司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/①民法/質権

gummicandy 2014-03-05 19:44:53

質権の設定契約が、要物契約ということで、
同一物上に複数人の質権者は存在しないという認識でよろしいのでしょうか?
もしも、複数質権が設定できるとしたら、
どういう場合があるのか、例示してもらえると、
助かります。

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現在使用頻度が高いのは、住宅ローンで建物に抵当権を設定し、火災保険金請求権に質権を設定して、保険証書を銀行に預けておくことです。
平成15年までは、証書の交付をしなければなりませんでした。
改正後、交付要件が削除されたので、知人からお金を借りて建物に抵当権を設定し、火災保険金請求権を二重に設定することもできてしまいます。(犯罪です)

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senpai 2014-03-06 08:25:30

回答ありがとうございます。
抵当権と質権の共存は理解できたのですが、
質権が、同一ブツ(動産、不動産、権利)上に設定できるのか、
知りたかったのです。
共有という概念が、質権設定において、
そぐわないように思えたので、投稿いたしました。

犯罪になるというのは、刑法上でしょうか?
すみません、刑法をまだ全然学習していない状態なので、
お手間をとらせますが、詳しく説明してくださると、
うれしいです。

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gummicandy  2014-03-06 16:58:04

weblio辞書より引用


二重譲渡と刑法

「「「民法上の優劣関係とはまた別途に、二重譲渡を行った場合に、譲渡人または第二譲受人に関し横領罪・背任罪(またはその共犯)などの成否が問題となりうる。

判例・通説によると、譲渡人に関しては、委託物横領罪が成立(動産の場合は契約時、不動産の場合は登記時)すると解されている(最判昭和30年12月26日刑集9巻14号3053頁)。

他方、第二譲受人については、登記を経ることによって第一譲受人に所有権の取得を対抗できる立場にあり、民法上適法な行為をしたにすぎず、これを可罰的と解するべきではないため、譲渡人との間で横領罪の共同正犯または教唆犯は成立しないとされる(最判昭和31年6月26日刑集10巻6号874頁)。ただし、第二譲受人が背信的悪意者に該当するときは、もはや保護すべき理由はなく、横領罪の共同正犯または教唆犯が成立しうると解されている(福岡高判昭和47年11月22日月報4巻11号1803頁)。」」」」

引用終了

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senpai  2014-03-07 11:27:11

回答ありがとうございます。
たいへん参考になりました。
刑法の分野に進んだときに、横領などの要件が
わかるようになると思われるので、
もう一度、見直してみたいと思います。
二重譲渡が、犯罪になりうる危険を秘めた行為なのだということを、
頭の片隅においておきます。

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gummicandy  2014-03-07 16:30:01

質権は、①動産質②不動産質③権利質、の3つに分類されています。

③の権利質は少し特殊ですし、senpaiさんが先に回答されていますので、①と②の話をしますね。



①動産質と②不動産質
質権は要物契約ですから、質権の目的となった物を相手方に引き渡さなければ、その効力が生じません。

しかし、対抗要件を考えると、①動産質の場合は『占有継続』②不動産質の場合は『質権の登記』となっています。

ですので、①動産質の場合、一旦引渡しを受けた後、担保権者の元からその物がなくなったとしても、質権の効力自体は否定されず、対抗要件がなくなるだけ。ということです。

②不動産質の場合も同様で、引渡しを受けた後、登記をせずにいた場合は、対抗要件がないだけです。


ということは、一旦質権の効力が発生した後でも、所有者の元にその物が戻ってきたら、再度違う者に引渡しが可能になる。というわけです。

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seawind 2014-03-06 11:45:14

回答ありがとうございます。
質権設定者のもとに、再度質物が戻ってくるというのは、
弁済があったときではないのでしょうか?
「再度違う者に引渡しが可能」かつ「再度質権を設定する」という状態にするのは、
現実問題としては、実力行使をして、占有を強奪したとき以外に、
思い当たりません。
複数質権の共存という概念とは、また違うような気がしてしまいます。



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gummicandy  2014-03-06 17:10:40

最初の回答者が妙な方向にミスリードされてしまったようですね。占有の取得が成立要件とされている質権について、一度質権を設定して、その目的物の占有を質権者に移転してしまえば、もはや債務者(質権設定者)の下には、目的物の占有がないから、改めて質権を設定することはできないのではないか?というのが質問の趣旨だったのではないでしょうか?

