司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/民法/取消権の消滅時効と除斥期間について

aketomo 2014-05-31 06:30:28

2点質問があるのでお願いします。


民法166条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
民法126条 取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

例えば16歳の未成年者が同意を得ずに契約をしてしまった場合で、17歳の時に取消せることを知ったのであれば、未成年者本人からでも単独で取消権を行使できるので、この場合の起算点は民法166条から考えると取消権を行使することができる17歳の時ということになりますよね?でも、民法126条から考えると追認できる時からなので未成年者の場合、成年に達しないと単独で追認できないので20歳ということになると思うのですが何か矛盾してるような気が…。


「追認できる時から5年(時効期間)」、「行為の時から20年(除斥期間)」については、5年も20年も除斥期間と考える有力説もあるようですが、どちらも除斥期間として考えるなら起算点は「権利発生時」で同じなわけで、例えば詐欺の場合なら、その契約時ですよね?であるなら5年で除斥期間にかかるので20年の期間制限の意味がなくなると思うのですが…。

ご教授お願いします。

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まず、現行民法制定者は、形成権に関しては、通常の時効と区別しているようです。

六法でも「取消権の期間の制限」と見出しが書かれています。






以下引用
期間制限の制度趣旨
取消権の期間制限は、それをかりに時効と呼ぶとしても、債権時効と制度趣旨が大きく異なる。
債権時効の根幹的な制度趣旨は、既に繰り返し述べたように、時の経過による事実関係の曖昧化に起因する諸々の負担や危険から人びとと社会を解放し、日常生活の安心と社会の安定を維持することにある。債権時効制度においては、実際には債権が存在する場合に、債務者に義務を免れさせて利益を与えることは、目的とされていない。そのような義務の免脱を認めることは、それ自体としては不当なことであり、ただ上記の根幹的な制度趣旨の実現のために受け入れざるを得ない弊害である。
時の経過による事実関係の曖昧化は一般的な問題であり、その対象が債権であろうと契約当時の事情であろうと同じように起こるから、取消権の期間制限についても、その曖昧化に起因する負担と危険からの人びとと社会の解放という趣旨は含まれる。しかしながら、取消権の場合には、それに加えて、取消権者による法律関係の一方的形成からの相手方の解放と、その形成の結果からの第三者及び取引社会の安全保護の趣旨も含まれ、むしろこちらのほうが重要である。
2‐2 取消権の行使期間
〈1〉期間の長さ
取消権の行使期間については、債権時効期間よりも短期とすることが考えられる。
取消権の行使期間は、債権時効の原則的期間よりも短期とすることが望ましい。これによるならば、現行126条の定める期間はさらに短くされるべきことになる。
契約当事者は、取消権が行使された場合と同じ結果を、新たな契約の締結という方法で実現することができる。この新たな契約の締結については、時間的制約はない。しかしながら、取消しは、契約相手方の承諾を要しないことから、次の三点において新たな契約の締結と異なり期間制限をすべきであり、かつ、その期間は債権時効期間よりも短期とすることが適当である。
第一に、取消しは単独行為であるため、取消しの相手方は、法律関係の変動をその意思によらずに引き受けさせられる。相手方に対して、そのような負担を長期にわたって強い
ることはできない。しかも、債権時効の場合には、債権が存在することを前提とすれば債務者は権利行使に服するのが本来であるのに対し、取消しの場合には、取消権が存在することを前提としても、取消しの相手方の中には、取消権の行使に服するのが当然とはいえない者(第三者強迫による取消し、制限行為能力取消し〔、錯誤〕の相手方)も含まれている。したがって、取消しの相手方に取消権の存在による負担を強いてもよい期間は、債権時効の期間よりも短期とすべきである。
第二に、取消しには遡及効があるため、第三者も、その意思によらずに法律関係に変動を受けることがある。この負担も、長期にわたって強いることが適当でないことはもちろん、債権時効にはないものであるから、より早期に負担からの解放を認めるべきである。
引用終了






五年後?の民放大改正では、ここの部分も予定されています。

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senpai 2014-05-31 11:20:57

senpaiさん 回答ありがとうございます。

つまり、引用部分をザックリ要約すると、
取消権の性質を考えた場合、その行使期間は短い方がよいのではないか。
現行の「追認をすることができる時から5年」では、いつ追認することができようになるかわからないし、「行為の時から20年」では、そもそも長すぎると。

よって、5年を除斥期間と考え、「行為の時から5年」とした方がよいのではないか。
ということですかね??

