syouhouiya 2014-07-24 19:06:26
いつもありがとうございます。
刑法109条2項と111条の適応判断についてなのですが、問題の解説では公共の危険発生の認識がなければ延焼罪が成立すると記載されていました。でも一方で判例では非現住建造物の自己所有建物において公共の危険の認識は不要とされているとも書かれていました。
司法書士は実務家登用試験のため判例重視とは理解しているのですが、ケースによっては109条2項適用の際は公共の危険の認識は必要な場合と不要な場合とあると覚えていた方がよいのでしょうか。公共の危険発生の認識あるときは109条2項適用、ないときは延焼罪と端的に記憶するのは危険でしょうか。よろしくお願いします。
延焼罪は結果的加重犯なので、自己所有の非現住建造物に放火し、結果としては現住建造物または非現住建造物(他人所有)に燃え移ったが、もともとそれらを燃やそうという表象・認容はなかった場合に成立します。(109条2項の客体が始点となる延焼罪の場合)
表象・認容があるのであれば、延焼罪(111条)ではなく、延焼させた客体に応じて現住建造物等放火罪(108条)または非現住建造物等放火罪(109条1項)が成立するからです。
つまり、「◯◯がなければ延焼罪が成立する」というときに◯◯に入るのは公共の危険発生の認識ではなく、108条または109条1項の客体を燃やそうという表象・認容です。
ですから、その問題の解説が間違っているのではないでしょうか。
次に、109条2項の非現住建造物等放火罪(自己所有)に公共の危険発生の認識が必要か、という点についてです。
この点については争いがあり、最高裁判例もないので考える必要はありません。
それよりも、建造物等以外放火罪(110条)では犯人の公共の危険発生の認識が不要だということを意識して覚えた方がよいと、動画で小泉先生がおっしゃっています。
110条の方は最高裁判例もあり、過去問にも出ています。
延焼罪→結果として燃えてしまった客体を燃やそうという「表象・認容がない」
建造物等以外放火罪(110条)→「公共の危険発生の認識は不要」
と覚えておいてください。
参考になった:0人
g7tih 2014-07-25 07:36:50