komachi 2014-09-02 15:52:01
適法な転貸借関係がある中で、賃借人Bが行方不明になって賃料が入らなくなった場合、賃貸人Aは民法613条第1項「転借人は賃貸人に対して直接に義務を負う」により、転貸人Cに対して直接賃料を請求できます。
この場合、転貸料が賃貸料よりも低い場合には、賃貸人Aは転貸料相当額しか請求できなく、差額は行方不明の賃借人Bに請求すると各種の本にはあります。
また、前払を持って対抗できないとの意味は、転借人Cは転貸借契約での転借料支払期日前に支払済みであるとの主張ができないとの説明です。
他方、民法613条第2項「第1項の規定は賃貸人が賃借人に対してその権利を行使しようとすることを妨げない」とあることから、片務的債権関係を定めたもので、賃貸人Aは転借人Cの存在によって賃貸人としての権利行使が制約されることはない、とも説明されています。
以上から、賃貸人Aは、賃貸料に足らない転貸料しか入らない以上、第2項により賃借人Bの賃料不払いを理由して原契約を解除することになるのではと思います。
これでは、転借人Cは第1項が定める義務を履行しても自己の法的地位を護れません。
私見ですが、転貸料が賃貸料よりも低い場合には、賃貸人Aは滞納となっている賃借料を含めて賃借料相当額を転借人Cに請求できると解釈しないと、賃貸人Aは、これまでの転貸借関係を終わらさざるを得なくなってしまいます。
そして実際の面では、転借人Cが転貸借関係を続けたければ賃借人Bの負担分を立替え払いをするものと思います。
転借料が賃借料よりも低い場合には、民法613条にはどういう存在意義があるのか、おかしな規定だと思うので、この件について、皆様の意見をお聞かせください。
それとも、なんら帰責事由のない転借人Cを護るために、第三者弁済として転借人Cは賃貸人Aに対して原賃貸料相当額を弁済する権利を有するとの解釈ができるのでしようか。
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komachi様
kochanと申します。
私見ですが、貴殿の転借料が賃借料よりも低い場合には法第613条はどのような存在意義があるのかということにつき、前提として、法613条Ⅰ賃借人が適法に賃借物を転借したときは。。。。の文言に着目する必要があり、すなわち当該法は転貸借には賃貸人の承諾があることを適法として成立するとしているのであって、賃貸人が転貸借を認めた以上はその債権(賃料)の行使についての欠缺につき受忍せよ。と解することが出来るのではないでしょうか。要するに法613条の前提として法612Ⅰ・Ⅱが存在することにおいて、はじめて法613条がその存在意義を見い出せることとなるのではと思います。
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kochan 2014-09-02 23:09:37
民法613条第一項が有効に機能するのは転借料が賃貸料よりも高い場合に限られるような気がします
我妻先生の系列を引く本、exダットサン、内田民法、では、この場合に賃貸料の範囲で請求できると記載されており
逆のケースにまでは触れられておりません
司法書士山本先生のオートマシリーズではどちらか低いほうを請求できるとあるのみです
繰り返しになりますが、賃貸料よりも低い金額しか入らなければ、賃貸人は賃貸契約を解除するはずです
komachi 2014-09-03 12:48:26
komachi様
再度の当方の主張にはなりますが、貴殿の主張の意図としている、賃貸料の不払いを原因とする債務不履行による賃貸借契約(原契約)の解除権の行使は、原契約における賃貸料が転貸料よりも高い場合の差額の不払いを原因とすることに限られるのであり、当該解除権の行使及び賃貸料又は転貸料の低い賃料の支払いの転借人に対する請求は賃貸人の選択によりすることができると解するとした場合、その前提としては法612のⅠ・Ⅱからの賃貸人の転貸借契約の承諾が要件であると思われる。
他方、賃貸人の承諾のない場合、原契約においての法律違反により、転貸借契約を法612のⅡの適用して解除できる。
そして、転貸料が賃借料よりも高い場合においては賃貸人の賃借人(転貸人)との賃貸借契約の債務不履行には該当しないのであり、賃貸人には賃料債権としての不利益を被ることはない。よって、解除事由がないので原契約は解除できないことになる。
また、賃貸借契約と転貸借契約は別個独立した契約ではあるが、法499Ⅰ及び法500の適用には要件が欠けているので第三者弁済には該当しないと思います。
kochan 2014-09-03 17:09:09
賃貸人A
賃借人B
転借人C とします。
賃貸借契約の当事者はAB、転貸借契約の当事者はBCであるので、AC間においては契約関係がなくよって直接の権利義務関係は生じません。
しかし、Aがいったん承諾してしまったためにその後何の権利を主張できなくなるのは著しく不公平だということで、賃貸人を保護する目的で設けられたのが613条です。
確かに、Aには物権的請求権を有しているし、債権者代位権を行使すればそれなりに救済することは可能ですが、直接条文にした方が簡単に保護できます。
そして、これは通説ですが、法的バランスを保つためにCの負う義務の内容はBがAに負う義務の範囲を超えないとされています。
賃貸料<転貸料の場合
Bの負う債務の範囲内である賃貸料を支払う
賃貸料>転貸料の場合
Bの負う債務の範囲内である転貸料~賃貸料の相当額を支払う
又は、
Bの有している債権を超越しないと考えて転貸料を支払う
(後者の方が一般的)
蛇足ですが、賃貸人を保護するのが613条の趣旨なので、転借人は義務を負うだけであり権利を主張することはできません。
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bolza 2014-09-04 08:19:38
