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/民法過去問/56-1-③/OUTPUT民法Ⅰ-3-2

AraiHiroki 2013-12-07 19:39:23

制限行為能力者と取引する相手方の保護──催告について

●問題文
未成年者甲が自己所有の土地について、法定代理人乙の同意を得ずに買主丙と売買契約をした場合に関して、甲が丙から土地の所有権移転の登記手続をするよう催告されたのに対し、乙がそれを知りながら直ちに異議を述べなかったときは、乙は、売買契約を取り消すことができない。

●解答→×(原文の前段をそのまま記載。後段は本問が法定追認にあたらないことについて(略))
「登記手続をするよう催告された」
⇛民20の「追認すべき旨の催告」とは別


解答が×であることに異議はないのですが、その理由の理解が説明を聞いたかぎりあやふやです。
以下に私の考えを記しますので、誤りがあれば指摘してください。
(単に「そうだよ」ということであればそれだけでも結構です)

●考え1
本問では催告の相手方が未成年者甲であるため、仮に乙がそれを知り、異議を述べなかったとしても、乙の取消権は制限されないと考えます。
∵ 甲が追認するためには乙の同意が必要であり、また、相当の期限内に確答をしなかったとしても、甲は契約を取り消したものとみなされます。となると、仮に乙の取消権が制限された場合、①「甲は追認するために乙の同意がいる(→乙は同意しないことにより甲の契約を無効にできる」ことと、②「乙は取消権を制限され、みずから甲の契約を取り消すことができない」ことが矛盾するため、乙の取消権は制限されないと考えるべきです(それともこの場合、乙は同意しなければならなくなるのでしょうか?)。

●考え2
(考え1が正しい場合)仮に丙の催告が「追認するかどうかを確答すべき旨の催告」にあたっても乙の取消権は制限されませんが、「そもそも論」として「追認するかどうかを確答すべき旨の催告」にあたらないため、催告の相手方についての判断をするまでもなく、乙の取消権は制限されない──という趣旨なのが解答なのでしょうか?

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解説文にあるとおり、「登記手続をするよう催告」≠「追認すべき旨の催告」ということです。
もう少し具体的に言えば、民法20条の「追認すべき旨の催告」とは、催告の相手方から確答がない場合、その相手方が未成年者ならば「取消みなし」、法定代理人ならば「追認みなし」という法的効果を得る行為です。つまり、これにより実体上の権利関係が確定します。
これに対し、当該問題文にあった「登記手続をするよう催告」とは、「実体上生じた権利変動につき、その通り登記に反映させましょう」ということを言っているに過ぎません。あくまで問題にしているのは登記手続きのことであって、実体上の権利関係を確定するための民法20条の催告とはみなされないのです。

従いまして、AraiHirokiさんが記述しておられる「●考え1」中の「催告の相手方が未成年者甲」の「催告」が、そもそも民法20条の催告になっていないというわけです。
問題文の買主丙は、実体上、土地所有権の帰趨が未だ確定していない段階で、その「登記をしろ」と催告してきたのであり、これについてはなんの法的効果も生じない、というわけです。

【追記】
上記説明は、結局AraiHirokiさんが「●考え2」で述べられている通りのことです。その考え方で良いと思います。

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Qidian42 2013-12-08 00:04:59

この問題の眼目は、

登記手続きの請求が法定追認の「履行の請求」にあたるか?

法定代理人が知っていたことが追認の催告にあたるか?

前者
法定代理人が代金請求をしたわけではないので、あたらない。

後者
受領能力のない未成年者を介して知っても、催告を受けたことにならない。

単純化して考えないと、試験時間に終わらせることはできません。
出題者の意図を見抜くことです。どこで「ミスリード」を狙っているのか。

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senpai 2013-12-08 08:34:28

Qidan42 様
senpai 様

返信が遅くなり申し訳ありません。
詳しく教えてくださり、本当にありがとうございました。
何度か日を置いて回答を読み、非常に腑に落ちました。

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AraiHiroki 2013-12-16 18:46:41

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