通常は、質問者の方の疑問にあるとおり、質権を設定して、一旦占有を移転した目的物の占有を債務者(設定者)が回復しない限り、複数の質権を設定することはできないのが原則です。ただ、例外的に次のような場合が考えられます。不動産や動産の場合について回答されている方の内容は、概ね正しいと思います。具体的には、たとえば、兄が叔父さんから60万円借金して、その所有する古九谷の壷(時価100万円)に質権を設定して、占有を移転した。その後、さらに借金をする必要が生じたので、叔父に懇請して当該壷を返却してもらって、サラ金から60万円を借りて、当該壷に質権を設定して、占有を移転した。というような場合が考えられます。

でも、本当に問題となるのは、動産について質権設定を設定する場合の占有移転として、「指図による占有移転」が認められているので、この場合は、従前の占有状態に変化を生じさせることなく、債務者(質権設定者)と債権者との合意と占有代理人に対する指図のみで質権を設定することができます。したがって、複数の質権を設定することが可能です。たとえば、甲が債務者(所有者)で乙が目的物の占有者である場合に、甲が丙から借金して、乙に対して、「以後、丙のために占有する」旨指図すれば、丙の甲に対する質権は設定されます。次にで、丁から借金して、丁のために占有する旨の指図をすれば、丁の甲に対する質権も設定されます。

なお、複数の質権が設定されたとしても、不動産や債権、さらに特例法で公示方法が認められている動産や債権については、対抗要件の先後によって、優先順位が決まるので、問題が生ずるのはきわめて少ない場合ということができるでしょう。対抗要件の認められていない動産の場合も、結果的には、質権の成立順に優先弁済を受けるということになるでしょうが、それは立証の問題になるのではないでしょうか?後順位の質権者については、質権の即時取得による保護もあるでしょう。

あと、「犯罪」についての質問もありましたが、債権の二重質権設定の場合、目的物は「債権」であって、「有体物」ではないので、そもそも横領罪は問題になりません。抵当権や質権などの担保権を複数設定した場合に成否が問題になるのは、目的物が不動産か動産か債権かを問わず、背任罪です。たいていの場合、「損害の有無」が大きな問題となるでしょう。
なお、不動産の二重譲渡に関する回答は、少し言葉が足りません。二重譲渡が必ず横領罪になるとは限りません。民法177条で保護される場合は、本罪は成立しません。債務不履行には、なるでしょう。

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761178 2014-03-13 21:56:37

回答ありがとうございます。
疑問点が整理されていて、とてもわかりやすかったです。
例示されていた、
「兄が叔父さんから60万円借金して、その所有する古九谷の壷(時価100万円)に質権を設定して、占有を移転した。その後、さらに借金をする必要が生じたので、叔父に懇請して当該壷を返却してもらって、サラ金から60万円を借りて、当該壷に質権を設定して、占有を移転した」場合にですが、
借金が返せなくなり、兄が質物を失うことになっても、叔父が有する質権は、単なる債権に性質が変化するという理解で、よろしいでしょうか?

流質契約は、質屋さんにしか許されていないと講義で聞いたもので、質物を処分できない以上、どうやって、債権担保になるのだろうと、疑問に思っておりました。

それとも、業として、流質を行うことが制限されているだけで、
個別に行うことは、大丈夫なのでしょうか?

それとも、質権が実行されて、所有権が移った時点から、有効に使用・収益・処分ができるようになり、
質入れされていた物も、自由に処分できるようになるということでしょうか?

もしもそうなら、流質契約との差異がよくわかりません。

もしよろしければ、ご教授願います。

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gummicandy  2014-03-15 19:19:41

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