司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/平成9年 第14問の肢オ(民法)について

tatoon 2014-07-01 04:02:48

どこの解説を読んでも納得できず、質問させていただきます。

土地に抵当権を設定した後に、土地を使用する権限のある第三者が、その所有していた庭石を設置した。
庭石は取り外すことが困難な状態にあり、かつ、経済的な観点からみると、その土地から分離して独立の取引の対象とすることができない。
この場合、「民法370条にいう付加一体物とは、付合物と従物を合わせた範囲の物をいう」という見解に立つと、この庭石に抵当権の効力は及ぶか?

という趣旨の問題であると思います。
この点につき、まず「取り外し困難な庭石」であるので370条の付加一体物に該当すると考えられます。
次に242条但書により、第三者が抵当権に対抗できる権限によって抵当不動産に付加させた物については、抵当権の効力が及ばないと考えられます。
具体的には、抵当権設定時に既に抵当土地につき地上権が登記がされている場合の地上権に基づいて植栽された樹木、抵当建物に設定者以外の者が権限によって付属させた機械などの動産がこれに該当するようです。

本問の庭石も、権限ある第三者が設置しており、242条但書に該当し、結果抵当権の効力は及ばないと私は考えたのですが、どの解説を読んでも効力が及ぶとするものばかりです。

どちらにせよ、本問の解答はオがどちらであろうとも正解が⑵となるのは変わりないのですが、この点につきイマイチ理解できないので、どなたか解説していただけないでしょうか?
よろしくお願いします!

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まず、机上で考えずに現実的に考えてください。

取り外しが「困難」ということは、抵当権の効力が及ばない=競売できないとなれば、その庭石を取り外さなければなりません。費用をかけて取り外した結果、庭は無残なものになってしまいます。
これでは、庭石所有者にも、競売で勝った人にも経済的に不利になります。
だから、抵当権の効力を政策的に「及ばせて」いるのです。
そして代金の中から、庭石所有者に庭石相当分の金額を支払うことで決着します。

抵当権の効力が当然「及ぶ」のではなく、政策的に「及ばせて」いるのです。

このような解釈を「具体的妥当性」といいます。

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senpai 2014-07-01 07:51:06

それでは、建物に備え付けられた機械等の動産について、抵当権の効力が及ばないとする点とはどのように整合性がとれるのでしょうか。

建物に備え付けられた機械等の動産は、取り外されてもそれ単体では他のところには使えないようになってしまいますから、構成部分となって独立性を失った付合物と考えられます。
しかし、370但書には規定はありませんが、権限によって付属された付加物については、付属させた者が所有権を留保するので、抵当権の効力は及ばないと考えられるところ、その具体的妥当性をもってすればこの場合も政策的に抵当権の効力を及ぼした上で、当事者間の不公平は248条の償金請求で図るべきと思われます。

それとも、肢オのように370条の付加一体物を経済的一体と考える説だと、付合物であろうと従物であろうと具体的妥当性を元に判断するので、370条には規定されていない242条但書のような権限ある第三者が付属させた付加一体物には抵当権は及ばないという考え方は、そもそもしないと考えるのでしょうか。

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tatoon  2014-07-02 00:02:06

完璧な解釈がないから、学説がいくつも発生します。

民法で対応できないから、工場抵当法や建設機械抵当法などの特別法が制定され、個々の事案ごとに対処しているのです。

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senpai 2014-07-02 13:35:01

ご回答ありがとうございました。

司法書士の試験対策からいうと、そこまでつっこんで考える必要性はないということですね。

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tatoon  2014-07-02 23:12:43

判例にありますが242条ただし書きの適用については場合わけがあるようです。

弱い付合すなわち立木・庭石等については適用されます。一方、強い付合すなわち石垣や建物の増築部分等は適用されません。
該当する過去問においては、庭石ではありますが「土地から取り外すのが困難であり~」とありこのことから強い付合と判断し、242ただし書きの適用がなく、したがって抵当権の効力は庭石に及ぶということになると思います。

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bolza 2014-07-03 08:53:02

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