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aketomo  2014-05-31 20:46:24

126条は、116条の特別規定なので、それに従う、という考えがあります。
                     「基本法コンメンタール民法総則」別冊法学セミナーNo215

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senpai 2014-06-01 08:50:08

116条の特別規定なんですか?166条じゃなくて??

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aketomo  2014-06-01 09:47:27

訂正 押し間違い

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senpai  2014-06-01 09:50:24

②については、先に書いたような解釈でいいんでしょうか??

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aketomo  2014-06-01 09:56:20

①について

 ここはいろいろ議論が錯綜しているところですね。

 形成権が債権(167条1項)なのか債権又は所有権以外の財産権(同条2項)なのか議論がありますが、解除権に関しては判例があって債権に準ずるものとしています。

 ただ、民法上取消権・詐害行為取消権・遺留分減殺請求権などについては別に規定があるのでその規定に従えばいいのではないでしょうか。



②について

 追認は、取消しの原因となった状況が消滅した後にならなければ、その効力を生じない(124条1項)とあり、詐欺の場合には詐欺の状況を脱した後でなければ、効力を生じなくなります。なので除斥期間説を採用したとしても権利発生時は異なります。

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bolza 2014-06-01 15:44:56

bolzaさん 回答ありがとうございます。

Ⅰ、除斥期間の起算点は権利発生時(例えば詐欺の場合だったら、その詐欺行為があった時)からですよね?
Ⅱ、消滅時効の起算点は権利行使時(例えば詐欺の場合だったら、追認できる時)からですよね?
Ⅲ、であるなら、5年を除斥期間と考えるなら、起算点は当然にⅠのように詐欺行為があった時からとなるのではないのですか?

自分はⅠ、Ⅱ、Ⅲ、のどの部分の解釈が間違っているのでしょうか(>_<)??

では例えば詐欺の場合だったら、どちらも除斥期間と考えた場合であっても起算点が違うのであればそれぞれいつになるのでしょうか??

重ね重ね恐縮ですがご教授お願いします。

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aketomo  2014-06-01 18:55:29

なるほど、言葉足らずで申し訳ありません。

 確かに純粋に論理的パズルのように考えれば、上記のような結論に至るのかもしれません。

 ただ、126条に明確に規定されているように、「追認することができる時」から5年、「行為の時」から20年と起算点は定まっており、条文を無視して議論を進めることは無意味です。

 126条において除斥期間ととらえるか、消滅時効ととらえるかの争いがあるのは「時効によって消滅する」という部分で、法の趣旨から考えると早期の法的安定を求めるためには除斥期間、つまり、援用を不要・時効の中断停止の不可などとしたほうが有効なのではないか、という考えが支配的になっているわけです。

 実際、債権法改正の中間試案を見ると126条を除斥期間とするか消滅時効とするかの明言はありませんが、早期の法的安定を図るため取消し期間を3年・10年とする案が検討されていて、その起算点に関することは議論されておりません。

 ですから、5年を除斥期間とするか時効期間とするかに関係なく条文どおり「追認することができる時」すなわち、取消しの原因となっていた状況が消滅した後(124条1項)が起算点であって、「契約時」にはならないと思われます。

 

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bolza 2014-06-02 14:11:51

なるほど!そういうことなんですね~。

なら納得です(^v^)

何度も返信ありがとうございました。

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aketomo  2014-06-02 17:13:30

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