司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/不登法Ⅰ:未成年者が行った不動産売買による所有権移転登記

chibix 2013-08-29 17:44:17

いつもお世話になっております。

初めての不登法に悪戦苦闘しております。
どなたかご教授をお願いいたします。

意思能力のある未成年者が法定代理人の同意を受けずに不動産を売り渡す契約をした際の所有権移転登記の申請書についてです。

・売買契約=未成年者による法定代理人の同意なしの契約なので、取り消し得る(一応有効な)契約
・売買契約による所有権移転登記=意思能力があるので、法定代理人の同意は不要。未成年者本人が有効に申請できる。
・申請書に添付する添付情報(同意を証する情報)=売買契約による所有権移転に対する法定代理人の同意の証明(=売買契約に対する追認?)

ということでよろしいのでしょうか?

登記に同意が不要なのに、同意を証する情報???では、これは何に対する同意なのか???と混乱しております・・・。

どうかよろしくお願いいたします。

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登記令7 1 五  ハ
 登記原因について同意を要するときは

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senpai 2013-08-30 07:52:21

senpai様

ご回答くださり、ありがとうございます!
少しゴチャゴチャ考えすぎでした…。条文通りに『同意が必要な登記原因だから、同意を証する情報を添付』する、で充分でしたね。

ありがとうございました。

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chibix  2013-09-01 06:52:19

こんにちは。お世話になります。

意思能力と行為能力の区別を意識されれば混乱なく理解できるかと思います。

①意思能力=自己の行為の結果を弁識しうる能力。意思表示の前提となる能力でこれを欠くと当該意思表示ないし法律行為は「無効」となります(判例)。したがって意思無能時または意思無能力者の行為は無効であり、同意や追認の余地はありません。なお、民法上は概ね7,8歳程度について意思能力者と解されますが、登記申請については18歳程度が意思能力者と解されます。
②行為能力=自己の法律行為の結果(法律効果)を有効に自己に帰属せしめることのできる能力で原則、成年(20歳以上)について認められます(民法4条)。未成年や被保佐人、被補助人の行為については同意権者の同意なき場合は「取消し得る」行為となります。

ご質問の件は、①意思能力を有する、②未成年(制限行為能力者)の不動産の売買契約が問題となっていますので、実体法上、未成年自身が有効な行為として自己に効果帰属させるために法定代理人の同意が必要となります(民法5条1項本文)。つまり、ここで問題となっているのは②の行為能力の問題であり、同意を証する情報とは、未成年自身による土地売買契約(登記原因)についての法定代理人の同意を証する書面(同意書)となります(不動産登記令7条1項5号ハ)。
ただ、実体法上、法定代理人の同意を欠いていても、当該売買契約は「取消し得る」のみで取り消されるまでは一応有効なので、登記申請の際に法定代理人の同意を称する書面の添付が必要か否かが問題となります。
これについては、実務上、法定代理人の同意書の添付が必要であるとされています(昭和22年6月23日民甲560号通達)。法的安定性を重視した判断と思われます。

なお、登記申請行為についても同意が必要かが問題となりますが、(ア)登記申請行為は公法上の行為であり、私法上の制限行為能力制度(民法5条乃至21条)の適用および類推適用の余地はない。または、(イ)登記申請行為は私法上の取引と密接に関連する行為であり制限行為能力制度は類推適用されるが、すでに成立した実体上の権利義務関係に公示という外形のみを付与する行為なので「単に権利を得、又は義務を免れる」行為として同意は不要(民法5条1項ただし書)であるとして、いずれにしても行為能力は不用と解されるので法定代理人による同意は問題となりません。

したがって、法定代理人の同意なき不動産売買に基づく所有権移転登記申請の場合でも、売買契約についての法定代理人の同意を証する情報(同意書)の添付が必要となります。

長文となり失礼しました。よろしくお願い致します。

参考になった:7

isaac 2013-08-30 16:13:26

isaac様

前回に引き続き、ご丁寧なご回答、ありがとうございます!
とても詳細なご説明のおかげで、あやふやな知識がスッキリしました!

>なお、登記申請行為についても同意が必要かが問題となりますが、(ア)登記申請行為は公法上の行為であり、私法上の制限行為能力制度(民法5条乃至21条)の適用および類推適用の余地はない。または、(イ)登記申請行為は私法上の取引と密接に関連する行為であり制限行為能力制度は類推適用されるが、すでに成立した実体上の権利義務関係に公示という外形のみを付与する行為なので「単に権利を得、又は義務を免れる」行為として同意は不要(民法5条1項ただし書)であるとして、いずれにしても行為能力は不用と解されるので法定代理人による同意は問題となりません。

特に上記のご説明で、自分の中でモヤモヤしていた部分がスッキリ落とし込めました!
本当にありがとうございました。


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chibix  2013-09-01 07:02:34

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