tomomasu 2013-05-30 06:41:22
不動産の売主Aの所有権移転登記義務をB及びCが共同相続した場合において,Bがその義務の履行を拒絶しているため,買主Dが同時履行の抗弁権を行使して代金全額の弁済を拒絶しているときは,Cは,自己の相続した代金債権を保全するため,Dの資力の有無にかかわらず,DのBに対する所有権移転登記請求権を代位行使することができる。
正誤は,正しい
において、Cは,なぜ売買代金債権の全部を被保全債権とすることができないのでしょうか?
最高裁H16.4.20
また,相続財産中に可分債権があるときは,その債権は,相続開始と同時に当然
に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり,共有関係に立つ
ものではないと解される(最高裁昭和27年(オ)第1119号同29年4月8日
第一小法廷判決・民集8巻4号819頁,前掲大法廷判決参照)。
したがって,
【要旨】共同相続人の1人が,相続財産中の可分債権につき,法律上の権限なく自己
の債権となった分以外の債権を行使した場合には,当該権利行使は,当該債権を取
得した他の共同相続人の財産に対する侵害となるから,その侵害を受けた共同相続
人は,その侵害をした共同相続人に対して不法行為に基づく損害賠償又は不当利得
の返還を求めることができるものというべきである。
5 そうすると,以上判示したところと異なる見解に立って,上告人の第1次予
備的請求に係る訴え,すなわち,上告人がその相続分に基づき本件各不動産につい
て登記手続を求める訴え及び上告人がその相続分に応じて分割取得した本件貯金を
被上告人Bが解約し,払戻しを受けたことについて不当利得の返還を求める訴えを
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却下した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
論旨は理由があり,原判決のうち上告人の第1次予備的請求に係る訴えを却下した
部分は破棄を免れない。そして,この部分について,更に審理を尽くさせる必要が
あるから,原審に差し戻すこととする。
なお,その余の請求に関する上告については,上告受理申立ての理由が上告受理
の決定において排除されたので,棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 濱田邦夫 裁判官 金谷利廣 裁判官 上田豊三 裁判官 藤田
宙靖)
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senpai 2013-05-30 08:08:52