takev 2014-04-16 02:49:32
甲は、行きつけのスナックの店主Aから多額のツケの支払いを迫られていた。支払いに窮した甲は、執拗に支払いを迫るAに対して逆恨みをしていたこともあり、Aを殺害して支払いを免れようと考えるに至った。甲は、次にAのスナックに行った際にAに酒を勧めた上で、隙をみて酒の中に睡眠薬を混入させ、それを飲んだAが昏睡したのを見計らって店に火をつけ、それによりAを死亡させ、また、これまでのツケの記録も焼失させることを計画した。しかし、このような計画を単独で実行するのは困難であったことから、甲は、友人の乙に協力を依頼することにした。甲は、本当の計画を打ち明ければ乙が尻込みするのではないかと考え、乙には「知り合いのスナックの主人を酔わせて金目の物を奪ってやろうと思う。協力してくれないか」と言い、乙に対し、睡眠薬の調達と、Aの気を引いて甲がAの酒に睡眠薬を入れるチャンスを作るという役割を与えた。
乙は、薬局で睡眠薬を購入する際、確実にAを眠らせることができる薬を得たいという一心から、薬剤師の丙に「どの薬が一番効くの?」、「睡眠薬を酒に入れたらやばいって聞いたんだけど本当?グッスリ寝込んじゃうの?」としつこく質問した。丙は、睡眠薬を混入させた酒を他人に飲ませて眠らせた上で財物を奪取したり、女性を姦淫したりする事件の報道を目にしたことがあったことから、もしかしたら乙が睡眠薬を悪用しようとしているかもしれないと考えたが、自分には関係がないことだと思い直し、そのまま販売した。
某日、甲は乙とともにAのスナックを訪れた。Aが乙との話に夢中になっている隙に、甲はAのウィスキーのグラスの中に睡眠薬を数錠を混入させた。しばらくして、Aはだいぶ酩酊してきたものの、昏睡するには至らない様子だったので、しびれをきらした甲は、いきなりAの側頭部をウィスキーのボトルで殴打し、Aを昏倒させた。乙は突然のことに驚き、「何をやってるんだ!」と甲を問い詰めたが、興奮した甲は、乙に向かって「おい、火をつけるぞ」とだけ言い、カウンター内のガスコンロの方に向かって行った。乙は、「俺は付き合いきれん。もらうものだけもらって行く」と言い、Aの財布を取ってその場を立ち去った。甲は、ガスコンロの上に食用油を染み込ませたタオル等を置いて火をつけたが、予想以上に炎があがり、自分の衣服にも着火しそうになったため、慌てて火を消し、そのまま逃走した。Aは、前記殴打によって生じた障害が致命傷となり、甲と乙が立ち去った後、死亡した。 甲、乙、丙の罪責を論じなさい(特別法違反の点は除く)。なお、Aのスナックの店舗は独立した建造物で、A以外に従業員はいなかったこととする。
根拠条文を踏まえお願いします