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/商業登記法/株式の内容・種類株式/譲渡制限の設定

syouhouiya 2013-11-07 21:25:57

いつもありがとうございます。
以下の問題について質問させて下さい。

(問題)
公開会社でない株式会社は、「当該会社の株式は、当該会社に関係があるものであって、当該会社の承認を得たもの以外のものに譲渡することはできない」旨の定めの設定の登記を申請することができる。

(解答解説)
×。昭41,12,20民甲3636回



登記六法でも商業登記法62条の補足として先例が掲載されているのみで、特に申請不可の理由などが書かれていませんでした。どうして申請できないのでしょうか。

当該会社に関係があるものとして限定しているからでしょうか。非公開会社なのであれば会社の承認がなければ譲渡を認めないことができるので、いずれにしても会社の希望する人にだけ譲渡を許せる状態にあるので、問題文のような設定ができるように思えてしまいました。
よろしくお願いします。

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これは平成3年度の商業登記法第38問の肢ですよね?

私も調べてみて分かったのですが、旧商法下では株式譲渡制限の内容としては「会社の承認」以外の要件を加重することは認められていなかったのだそうです。
上記問題文には「当該会社に関係があるものであって」という一文が加えられており、これが旧商法下の制度ではNGだった、ということのようです。
ちなみに承認機関も取締役会onlyだったらしく、今日のように株主総会や代表取締役が承認機関となることもできなかったようです。

なお、今日の会社法においては、株式譲渡制限の内容をより柔軟に定めることができます。
具体的には以下の点が改正されました。
1.譲渡承認機関の自由(会社法139条1項但書)
⇒承認機関を取締役会だけでなく、株主総会や代表取締役とすることも可能
2.譲渡承認の例外事由の多様化(会社法107条2項1号ロ)
⇒株主間譲渡だけでなく、従業員や特定の第三者・会社とすることも可能
譲受人だけでなく、譲渡人の制約をとることも可能
3.譲渡不承認の場合の買取人の指定権を特定の者に指定(会社法140条5項)
⇒取締役会の承認がなくても代表取締役の判断で指定買取人を決めることも可能
4.種類株式発行会社(2タイプ以上の株式を発行している会社)で、一部の種類のみ株式譲渡制限を定められる
⇒黄金株など譲渡制限付にしたい内容の株式のみ、規制することが可能

これにより、今日の会社法の下では、上記問題の答えも「○」でOKのはず、です。

ちなみに私の手持ちの参考書に、以下の事例も載っていました。
「当会社の株式を外国人に譲渡するには、当会社の承認が必要である」との定めの設定は可能か?
⇒○(可能)

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Qidian42 2013-11-07 23:16:16

自信がある訳ではないのですが、投稿させていただきます。
頭の中でうまくまとまっていないので読みにくい文章になると思いますが、ご容赦ください。

私の意見としては、安易に『○』でよい。とするのは危険だと考えます。

確かに六法を見ても、この回答のみで説明分はないのですが、

1.会社法では原則として、株式の自由な譲渡を認めている。(会社法127)
2.ただし、株式がの内容についての特別の定めとして、譲渡制限を設けることも認めている(107・108)

細かいところは、Qidian42さん記載のとおりですので省略しますが、要はこの2つが大原則として考えると、

----------------------------
(問題)
公開会社でない株式会社は、「当該会社の株式は、当該会社に関係があるものであって、当該会社の承認を得たもの以外のものに譲渡することはできない」旨の定めの設定の登記を申請することができる。
----------------------------
この問題文だと、会社の関係者『かつ』会社の承認を得たもの~というように読み取れると思うのです。

これだと、そもそも当該会社に関係があるものにしか譲渡できないことになります。
『これは、特定人以外の者に対する株式の譲渡をすべて禁止することになり、株式会社の承認を受ければ誰に対しても譲渡することができるとした会社法の認める範囲を縮小し、株式譲渡自由の原則をより狭めるものだからである』カッコ内体系書 会社法引用
以上により、やはり定款の定めとしてはふさわしくないと思います。


syouhouiyaさんの疑問に思う
>非公開会社なのであれば会社の承認がなければ譲渡を認めないことができるので、いずれにしても会社の希>望する人にだけ譲渡を許せる状態にあるので、問題文のような設定ができるように思えてしまいました。

これはまぁその通りなのですが、あくまで定款に規定してよいのか?という問題ですので、実質一緒というのとは切り離して考えるべきだとも思います。

あとは、小泉先生も講義の中で、このケースは
原則:不可
例外:日刊新聞の発行を目的とする会社は可
との説明をされていますので、答えをひっくり返して覚えるべきではないのではないでしょうか。


最後にQidian42さんが最後に記載されている
>「当会社の株式を外国人に譲渡するには、当会社の承認が必要である」との定めの設定は可能か?
>⇒○(可能)
これは、日本人に対しては自由に譲渡できるけど、外国人に対して譲渡する場合は会社の承認が必要になるだけなので、今回の問題とは別物だと考えることができると思います。


◇◇修正◇◇
後で気が付いたのですが、Qidian42さんの
>2.譲渡承認の例外事由の多様化(会社法107条2項1号ロ)
>⇒株主間譲渡だけでなく、従業員や特定の第三者・会社とすることも可能
>譲受人だけでなく、譲渡人の制約をとることも可能

これの3行目ってできましたっけ?
また後日調べてみます。

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seawind  2013-11-08 00:31:00

重ねての投稿、失礼いたします。

seawindさん、上記のご指摘、ありがとうございます。

>『これは、特定人以外の者に対する株式の譲渡をすべて禁止することになり、株式会社の承認を受ければ誰に対しても譲渡することができるとした会社法の認める範囲を縮小し、株式譲渡自由の原則をより狭めるものだからである』カッコ内体系書 会社法引用
以上により、やはり定款の定めとしてはふさわしくないと思います。

確かに、私もそうだなと思いました。

やや話が逸れますが、さらに調べた結果、株式の譲渡制限に関しては、会社法とは別に、日刊新聞法という法律のあることを知りました。

【日刊新聞法1条】一定の題号を用い時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社にあっては、定款をもって、株式の譲受人を、その株式会社の事業に関係のある者に限ることができる。この場合には、株主が株式会社の事業に関係のない者であることとなったときは、その株式を株式会社の事業に関係のある者に譲渡しなければならない旨をあわせて定めることができる。

この法律の趣旨は、報道機関の公共性、報道内容の公正・中立性の確保の点から、通常の会社以上に、外部資本によるコントロールを排除する必要性が高いという判断があります。
つまり逆に言えば、通常の会社に対してまで、ここまでの加重要件を認めることは、法として予定していない、と言えそうですね。

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Qidian42  2013-11-08 10:10:44

お礼遅れてしまいすいませんでした。

>あくまで定款に規定してよいのか?という問題ですので、実質一緒というのとは切り離して考えるべきだとも思います。

譲渡制限が会社側の判断でできるというものは、譲渡承認機関に委ねているので、結果的には詳細な思わくから譲受人を決めてしまうので、『関係者でなければ』という条件が包含されてしまうので、設定じたいはできるのかなと思ってしまっていました。

でもやはり登記申請によって定款規定として明記する以上は、そこまで書いてはいけませんよという覚え方でよいということなんですね。

登記申請による定款規定としては別に切り離して考えた方がよいということですね。理解できました。Qidian42さん、seawindさんお二方回答ありがとうございました。


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syouhouiya  2013-11-09 23:16:49

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