司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/①民法過去問/20年9肢アについて

akiaki 2014-05-04 14:49:35

取り消しと登記の論点が苦手でどうも自信が持てません。
どうか教えてください。

平成20年ー9-アに「付随」した疑問です。

①AがBとの間の売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、AがCにこの土地を売却し、その後、Cが死亡し、Dが単独で相続したとき、Dは登記をしていなくとも、所有権の取得を「A」に対抗することができる。
→正しい
この結論には納得できます。

ここで疑問が生じたのですが、問題を変形して

②AがBとの間の売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、AがCにこの土地を売却し、その後、Cが死亡し、Dが単独で相続したとき、Dは登記をしていなくとも、所有権の取得を「B」に対抗することができる。
→自分的には、正しい
と思うのですがどうでしょうか?

③平成16年-11-ウ
AはB所有の甲不動産を買い受けたが、その旨の所有権移転登記をしていない。Cは甲不動産をBから買い受けて占有しているが、その売買契約は、詐欺によるものとして取り消された。この場合において、AはCに対し、甲不動産の所有権を対抗することができる。
→正しい。∵Cは無権利者だから。

この③の過去問と同じ様に考えて②も無権利者でるから正しいと判断しましたが、
結論と理由は正しいでしょうか?





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結論から言うと、②のお答えは正しくありません

②と③の違いは
③は、BがAとCに二重譲渡したというのがメインの論点です、
そして厳密にはCは参考書に出てくる「登記がなくても対抗できる第三者」の中で分類される無権利者に分類されません
177条の対抗問題になりますが、BCの譲渡が詐欺によって取り消され、それでも占有しているCは「不法占有者」です
よって、不法占有者に対しては真の所有者は登記がなくても所有権を対抗できる。
177条の第三者にあたらない、なので正しい肢となります

これに対して①②の論点は「詐欺取消後の第三者」です
取消後にAがCに売却した場合は177条の対抗問題となるのでこの場合は
Dは自分に登記がない限り、当事者以外の相手に所有権を対抗することが出来ません
①はAは当事者ですので登記が必要ないのです
Bが無権利者であるかどうかが問題でなく、自分に登記がないと「取消後」の物権変動は第三者に対抗できない
と覚えてしまうのがいいと思います
もちろん、②においてBが不動産を占有しているのならば、Dは登記がなくても対抗できます
そうは書いてないですからね(このように混乱しやすいという理由で、自分で事例を作って考えるのはあまりおすすめしません)

「無権利者」に対しては登記がなくても対抗できるとよく書かれてますが
この無権利者という意味を単に「権利が無い者」と考えれば、自分が所有権を持っていれば
他のすべての人は無権利者なのだから登記なんかなくても自分は誰に対しても対抗できる
ということになり、これだと不動産登記の公示制度その物が訳が分からなくなって混乱してきますよね

この論点で出てくる「無権利者」というのは
本来権利を有していないのに登記簿上の名義人になっている者や、
無効な登記がされた場合の登記名義人
権限がないのに占有している者(これは不法行為者に該当してしまいますが)
無効な取引をした相手
など、権利がないのに権利があるかのような外観を示している場合
などを想定するとわかりやすいと思います

取消後は遡及して、全てリセットされた状態になるので
何の外観もないゼロから始めるので登記をした者が勝つ、という感じです

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ryopapa728 2014-05-04 17:27:18

ryopapa728さま。

詳しい解説ありがとうございます。
不法占有者と無権利者が自分の中で混ざっていましたが、理解できました。
一緒だと思っていました。ありがとうございます。

①は当事者だからなのですね。この時点で間違っていました。ありがとうございます。

②についてなのですが、
やはりよく判らなくなってしまいました。
取消しによる復帰的物権変動による2重譲渡の例と、この事例は違うと思うのです。
つまり
復帰的物権変動による2重譲渡の場合とは
AがBに売却した後にAが取消して「B」がCに売却した事例ではないか?と思います。

想定しているのは
AがBに売却した後にAが取消して「A」がCに売却した事例です。
だからこの事例は、2重譲渡の問題ではないような気がします。


本当にこの分野が苦手で自分がとんでもない思い違いをしているのかもしれません。
間違っていたら本当にごめんなさい。


考え直した結果、不法占有者の理屈じゃないような気がしてきました。

AがBに売却した後にAが取消してAがCに売却しています。
AがBに売却した後にAが取消した場合、AはBに登記なしに所有権を対抗できます。
∵A・B間は当事者だから
復帰した所有権をAはCに売却しました。取消しにより所有権は「B→A→C」と移転します。
CはBに登記なしに対抗できる。
∵BとCの関係は前主・後主の関係であって当事者の関係と同じと考えられるから

…やっぱり良く判りません。
2重譲渡の事例のような気もしてきました。
ryopapa728 さまの言うように自分で事例を設定するのは初学者には危険なのでしょうね…。
うーんやっぱり解りません…

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akiaki  2014-05-04 17:39:44

奮闘なさってるようですね

初学者の方、ということですので、ここは敢えてどこで混乱しているのかを予想しながら一言

まずは「復帰的物件変動」という言葉を忘れて一度整理するといいと思います
取消の効果として民法121条で「遡及して無効、最初から無かったことになる」
これが大原則です

しかし最初から無かったことになるはずなのだけれども
観念的には一度Bに所有権が移転したものがAに戻るようにみえると考えることもできます。
それを復帰的物権変動と言うのですが、
よく考えれば遡及的無効と全く矛盾した法理ですので混乱するのも当然
分けて考えるべきです

