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/憲法/基本的人権/憲法の私人間効力/適用説

syouhouiya 2014-07-25 12:06:57

いつもありがとうございます。
憲法の人権規定の私人間効力について間接適用説は直接適用説に比べて基本的人権は国家権力に対して国民の権利及び自由を守るものであるとする伝統的な考え方により適合する。と参考書にあったのですが、どうも理解できないでいます。

憲法はもともと国家から国民を守るもので、その考え方である国家権力に対して国民の権利をを守る古き考え方で私人間を考えるのが直接適用説だと思えてなりません。どうして間接適用説の方が適合という考えになってしまうのでしょうか…。よろしくお願いします。

 

憲法の人権規定が私人間にも適用されるかという問題については、①非適用説②間接適用説③直接適用説の三つの考え方があります。
①非適用説<②間接適用説<③直接適用説
というように、右に行くほど私人間に適用される程度が大きくなります。

伝統的な考え方とされている、「基本的人権は国家権力に対して国民の権利及び自由を守るものである」ということの意味は、憲法はもともと国家権力から国民を守るもの(私人対国家)であり、私人対私人の関係を規律するものではないということです。
つまり、「国家権力に対して」という部分が大事なのであって、「国民(私人)に対して」ではないということです。
このことから考えると、憲法の人権規定が私人間に適用される程度が小さいほど伝統的な考え方に適合するということがわかります。
①非適用説<②間接適用説<③直接適用説
の順で、右に行くほど私人間に適用される程度が大きくなるので、伝統的な考え方にもっとも適合するものが①非適用説、次が②間接適用説、もっとも適合しないものが③直接適用説です。

なぜ③直接適用説が伝統的な考え方に適合しないのかについて説明します。
③直接適用説は、私人間にも憲法の人権規定を直接適用するという考え方です。
この考え方によれば、私人対国家にも私人対私人にも同じように憲法を直接適用することになります。
しかし、憲法は本来国家権力から国民を守るためのもの(私人対国家)であるという伝統的な考え方を私人対私人にも同じように当てはめて私人間にも憲法を直接適用することが、伝統的な考え方に適合するということではありません。
上記のとおり、憲法の人権規定が私人間に適用される程度が小さいほど伝統的な考え方に適合するので、むしろ、私人間には憲法の人権規定を全く適用しない(権利の性質上、直接適用が予定されているものを除く)という①非適用説がもっとも適合するという結論になるのです。
このように、①非適用説も含めて考えると、もっとも適合するものは①非適用説ですが、②間接適用説と③直接適用説だけを比べると②間接適用説の方が③直接適用説よりは憲法の人権規定が私人間に適用される程度が小さいので、「伝統的な考え方により適合する」といえます。

参考になった:2

g7tih 2014-07-25 14:43:30

ものすごくよくわかりました。
憲法じたいの効力をどう見るかだったのですね。
丁寧な説明ありがとうございました。

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syouhouiya  2014-07-25 15:58:00

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