chibix 2013-09-11 02:06:07
いつもお世話になっております。
表題の内容なのですが、契約解除があった場合、法定解除であれば農地法の許可は不要で、合意解除の場合は許可が必要となる、という説明で、それは納得ができたのですが、真正な登記名義の回復で前所有者へ移転登記をする場合は農地法の許可は不要となる理由がわかりません。
前所有者への所有権移転という点に注目すると、合意解除も結果として同じだと思うのですが、真正な登記名義の回復では許可が不要で、合意解除では必要となる、この違いの理由はどのように考えればよろしいのでしょうか?
真正な登記名義の回復は、当事者の意思に基づかない権利変動という扱いなのかと思いましたが、前所有者以外への権利移転では農地法の許可は必要なので、また違う気がしますし・・・。
また、合意解除で利害関係人の許可が得られず、抹消登記が出来ずに移転登記を申請する場合、合意解除による移転登記ではなく真正な登記名義の回復による移転登記の申請は可能なのでしょうか?
初心者で、見当違いの質問をしているかもしれませんが、ご教授いただけますと幸いです。
よろしくお願い致します。
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不動産登記法改正前は、真正な登記名義の回復による所有権移転登記は、比較的簡単に行うことができてしまっておりました。
しかし、不動産登記法が改正され、登記原因証明情報の添付が要求されるようになってからは、要件が厳格になってきております。
確かに安易に登記名義を修正できるとなれば、真実でない登記名義が入ることを助長することにつながるとも言えますし、逆に真正な登記名義の回復を悪用して、真実の所有者でない者に名義を変えることも考えられますので、登記名義の修正が厳格になることは合理性があると言えます。
現行制度の下では、単に前所有者が協力しないとか、担保権者の承諾が得られないからという理由だけでは、真正な登記名義の回復登記は認められ難いと言えるでしょう。
真に真正な登記名義の回復登記をしなければ、真実の登記名義にすることができないケースにおいては、詳細な登記原因証明情報を作成する必要があると言えます。
真正な登記名義の回復の登記原因証明情報の内容としては、少なくとも、
(1)現在の登記名義人の登記が実体に符号せず、登記名義人は所有権を有していないこと。
(2)真実の所有者に所有権があること。
(3)真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転をする必要があること。
この要件を充足し、かつ、事実の経緯を含めて具体的な記載をする必要があると言えます。
後段の質問は、「合意解除」が適正なので、農地法の許可を回避する「真明回復」は、脱法行為として拒否されるでしょう。
参考「登記官から見た「真正な登記名義の回復」「錯誤」 」青木 登(元登記官)
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senpai 2013-09-11 09:12:06
senpai様
前回に引き続きご回答いただきまして、ありがとうございます!
とても詳しく丁寧なご説明、ありがとうございます。
真正な登記名義の回復は『最後の手段』なので、よほどの条件が揃わないと認められない、ということなのですね。
厳正なチェックが入る分、条件をクリアできているのであれば、農地法の許可等は必要最小限でよい、とあうことなのでしょうか。
不登法は、なじみのない初心者にはなかなか難しく感じられますが、頑張ります。
ありがとうございました。
chibix 2013-09-13 03:22:13
判例によれば、真名回復は、物権的請求権なので、本来なら、農地法の適用外のはずです。
この場合、旧法下では、農地法の許可を得る条件に当てはまらない人が、これを悪用して、所有権移転をする恐れがあるので、政策的に許可を必要としたようです。前所有者や相続人ならもともと許可の条件を満たしていたので許可不要としたと考えられます。
手続法の通達の場合、理由が一貫していないことがあります。
「不動産登記申請メモ」新日本法規
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senpai 2013-09-13 09:31:24