司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/憲法 厳格な合理性の基準について

padma 2013-06-04 05:48:01

厳格な合理性の基準についてお尋ねします。消極目的である国民の生命、健康に対する法律であるならば、法律として存在する必要性も高いのではと思ってしまいます。積極目的に比べると、違憲判断の基準が厳しくなると捉える程度でよいのでしょうか?規制対象と目的について混乱しています。

 

ご質問は、憲法上の人権の規制立法に対する違憲審査基準について、①精神的自由と経済的自由についての「二重の基準」と②経済的自由に対する規制についての「目的二分論」の関係はどうなっているのか、ということでよろしいでしょうか?(前提が違っていたらすみません)

まず、①の「二重の基準」については、ご指摘のとおり規制対象である人権の重要性から導かれます。つまり
ア 精神的自由=民主政の過程の根幹にかかわる重要な権利→規制は厳しく抑制されるべき→厳格な審査基準
イ 経済的自由=たとえ規制されても民主政の過程で回復可能→立法府の裁量を尊重すべき→合理性の基準

これに対して②の「目的二分論」は規制される人権が経済的自由である場合に立法府の裁量を認めつつ、規制の目的(つまり当該法律により規制される人権と対立する利益=公益等)の内容によって、よりきめ細かく審査基準を変えて、妥当な審査を行おうとするものです。
ア 消極目的の規制=規制目的や立法事実の内容が一義的で明確→司法が判断しやすい(立法府の裁量の範囲は限定的)→厳格な合理性の基準(中間的基準)
イ 積極目的の規制=規制目的や立法事実の内容が複雑かつ専門的→司法の判断が困難(立法府の判断、裁量を尊重)→合理性の基準(緩やかな基準)
となります。

このように①の「二重基準」では、違憲審査基準は規制される人権の重要性(精神的自由か経済的自由か)で区別され、
一方、②の「目的二分論」では、規制対象が経済的自由なので立法府の裁量を認めつつ、規制される人権の対立利益(当該法律が保護しようとする利益)によって違憲審査基準が区別されます。つまり、①と②では、違憲審査基準を区別する要素が異なるという理解でよろしいかと思います。

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yasuhirow 2013-06-05 17:25:06

お礼が遅くなり、申し訳ありません。
わかりやすく、ご丁寧なご回答をいただき、本当にありがとうございました。
大変助かりました。

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padma  2013-06-07 15:22:07

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