まずは条文だと思うので121条で考えて過去問など解いていけばいずれ復帰的物件変動も
理解できると思います

>AがBに売却した後にAが取消してAがCに売却しています。
>AがBに売却した後にAが取消した場合、AはBに登記なしに所有権を対抗できます。
>∵A・B間は当事者だから
>復帰した所有権をAはCに売却しました。取消しにより所有権は「B→A→C」と移転します。
>CはBに登記なしに対抗できる。
>∵BとCの関係は前主・後主の関係であって当事者の関係と同じと考えられるから

ここを、復帰的物権変動の考え方を捨てて、「取消後は遡及する」だけで考えてみましょう
取消したのでAからBへの物件変動自体が無かったことになり、所有権はAにある状態に戻ります
Aから不動産を譲渡されたCは登記がなければ当事者以外の第三者には対抗できません
CとBは何の関係もありません、遡及した時点でAとBの関係も当然何もありません
何の関係もない唯の第三者ですから、Cは登記がないとAから取得した所有権をBには対抗できません

こんなのでどうでしょう?

senpaiさんのおっしゃるように実際の過去問でさえも事例を膨らませれば
これってこう考えたら正解なくなるよな・・・と混乱してしまい
「そう思うけどここは考えないことにする」という場面も結構あったりします
そこで、基礎講座で学んだことだけで考えて解く、というのが大事になります
試験問題は条文、判例、通説から必ず作られるものであって、作成者が新しい事例を作って問題に出すことはありません、なので過去問そのものの質問ならかならず判例、通説、条文などに
確実な根拠があってそこを引用することによって確実な答えを導くことが出来ます

がんばっていきましょう!




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ryopapa728  2014-05-04 19:07:33

ryopapa728さま。

丁寧な解説ありがとうございます。
もう一回考えなおしてみます。
ありがとうございました。

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akiaki  2014-05-04 19:22:00

2の質問自体現実にはありえないのですが、それは置いておいて、

質問において、登記名義がどこにあるのか説明されていません。
そのため、回答者は自分で想定しています。
だから、回答不能なのと、判例や通説によっているのかも不明です。

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senpai 2014-05-04 18:17:06

senpai回答ありがとうございます。

あまり理解していなくて申し訳ございません。
②の事例は私が設定したものですので、senpaiさまの言うように本来解答が不能なのでしょうね。
あまり深く考えないようにしておきます。

ひとつだけ教えてほしいのですが、
①は過去問そのものです。
過去問にも登記名義の所在がかかれておりませんでした。
よってこの過去問も本来的には、回答が不能な問題であったということでしょうか?
解説では当事者と同一の地位にたつので、登記なくとも対抗できるとありました。


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akiaki  2014-05-04 18:34:00

3についても正しいとは限りません。
なぜなら、取り消されても、Cとして、売買代金が返還されるまで、留置権を行使していれば、無権利者ではない。
物権だから誰に対しても主張できる。
所有権を主張できても、返還請求はできない。

このように、一つの肢だけ抜き出した場合、全体の文脈により、状況が変わるので、それを補わない限り、答えは変わってくる。

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senpai 2014-05-04 18:35:38

senpaiさま。

ありがとうございます。
この過去問も肢だけでは回答不能だったのですね…。
何の問題もなしに正しいと思っていました。

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akiaki  2014-05-04 19:25:07

1の場合、当事者AとD(Cと同一視される)なので、登記名義は無関係です。
Dは、買主として売主に自分のものだと主張できます。
Bに名義があれば、それは別の理論で名義を取得することになります。

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senpai 2014-05-04 18:44:02

Bに名義があった場合の理論は
前主・後主の関係であるからという理論でしょうか?

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akiaki  2014-05-04 19:31:57

質問、回答拝見させてもらいました。

結局②は正しいのでしょうか?
誤りなのでしょうか?
DはBには直接対抗できないけど、
仮にBに登記があったとしても、
DのAに対する債権者代位権で登記請求できそうな気もしますが。
みたいな感じでいいんですかね?

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coles2 2014-05-04 21:40:08

最初の設定された②の状態を文言通り登記はまだAにある状態で取消したと解釈したので
あのような回答を自分はひねり出したのですが
登記名義がBにある状態で取消したのなら
物権的登記請求権をAはBに対して持ってますからそれをDが代位行使して
最終的に登記名義を取得することになるという、おっしゃる感じでいいと思います

で、senpaiさんがご指摘していた通り、裏付ける判例や通説は解りませんので
自分の回答したものは実際どうなのか、よく解りません

勝手に話を膨らませるのはよくないと自分で指摘しておきながら言うのも何ですが
どなたかモヤモヤを晴らすご説明が出来る方ご教授お願い致します

気にせず先に進もう、という提案があればそれも受け入れます
あと2ヶ月ですからね。

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ryopapa728  2014-05-04 23:30:21

正しいかどうかは置いておいて、

試験なら、
不動産物権変動と登記という問題の中で、2の肢だけを考えるなら、私は、C(Dと同じ)は、Bに対して登記なくして所有権を主張できない、と回答します。

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senpai  2014-05-05 08:19:45

senpai様ありがとうございました。

知識としては知ってるけど、出題者の意図を汲み取って
その知識は使わずに答えを出す。
実際の問題では結構大事なことかもしれませんね

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ryopapa728  2014-05-05 10:02:21

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