司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/民法/法定地上権について

aketomo 2014-07-21 20:30:04

自分は法定地上権が成立するかしないかをできるだけ理屈ありきで覚えるようにしていて、そこで質問なのですが、
設定当時別人所有であったが(建物に設定)、抵当権実行時には同一所有者に帰属していた場合は、法定地上権は成立しないと思いますが、実行前に建物に2番抵当権が設定された場合は、法定地上権が成立するのはなぜでしょうか?結局後者の場合であっても、競落人は建物所有権と土地利用権を取得できるのだから法定地上権を成立させる必要がないように思えるのですが。

これは、前者と違い後者では2番抵当権の設定により法定地上権を成立させる余地があり、より強力な権利を成立させた方がいいからでしょうか?

ご教授お願いします。

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おっしゃるとおりなのですが、少し詳しく説明します。
法定地上権の成立を考えるときに、2番抵当権が出てきた場合には、1番抵当権者の保護を考える必要があります。
そこで、抵当権が一つの場合と二つの場合に分けて説明します。

【1番抵当権設定当時は別人所有であったが、抵当権実行時には同一所有者に帰属していた場合】
1.抵当権が一つ(2番抵当権なし)
⚫︎土地に設定
⚫︎建物に設定
どちらであっても法定地上権は成立しません。
設定当時に別人所有なので、すでに利用権が設定されているはずであり、法定地上権を成立させなくても建物存続を図ることができるからです。

2.抵当権が二つ(2番抵当権があり、2番抵当権設定時には同一所有者に帰属していた場合)
⚫︎1番抵当権が土地に設定
法定地上権は成立しません。
更地として交換価値を把握している1番抵当権者を保護するためです。
⚫︎1番抵当権が建物に設定
法定地上権が成立します。
この場合、2番抵当権設定時には法定地上権成立要件を満たしています。
また、1番抵当権者の保護の点から考えても、法定地上権という強い利用権が成立することは建物の交換価値を把握している1番抵当権者にとって利益になるからです。
この場合であっても、1番抵当権設定当時に別人所有である以上、抵当権が一つのケースと同じようにもともと何らかの利用権が設定されているはずです。
しかし、そのもともと設定されていた土地利用権が、より強い法定地上権に変わることは1番抵当権者にとって利益になるので成立させるのです。
2番抵当権が出てきた場合は1番抵当権者の保護の点から考えるので、抵当権が一つの場合とは発想が少し異なります。

まとめると、法定地上権の成立要件を満たす2番抵当権の設定により法定地上権成立の余地があり、また、より強力な権利である法定地上権を成立させることは1番抵当権者の保護にもつながるからというのが理由です。
また、抵当権が二つで1番抵当権が土地に設定の場合、法定地上権は成立しないと書きましたが、2番抵当権実行時に1番抵当権がすでに消滅していた場合には法定地上権が成立するという新しい判例(最判平19.7.6)にも注意してください。

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g7tih 2014-07-21 21:33:02

 こんにちは。
 土地利用権についての理解ができていないのではないでしょうか。
 同じ受験生で、理屈ありきでお考えになっているようなので、あえて回答を書かずに
 土地利用権について参考になるものを書かせていただきます。

 
土地利用権

(とちりようけん)

土地を利用できる権利全般のことをいう。土地を自由に利用することができるのは、何といっても所有権である。これに対して、他人の土地の利用権は、利用目的に制限がある。まず用益物権として、①工作物、竹木所有のための地上権、②耕作、牧畜に利用する永小作権、③要役地の便益のための地役権、④主として薪炭採草など慣習によって利用される入会権(民法263条、294条)があり、次に債権として、利用目的がさまざまに決められる賃貸借と使用賃借の2つがある。入会権を除き、いずれも所有者との契約によって設定される。

 参考:KEN HOUSING  不動産用語辞典より

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ssibangdoll 2014-07-22 13:39:47

g7tihさん ssibangdollさん 回答ありがとうございます。

「法定地上権を認めても有利にはなれど、不利益にはならない」のだから、「1番抵当権者の保護」として法定地上権を成立させるというのであれば、2番抵当権が設定されなくても、抵当権者保護として法定地上権を成立させてあげればいいわけだし、前者と後者で結論が異なるのが理解できなかったんですよね…。

となるとやはり、前者と後者の違いは、法定地上権の成立要件を満たす2番抵当権の設定により法定地上権成立の余地があること、1番抵当権が消滅すれば2番抵当権しか残らないので、設定者(土地所有者)は成立を予期していること等だと思いますので、その辺を意識しておこうと思います。

詳しい解説ありがとうございました。



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aketomo  2014-07-22 20:46:41

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