bolza様
丁寧な説明ですが本に書いてあることの域を出ません
確かにこの613条は賃貸人を保護するための片面的債権関係を定めたものとあり、賃貸人・転借人間の利益調整のためとか転借人の立場を保護するためとかの説明がある民法解説はありません
私が思うには転借料のほうが賃貸料よりも高いのが普通で、賃貸人は賃貸料相当額さえ確保できれば転借人ともども両者の関係をwin-win gameに持ち込むことは可能でしょうが
逆に転借料のほうか低ければ賃貸人は第2項にしたがって原契約を解除して転借人を追い出して、賃借料相当額で新たな賃借人を見つければよいだけのことです
だから第1項の存在意義が分からないので悩んでいるところです
なお、ネット上での解説には弁護士解説との説明つきで「転借人は賃料の前払いをもって賃貸人に対抗できない」のだから
賃借人が滞納している分をも居続けたい転借人に請求できるとの解説がありますが、前払とは転貸借契約で定める賃料支払日前の支払のことであり、今月分は期日前に賃借人に支払っちゃったということが言えないというまでで、賃借人が滞納した月分までを転借人に求める根拠とはならないはずですのでご注意をいただきたいと思います
komachi 2014-09-04 12:53:45
komachi様
確定的なことはいえないのですが、ネットにおいての弁護士解説は法学上の反対解釈という手法によるものと思われます。
文理解釈では貴殿の主張とおりの最高裁判決が存在しますが、そのアンチテーゼとしての解釈ではないのでしょうか。判例の変更を求めることを意図とした訴訟の場合には暗黙のうちに主張されることはよくあります。あくまでも暗黙です。
そして、本題について、何がしの民法学者の裏づけが必要であり、貴殿が納得する説明がされているものはないのではないでしょうか。
要はあくまでも民事においては民法上の条文が絶対的な効果をもたらすことは不可能であり(強行規定においてもしかり)、様々な考え方が存在することを前提に大まかな法のしばりと判例の適用により一定の規範を確立しているのが現状と
思われます。
なので、貴殿が司法書士資格の受験生という立場である場合は自己の納得は放置することが合格に近づくのではと存じます。
そういう当方も受験生であるのですが・・・。
失礼しました。
kochan 2014-09-04 18:11:42
「612条2項を根拠に賃貸借契約を解除する」と勝手に解釈してしましおかしなことになってしましました。申し訳ありません。
賃借料<転借料は納得されているということなので、賃借料>転借料の場合について書きます。
確かに、賃借人の債務が不履行なので賃料債権が金銭債権であるならば541条に基づき、それ以外の債権であれば541又は543条に基づいて解除しその結果として転貸借契約も消滅し転借人を追い出すことは可能です。ただ、613条の規定がないとすると賃貸人の選択肢はこの解除するという方法しかなくなってしまいます。
賃貸人は解除して新たに賃借人を募って賃貸借契約を締結すればいいといいますが、必ず締結するとは限らず、締結できたとしても今よりのいい条件で成立する保障はありません。不動産価格が減少傾向にある場合今ある契約を維持して資本の回収をした方が賃貸人にとって有利に働く場合もあります。また、転借人が優秀で思わぬ果実を生み出し、その結果として不動産の価値を上げてくれるかもしれません。
賃貸人に選択する余地を生み出しその反射効として転借人も救済されるので意義があると思います。
話は変わりますが、転貸料が賃貸料より安いということは別に珍しいことではありません。
田舎の農作地において長期の賃貸借契約がなされている場合、賃借人に所要が生じて耕作することができないときによく又貸しをすることがあり、この場合ほとんど無料で耕作をお願いすることがよくあります。
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bolza 2014-09-05 06:35:24
ネットにおいての弁護士解説は法学上の反対解釈という手法によるものと思われます。
とても参考になりました
安易にネット回答を信用してはいけないと言うことを
出典のないモノはかなりデタラメが多いようですが
弁護士名でも意図的に、誘導的に書いているとは知りませんでした
komachi 2014-09-05 07:25:58
転貸料が賃貸料より安いということは別に珍しいことではありません。
いやいや、親族・姻戚内での又貸しくらいじゃないでしょうか
そもそも、転売、転貸って資本主義社会の源じゃないのでしょうか
田舎の耕作地の話については、耕作する人がいないから、ただで誰かに使ってもらって耕作放棄地化するのを防ぐって
あるけど、これは農地法の立場で言えば自作農主義に反し、ヤミ耕作と言って農地法違反です
komachi 2014-09-05 13:02:51
えっ!? 違法? その農地法に使用貸借の場面も想定されていますが…
これは試験的には関係ないので参考までに書きますが、
農業委員会に提出する農地賃貸借契約書には転貸又は譲渡の条項があり、一般的には次のよう定めて契約します。
賃借人は、本人又はその世帯員が農地法第2条第2項に掲げる事由により借入地を耕作することができない場合に限って、一時転貸をすることができる。その他の事由により賃借物を転貸し、又は賃借権を譲渡する場合には、賃貸人の承諾を得なければならない。
この条項がないと賃借人は尻込みをして賃貸借契約をしません。
そして、この無承諾転貸の場合、周辺の農地耕作者が転借人となることが多く無理を言って頼むので転借料が形だけ程度ということがよくあります。
このことが認められないと結局のところ所有者・賃借人・周りの農地耕作者誰もが不幸になってしまいます。
bolza 2014-09-08 21:18:32