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/物上保証人が抵当権消滅請求できるか否か?

nishit17 2014-04-09 11:10:58

とある資格予備校の公開模試の解説で、物上保証人はあらかじめ不動産を担保に供することを承諾しているから民法379条の抵当権消滅請求ができないとなっていました。
たしかに民法380条で保証人であれば抵当権消滅請求できないとなっていますが、あらかじめ不動産を担保に供することを承諾しているというのであれば、抵当不動産の第三取得者も同じではないかと思います。明確な判例はないように思いますが、みなさまご意見お願いします。

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この制度が存続している理由を考えれば、第三取得者のみということがわかります。
京都大学松岡教授より引用。

引用開始

[[[[[滌除制度は、利用自体が少ないうえ、抵当権者に過度に負担を強いる制度の欠陥を悪用
する事例が多いと指摘され、古くから廃止論が主張されてきた。しかし、一方で、債務超
過不動産につき抵当権を消滅させて流通を促進する要請は強いうえ、滌除制度が有用な場
合も存在するとの指摘がなされた。そこで、改正法は、弊害を除去して合理的で使いやす
い制度への衣替えを行い、難読で印象の悪い滌除という名称も、抵当権消滅請求と改めた
(577条も関連して改正)。
改正法は、まず、①増価競売・自己買受義務を廃止した(384条)。これにより抵当権者
の保証金予納の負担もなくなった(民執185・186条の削除)、②抵当権者が消滅請求に応じる
か否かを判断する熟慮期間を倍の2か月に延長した(383条3号、384条1号)。増価競売の廃止
に伴い、抵当権消滅請求に対する抵当権者の対抗措置は、通常の競売の申立てとなる。こ
の場合、売却見込がないことなどを理由として競売手続が取り消されても、承諾擬制は働
かず(384条4号括弧書き。)、抵当権は消滅しない。消滅請求前の状態に戻るだけである。さ
- 4 -
らに、③一度競売を申し立てた抵当権者も、他の債権者の承諾なしに申立てを取り下げる
ことができることとなった(旧386条廃止)。
次に、④抵当権実行通知の制度が廃止され(旧381条削除。関連して旧371条1項ただし書後段
と2項も削除)、抵当権消滅請求は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力発生前
まで可能というように改められた(382条)。実行通知を巡る様々な問題点を解消する趣旨
である。⑤全登記債権者が第三取得者の申出代価等に承諾をし、第三取得者が代価等を支
払うか供託した時点で抵当権が消滅するとして、抵当権の消滅時期が明確化された(386
条)。
さらに、⑥従来は、滌除権者として地上権・永小作権を取得した者も含まれていたが、
これらの者の滌除権行使の例はなく、その必要性も乏しいうえ、賃借人が除外されている
ことと不均衡でもあった。そこで、改正法は、所有権の第三取得者にのみ抵当権の消滅請
求を認めることとした(378条)。これにより、この制度は、債務超過不動産の流通促進と
いう性格に純化されることになった。]]]]]]]]

引用終了


簡単に言えば、バブル時代に、時価2000万円の土地を担保に3000万円貸し付けて、そのまま競売もできず、「塩漬け」になっている土地を有効活用するための制度です。





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senpai 2014-04-09 13:26:47

>物上保証人はあらかじめ不動産を担保に供することを承諾しているから民法379条の抵当権消滅請求ができない
この解説が少し無理があるように思います。言ってることは正しいのですが。

「第三取得者は、あらかじめ不動産を担保に供することを承諾していても民法379条の抵当権消滅請求ができる」
こっちを主として解説しないと、おっしゃるような疑問点が生じてきますよね

抵当権消滅請求の趣旨は
「抵当権付不動産の流通の活性化」そのための「第三取得者の保護」
にあると考えます。

物上保証人は、抵当権設定時の契約の当事者ですから、債務がすべて弁済されない限り
抵当権の抹消登記を申請できないのはお分かりだと思います。
そして、そのような不動産を買う人は普通はいません。
「債務は全部自分が肩代わりしてあげるから、その土地がどうしても欲しい」
そんな人が存在する可能性はありますが、制度として、そんな人が優遇されれば不動産市場も活性化するでしょう
司法書士の仕事も増えます(笑)

一方で抵当権者にとってみれば、欲しいのは担保に入れた不動産でなく、貸したお金です
なので、払ってくれる人がいればそれで十分です。

しかし、そのような担保付き不動産は普通は売れません。
そもそも抵当権者に土地を売却する権利はないです(売るのは設定者)
債務者が弁済しないのに一方的に抵当権を消すわけにもいきません
競売に掛けても値がつかないので(バブル期に高額貸し付けてる場合とか)
抵当権を実行せずに放置状態になったりします。

そのような場面設定が出来た時に
抵当権付不動産を獲得して、抵当権を消して、自分で使おうor誰かに転売しよう
と思った人がそれをやりやすくするのが379条の消滅請求でしょうね
消滅請求する際の価格を第三取得者が一方的に設定できるので
(その価格が不満なら、抵当権者は2ヶ月以内に競売にかけることになります)
上手く行けば、安く手に入れることが出来るのが最大のメリットかなと思います
そうすれば、冒頭の趣旨に繋がります。

この「価格を一方的に」というのを物上保証人に認めるのはいけないでしょう。
契約当事者はあくまでも債務を全額支払って消滅させることが必要です

そして、抵当権者の保護としてバランスを取るために、第三取得者が買い受けた場合は378条の代価弁済の制度があるわけです

>あらかじめ不動産を担保に供することを承諾しているというのであれば、抵当不動産の第三取得者も同じ
>ということで、第三取得者も消滅請求できないのでは?

つまり、第三取得者も消滅請求できないとすると、そもそもこの制度自体が不要となります

(追記)
 最初、抵当権者が不動産を売るかのような表現をしてたので訂正しました。

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ryopapa728 2014-04-09 17:56:25

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