takugin97 2014-10-13 17:03:52
皆様、よろしくお願いします。
種類株式を発行している会社についてです。
①株主割当てのとき(322条1項4号)
ある種類株主に対して募集株式の発行をするときは、原則としてこれにより損害を及ぼすおそれのある種類株主総会の特別決議を要する、ということですが、具体的にどのような場合が「損害を及ぼすおそれ」に該当するのでしょうか。
②第三者割当てのとき(199条4項)
ある種類株式が譲渡制限株式であるとき、その種類株式の株主総会の特別決議を要する(簡単に株主のメンバーを変えたくないから)とのことです。ここまでは理解できるのですが、このときは、上記①のように、ほかの種類株主総会の特別決議は不要ということでよろしいのでしょうか。
上記①のように、「新しく割当てることで、損害を及ぼすおそれがあるので、ほかの種類株主総会の特別決議も必要」とはならないのでしょうか。
よろしくご教示ください。
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まず、最初に押さえて頂きたいのが株主割当ての定義です。
種類株式発行会社にあっては「当該株主の有する種類の株式と同一の種類のものを割り当てる」ということになります。(202条1項)ですから、例えばA種類株式を株主割当てによって新株を発行しようとするときは、B種類株式の株主はそれを享受することができません。
そこで具体例ですが少し極端な事例ですと、A種類株式は種類株式の内容として取得請求権付株式とされていてその取得の対価は1株につき1000万円であるとすると、A種類株式の募集価格が1株につき1000円であればA種類株式の株主にとっては非常に有益でありA種類株式の株主以外の株主にとってはA種類株式が一斉に取得請求されれば会社財産の流出につながり、ひいては会社の存続も危うくなるかもしれません。こう考えるとA種類株式を株主割当てによって発行するとA種類株式の株主以外の株主に損害を及ぼす恐れがあるといえます。
ただし、このA種類株式を第三者割当によって発行しようとするときはA種類株式の株主以外の株主に対しても申込みの機会が設けられるため322条のような決議をし承認を得ることは不要となります。(拒否権条項付種類株式を発行している場合は種類株主総会の普通決議を要する場合はあります)
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bolza 2014-10-19 08:57:31
bolza 様
ご指導有難うございます。
なるほど、定義からしっかりおさえる必要があったのですね。
具体例もイメージしやすくて、解かり易い!
とても嬉しいです。
有難うございました。
takugin97 2014-10-20 19:42:27
まず、用語の定義をきちんとしておかないと、誤解が生じます。
以前は、
株主割り当て
第三者割当・・・特定の第三者(安定株主の保険会社など)と事前に契約をする
公募・・・証券会社に委託して広く株主を募集する
以前の商法から使用している人は、ただ「第三者割当」という用語を使うと、会社法205ことだと思い込みます。
「あたらしい会社法」日本加除出版
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senpai 2014-10-19 14:34:04
私が所持している会社法関連の書籍では、株主割当てと対比する形で普通に第三者割当と記載されていますが、確かにご指摘のとおり「特定縁故者に割り当てを受ける権利を与える」という意味で使用されていますね。
ですので、第三者割当の部分は「株主に株式の割当てを受ける権利を与えない」としておきたいと思います。
失礼しました。
bolza 2014-10-19 21:10:20
takugin97 様
少しだけ述べさせていただきます。
貴殿の当該法解釈につき、誤解釈なされているのではと感じます。
条文法322条1項のすべてにおいて当該という文言は何を示しているかお考えいただきたいと存じます。当方の早合点であれば、まことに失礼でありますので、その旨を深くお詫びさせていただきたいと思います。
老婆心なことではありますので・・・
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kochan 2014-10-22 17:59:13
kochan 様
ご指摘有難うございます。
皆様のご指導を拝見し、自らが誤解していたのでは、と思いました。
老婆心などではなく、貴重なご指導として承ります。
今後ともよろしくお願いします。
takugin97 2014-11-03 13:07:42
はじめまして,takugin97様
なかなか意味深なハンドル・ネームですね。
今回が初投稿になります。皆様にもはじめまして,よろしくお願いします。
①について
典型的な例は,ある種類の株主に対してのみ募集株式の割当てを受ける権利を与える場合であって,不当に安い払込金額を定めた場合です。このような場合,当該株主割当ての対象となる種類以外の種類株主に損害を及ぼすおそれがあります。
なお,ご存知のように,株主割当てについては,第三者割当てと異なり,有利発行に関する規制が及びません(202条5項による199条3項等の不適用)。
②について
株主割当てでなければ,募集に係る種類株式以外の種類株主による種類株主総会決議は不要です。
322条1項各号に掲げられた行為が限定列挙であるとの立場からは当然そうなります(322条1項4号かっこ書き)。
例示列挙と解する立場に立てば,必要な場合もある,とか主張できそうな気もしますが,
法が明文で株主割当てに限定していること,
また,株主割当てによる募集と並んでいる他の行為が株式無償割当てや株式の分割であること
(これらの行為は,いわば無償でする株主割当てみたいなものですね。)からすると,
かなり苦しいものがあります。
第三者割当ての方法によってある種類の種類株式を募集する場合については,
授権枠(発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数)の範囲内であれば,
他の種類株式の種類株主に対して,
種類株主総会を要するという形での保護は与えられていないとみるべきでしょう。
その前段階たる授権枠の拡大について種類株主総会の決議を要するものとすること(322条1項1号ハ)で十分
というのが,法の趣旨であるようです。
以上,主に金子登志雄さんの論文「株式の発行と種類株主総会決議の要否」(「月刊登記情報」590号)に依拠して説明してみました。
同論文にも引用されている会社法立法担当者の一人のブログ「会社法であそぼ。」の該当記事もご覧になることをおすすめします。
エントリー名「種類株式と株主割当て」又は記事の中のフレーズ「発行可能種類株式総数の範囲で、募集株式が発行されるのは、原則として、他の種類株主は覚悟しておきなさい。」で検索すればヒットするはずです。
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Kilroy2014 2014-10-25 00:20:59
Kilroy2014 様
ハンドルネームについてご指摘いただいたのは、使い始めて以来、貴殿が初めてです。恐れ入ります。
「会社法であそぼ。」は、これまでも参考にさせていただくことがありました。
金子氏のご著書も参考に回答していただき、解かり易い内容でした。
遅ればせながら、真摯なご指導にお礼を申し上げます。
また今後もよろしくお願いします。
takugin97 2014-11-03 13:05:06