えて頂き助かりました。
ありがとうございました。
syouhouiya 2013-05-07 18:59:10
抵当権による物上代位の例
抵当建物が火事で焼けた場合
火災保険金に債権差し押さえ命令を得て、保険金を取り立てる。
抵当物件を賃貸している場合
賃料債権に対し債権差し押さえ命令を得て、賃料を取り立てる。
抵当目的物に「差押」の登記がされるわけではありません。
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senpai 2013-05-07 14:46:04