司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/民訴/移送/19条1項但し書きの解釈

syouhouiya 2014-07-30 10:04:25

いつもありがとうございます。
以前一度質問したことで再確認になってしまうのですが、民事訴訟法19条1項についてです。
必要的移送の要件は以下の三つと参考書に書いてありました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
①当事者の申し立て
②相手方の同意
③その他(※)

1、移送により著しく訴訟手続きを遅滞させる事とならないこと
2、移送の申し立てが、簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申し立て以外のものであって、被告が本案について弁論をし、もしくは弁論手続きにおいて申述をした後にされたものであるときでないことが必要である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この※についての解釈なのですが、以下の二つの解釈のうちどちらなのでしょうか。

<解釈Ⅰ>
簡易からその所在地の地方への移送申し立て以外
かつ
被告申述後であるときでないこと

<解釈Ⅱ>
簡易からその所在地の地方への移送申し立て以外
かつ
被告申述後であるとき
これら二つのものでないこと


よろしくお願いします。



~補足~
補足として問題では以下のようになっていました。

『簡易裁判所は、その管轄に属する訴訟について、当事者がその所在地を管轄する地方裁判所への移送を申し立て、相手方がこれに同意したときは、移送により著しく訴訟手続きを遅滞させることと習う場合を除き、被告が本案について弁論をした後であっても、訴訟の全部又は一部を申し立てにかかる地方裁判所に移送(①することができる②しなければならない。』

解:②(必要的のため)

回答順に表示     新しい回答から表示     参考になった順に表示

1.2とも違うそうです。

関西大学栗田教授のほーむべじより引用

「「19条1項*  ただし、次の場合には、移送は認められない。 ◦移送により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。または、
◦移送申立てが、簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立て以外のものであって、被告が本案について弁論をし、若しくは弁論準備手続において申述をした後にされたものであるとき(簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立ては、被告の応訴後でも許される)。」」」」

参考になった:1

senpai 2014-07-30 14:04:07

回答ありがとうございます。
1,2、というのはその他の要件として挙げたもののことでしょうか。

>簡易裁判所からその所在地を管轄する地方裁判所への移送の申立ては、被告の応訴後でも許される)。

理解力なく申し訳ありません。
これは解釈Ⅱにあてはまるとして考えてよいということなのでしょうか。
このあたりは本当に苦手です…。

投稿内容を修正

syouhouiya  2014-07-30 18:05:11

解釈ⅠもⅡも違います。
必要的移送の要件3つということなので、「③その他」の部分も要件の1つですが、「~でないこと」と否定形で書かれているからわかりにくいんだと思います。
それなら条文のままの方がわかりやすいですし、条文を原則と例外に整理して考えるともっと簡単に理解できます。

民事訴訟法19条1項の必要的移送についてです。
条文には「地方裁判所又は簡易裁判所に移送」とだけ書かれていますが、移送する裁判所と移送先の裁判所の組み合わせとして、次の5つのパターンがあります。
a 簡易裁判所→その所在地を管轄する地方裁判所
b 簡易裁判所→他の簡易裁判所
c 地方裁判所→他の地方裁判所
d 簡易裁判所→その所在地を管轄する地方裁判所(a)以外の地方裁判所
e 地方裁判所→簡易裁判所

民事訴訟法19条1項を整理すると、以下の通りです。
・原則
当事者の一方の申立て+相手方の同意があれば、移送しなければならない。
・例外
次の場合は、移送してはならない。
例外①(aからeすべて)
移送することによって著しく訴訟手続を遅滞させる場合。
例外②(bからe)
被告が本案について弁論または弁論準備手続で申述をした後。

原則の部分が19条1項本文に対応、例外の部分が19条1項ただし書に対応しています。
例外①と例外②の場合は、たとえ当事者の一方の申立てと相手方の同意がそろっても移送してはいけません。
例外①はaからeすべてに当てはまるのに対し、例外②はbからeにしか当てはまりません。
例外②にはaが含まれていないので、a(簡易裁判所→その所在地を管轄する地方裁判所への移送)だけは、被告が本案について弁論または弁論準備手続で申述をした後であっても移送しなければならないということです。
改正前からあったaのパターンについては、特に当事者の意思が尊重されているからです。
また、例外②の「被告が本案について弁論または弁論準備手続で申述をした」というのは、訴訟が実質的に始まったことを意味します。
訴訟が実質的に始まってから事件が複雑であるとわかり、地裁に移送してほしいと当事者が思う場合もあります。
そのような当事者の意思を尊重するため、aの場合だけは実質的に訴訟が始まった後も、原則通り必要的移送ということにしたのです。

参考になった:6

g7tih 2014-07-30 21:34:13

条文解釈など詳細な説明や法律趣旨まで感謝します。
お二方のおかげでもうこの部分はばっちりです。
回答ありがとうございました。

投稿内容を修正

syouhouiya  2014-07-31 08:44:57

質問タイトル画面へ