huheli 2014-08-25 03:55:22
Aが、実父Bを代理する権限がないのに、Bの代理人と称してCから金員を借り受けた。
この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らして正しいものはどれか。
なおCには、Aに代理権がないことを知らなかったことに過失があるものとする。
肢2:Aが死亡し、BがAを単独で相続した場合、Cは、Bに対し、貸金の返還を請求することができる。
答:×
この問題についてお願いします。
本人が無権代理人を相続したケースであり、当然には無権代理行為が有効にはならず、
また117条の無権代理人の責任に基づいた履行と損害賠償責任については無過失要件を満たしていませんのでこれらによる請求が出来ない事に付き疑いはありません。
ですが115条における無権代理の相手方による取消権では無過失を要件としておらず、問題文において相手方はこの権利を行使する事が出来、その結果不当利得返還請求によって貸金の返還を請求する事が出来ると思うのですが、この問題文ではなぜその要素がオミットされているのでしょうか。
「貸金の返還」という問題文の問題でしょうか。
115条を考慮しない理由について教えてください。
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huheli様
kochanと申します。
私見ではありますが、当該判例とは最判昭37.4.20であることを前提にします。
当該判決は相続人である本人が無権代理人を相続し、無権代理行為の追認を拒絶した場合であって、その場合は当然には無権代理行為は有効にならないと判示していること、及び民法115条の本人が追認をしない間とは追認するか否かを確答しない間と解することとする。以上から、貴殿のいうところの、取消権の行使は検討の余地はなくなり、よつて、法115条の適用の必要性がなくなることになるのではないでしょうか。
また、不当利得による返還請求の検討についても当該不当利得による返還請求権の成立要件の一つである法律上の原因がないには該当しないのであり、これも検討の余地はないのではないでしょうか。
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kochan 2014-08-25 23:29:08
ご意見ありがとうございます。
Aが死亡し、BがAを単独で相続した場合、Cは、Bに対し、貸金の返還を請求することができる。(答:×)
というこの問題文を、
Aが死亡し、BがAを単独で相続し、追認を拒絶した場合、Cは、Bに対し、貸金の返還を請求することができる。(答:×)
と読み取るべきだというご意見ですね。
結局のところ有効な契約では無いので法律上の原因の無い金銭の給付という事になると思いますが、
検討の余地はないとされるのはどういった理由からでしょうか。
huheli 2014-08-26 15:18:31
Aが死亡し、BがAを単独で相続した場合、Cは、Bに対し、貸金の返還を請求することができる
判例の趣旨ということから、
「Aが死亡し、BがAを単独で相続した場合、Bは、追認を拒絶することは許されず、Cは金銭消費貸借が有効なものとして、Bに対し、貸金の返還を請求することができる
と読み解きます。
Bが拒絶したら、無効に確定するので、金銭消費貸借契約ではなくなるので、「貸金」とはならず、不当利得請求事件となります。
「貸金」の返還はあり得ません。
問題は、金銭消費貸借が当然有効とという前提であり、無効になることを無視しているので、誤りという判断がされます。
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senpai 2014-08-26 15:18:18
ご意見ありがとうございます。
「貸金の返還」とは「金銭の返還」ではなく「債務の履行」を意味するということですね。
他の肢と比較してもそのように捉えるべき問題のようですね。
勉強になりました、ありがとうございました。
huheli 2014-08-26 15:30:23
huheli様
貴殿が設問の枝の正誤が無権代理行為の相手方Cが貸金(元本と解する)の返還請求ができることが誤りにつき、民法115条を適用して当該行為(金銭消費貸借契約)を取消した後、貸金の返還を受けることの可能性を、不当利得の成立要件(法律上の原因がないも含む)を満たすことによつて、返還請求権の行使ができるとの主張ではなかったのではないでしょう?
そして、設問に記載はありますが、そもそも、相手方はCは無権代理行為につき知ることができた立場であることであり、そのことは無権代理人の責任追及ができない要件に該当することも踏まえる必要があるのであって、当該過失が存することをもつて返還請求ができないが確定することは設問枝が間違いであることを決定付けることではないでしょうか。また、責任追及には損害の賠償請求も含まれることであり、
元本の返還請求は損害賠償請求と解することとなるのではないのでしょうか。
kochan 2014-08-26 18:10:26
kochanさんの主張される本人が追認拒絶したと考える事と、相手方の取消権の行使もどちらも契約が無効である(あるいは本人への効果が不帰属である)という点には変わりありませんよね。
本人の追認拒絶では相手方が善意無過失の場合にのみ無権代理人の責任について代わりに履行させる事または損害賠償請求するという形によって追及出来ますが、本問題では無過失要件を満たしていませんのでこの責任については追求出来ません。
ですが代わりに履行させる事を選べない以上、この契約が無効である点は変わらず、当初無権代理人が受けた「金員の借り受け」は法律上の原因がない利得という事になりますね。
そこで「Aが死亡し、BがAを単独で相続した場合、Cは、Bに対し、貸金の返還を請求することができる」のではないか(不当利得返還請求によって)
というのが質問の趣旨になります。
115条を考慮しないのはなぜか、としたのは少し分かりにくかったですね。
不当利得返還請求を考慮しないのはなぜか、とすべきでした。申し訳ないです。
huheli 2014-08-26 19:03:09