umegaemochi 2014-01-13 15:16:31
お世話になります。
umegaemochi と申します。よろしくお願い致します。
質問タイトルの第1回第30問-イについて質問です。
「全部取得条項付種類株式の取得と引換えにする株式の発行による変更の登記の申請書には、・・・・・資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付することを要しない。」と解説に書いてあります。また、音声データの解説でも資本金が増えることはないと説明していました。
ここで一つ疑問に思ったことが、全部取得条項付種類株式の取得と引換えに新しく新株発行すれば、資本金が増えることはあるのではないか?ということです。対価として金銭を払うことは一切ないのでしょうか?これは会社法の条文に記載されているのでしょうか?
ご回答をぜひよろしくお願い致します。
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全部取得条項付種類株式の取得と引き換えに株式を交付する場合、資本金は増加しません。
そもそも、資本金の額が増加するのは、会社に現金その他の財産(新株予約権)が払い込まれて、会社が株式を発行する場合です。
株式は「現金その他の財産」ではないので、資本金は増加しません。
会社法の条文は調べてないのですが、初級講座1-11に該当箇所に触れられています。
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masass 2014-01-13 15:41:50
masass 様
丁寧な回答ありがとうございました。
ということは、取得請求権付株式や取得条項付株式の取得と引換えに株式を発行する場合も、常に資本金は増加しないと理解していいのでしょうか?
よろしくお願い致します。
umegaemochi 2014-01-13 21:26:45
取得条項付株式や取得請求権付株式と引き換えに株式を交付する場合でも、資本金は増加しません。
株式交付で資本金が増えるのは、金銭か新株予約権が会社に渡る場合です。
masass 2014-01-14 08:00:42
全部取得条項付種類株式とは
全部取得条項付種類株式とは、当該種類の株式について、会社が株主総会の決議によってその全部を取得することができる株式のことです(会社法第108条1項7号、同法第171条)。
この種類株式は、会社法の施行によって新たに導入されました。
旧商法下で、同種の株式は存在せず、100%減資をする場合など株主の総入れ替えをするには総株主の同意が必要と解釈されていました。
しかし、会社再建等で100%減資を条件に出資・融資してくれる会社があった場合に、一部の少数株主が反対するだけで手続が不可能になるなど、円滑な手続が困難でした。
それを解消することを期待して導入されたのが、全部取得条項付種類株式です。
一方、後述の通り、多数決原理で利用できるため、100%減資以外にも利用が可能で、会社にとっては少数株主対策の一方法として非常に重要かつ効力の大きい種類株式です。
全部取得条項付種類株式の主な特徴は以下の通りです。
1.全部取得条項付種類株式の設定・取得は株主総会の特別決議で決定する。
2.取得の対価は別の種類株式や金銭等制限はない。無償取得も可能。
3.取得時期に制限はない。
特に、1が最大の特徴です。特別決議が成立すれば自由に設定できるため、オーナー株主が所定の株式数を保有していれば、オーナーの意思でいつでも発行・取得が可能です。
この点、オーナー株主の自由に発行が可能なのは株主平等原則に反するのではとの意見もありますが、法律上の規制は現状ありません。
株主保護のための規定として、反対株主の株式買取請求権(会社法第116条1項2号)や取得対価の財産規制(会社法第461条1項4号)があります。
ですが、買取請求権を行使しても買取価格はともかく終局的には会社に株式買取されますし、財産規制違反も手続無効にはならず、又無償取得の場合にはあまり意味がない規制でしょう。
23. 100%減資以外の利用方法
100%減資以外の利用方法で最も多いのが、敵対的少数株主排除でしょう。
これは上場企業に限らず、オーナー以外の株主がいる会社であれば、中小企業でも利用が必要になる可能性が常にあります。
既存の株式全てを全部取得条項付種類株式にし、一旦取得するのと同時に、会社が希望する株主のみ新たに株式を引受けするのが基本スキームです。
これによって、会社と敵対する株主は、株主から排除されるので、その後の会社経営がスムーズになるでしょう。
上場会社では、新たに引受けさせるのは金額的にも株主数的にも困難なので、一定の比率の別種類の株式を取得対価とし、その比率未満の株主をまとめて排除するスキームで行っているようです。
その他にも当該会社を100%子会社化する目的でも利用されています。
4. まとめ
全部取得条項付種類株式は、会社法施行時から利用方法が着目されていたので、他の種類株式に比べ、実際に利用している会社は多いと思われます。
ですが、株主総会決議内容・実行手続が単に全部取得条項付種類株式を発行するだけでは目的を達成できず、非常にテクニカルで細部にも注意が必要です。
所定の期間を空けて、株券提供公告や反対株主の株式買取請求のための通知が必要なこと等、株主総会以外の手続も多いです。
全部取得条項付種類株式を発行する場合、通常反対株主がいるでしょうから、これらの手続に漏れがあると、後々反対株主から手続無効等の訴えを起こされる要因となります。
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senpai 2014-01-13 16:32:51
senpai 様
丁寧なご回答ありがとうございました。
詳しい制度趣旨や背景の理解が深まりました。
今後ともよろしくお願い致します。
umegaemochi 2014-01-13 21:29:15