shako 2014-10-26 17:09:50
こんにちは。
補欠役員の選任についての質問です。よろしくお願いします。
会社法329条2項にその規定がありますが,補欠役員を選任することができるのは株主総会で役員選任の決議をする時に限られているのでしょうか?
例えば,平成26年6月30日開催の定時株主総会で選任された取締役A(任期:平成28年6月開催予定の株主総会終結のときまで)の補欠として同総会で選任されたB(任期:平成27年6月開催予定の株主総会の開始のときまで)がいる会計年度を毎年4月1日から翌年3月31日までとする公開会社(役員及び補欠役員の任期について特段定款の規定がない会社)で,平成27年6月に開催される定時株主総会に役員選任が会議の目的とされていない場合,補欠役員のみの選任決議をすることはできないのでしょうか?
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前段について
限られません。
後段について
可能です(補欠役員の選任が会議の目的とされていれば)。
臨時総会において補欠役員の選任議案のみ付議することも,別に禁じられていません。
会社法329条2項は,同条1項により直ちに選任の効力を生ずる
いわば正規の役員の選任決議を行う株主総会と同一の機会に限り,
補欠役員の選任決議を行うことができる,
という趣旨の規定ではありません。
役員の予選は,長期にわたる場合,
その適法性について疑義が生じがちです。
一方,欠員発生の都度の臨時総会開催は
会社にとって負担が重いので適法な予選を行うニーズがあります。
同項は,このニーズに答えて,平成18年会社法施行の際,新設された規定です。
その前は法に明文規定はなく,
平成15年1075号先例が,同旨をいっていました(ただし定款の定めを要求)。
なお,2項の規定による選任決議は,
1項の規定による選任決議と
全然別物,というわけではないことに注意しましょう
いずれも決議要件は341条であり,
いずれの決議の日も,役員の任期の起算点である選任の日に当たります。
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Kilroy2014 2014-10-27 01:34:40
Kilroy2014様
返信いただきましてありがとうございます。
そうだったんですね!
会社法329条2項の最初に『前項の決議をする場合には』とあったので,同一の機会に限られるのかと思っていました。
ただ,この部分をどう解釈するのか頭の中で整理できていないのと,欠員発生の都度の臨時総会開催は会社にとって負担が重いからこそ,補欠役員の選任のためにわざわざ臨時総会を開催せずに同一の機会に選任しなさい。そうでなければ欠員が発生したときに臨時総会を開いても同じでしょ・・・と思えてしまうのです。
Kilroy2014様がおっしゃる『なお,2項の規定による選任決議は,1項の規定による選任決議と全然別物,というわけではないことに注意しましょう』の部分にカギがあるのでしょうか。
呑み込みが遅いほうなので,整理できるまでまだ時間がかかりそうです。
ご返信ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。
shako 2014-10-27 04:35:32
kilroy2014様
kochanと申します。
この場を借りて貴殿に質問があるのですが・・・。
①当該法の2項の法務省令で定めるところにより・・・の法務省令とは会社法施行規則第96条のことでしょうか?
②当該法2項のこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くときになったとき・・・の員数は何を示していて、その欠けた場合には当然に役員を選任しなければ会社法に違反することになるのか否か?(定款については当設問において除外してもかわないと思いますので除外していただいても結構です)
③臨時株主総会の招集要件とは?そして、当該要件を満たすならば該当する場合とは当設問においてどんな場合であるのか?
④法解釈一般として、判例・先例がない場合には通説として法を文理解釈するが妥当なのか否か?
以上ですが、まことに勝手なことなので貴殿の意に沿わなければ回答の方は無視してください。
宜しくです。
追伸
すみません、後一つだけ宜しくです。
予選による役員とは後任の選任に該当するのか否か?
そして、後任の役員選出ならば、補欠の役員選出と同視できるのか否か?
お手数をかけますが・・・
kochan 2014-10-27 13:59:15
まず、取締役会設置会社では、議題として招集通知に記載されていない事項は、決議することはできません。
会社309-5
これは、議題を見て、欠席した株主に不意打ちを与えないためです。
役員選任の件という議題で、当日追加修正動議で、補欠役員を選任することは、「役員選任の件」で予測可能なので許されるでしょう。
それに対して、計算書類の承認と定款変更(目的の変更)としか記載のない招集通知で、修正動議で当日補欠役員を選任することはできません。役員選任なら、出席あるいは委任状提出したのに、という株主に不利益をもたらすから。
「会社法千問の道標」Q363
「ズバリ解説 株式と機関」File 4-4
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senpai 2014-10-27 08:39:30
senpai様
返信ありがとうございます。
なるほど! 動議会社法329条2項の最初の『前項の決議をする場合には、・・・』の部分は,議題に記載されていなくとも修正動議によって補欠役員の選任が可能であることを明らかにしているのでしょうか。どうもありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。
平成26年10月30日0:16 カッコ書のとおり訂正します。
なるほど! (削除)会社法329条2項の最初の『前項の決議をする場合には、・・・』の部分は,(議題が正規役員の選任の件だけで,補欠役員の選任の件が)議題に記載されていなくとも修正動議によって補欠役員の選任が可能であることを明らかにしているのでしょうか。どうもありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。
shako 2014-10-30 00:19:29
再度shako様に
もっとはっきり,次のように言った方がよかったかもしれません。
会社法329条2項は,(欠員が出たときという)条件付きで役員選任決議をすることを許容する規定です。「前項の決議をする場合においては」の部分に,それ以上の意味はありません。
この条件付き役員選任決議について,法は,無条件で選任決議をするのと同一の株主総会で行わなければならないとか,定時総会に限るといった限定を加えていません。また,条件付き選任決議は,かかる限定の下で許容されるものと解すべき,といった議論は,わたしの知る限り,(立案担当の役人・商法学者の)誰もしていません。この条文の読み方について,そのような解釈問題は生じていないのです。
たしかに,事実上,329条2項の補欠役員の選任が,定時総会において,正規の役員の選任と併せて行われることになるのは,欠員の都度の臨時総会回避の便宜のための制度である以上,自然な流れです。
しかし,①正規の役員の改選がない定時総会や②臨時総会で補欠役員の選任をする必要があるという事態も,さほどイメージしにくいものとは思えません。
①については,ご自身の設例(最初の質問後段)がずばりです(補欠Bについてカッコ内に「任期」とある部分は,予選決議の有効期間(会社法施行規則96条3項本文)のことですよね。念のため)。定款変更が可能であれば,被補欠者の任期と補欠者の選任決議の有効期間をそろえておくという手もあります(同条3項ただし書)が,別に強制ではないので。ちなみに,1年ごとに補欠の方を改選するとしても,取締役ならば,定款の規定によらず,被補欠者たる取締役の残存任期と同一の任期しかないものとして選任できます(332条1項ただし書)。
②については,例えば,正規の(現職の)方ではなく,補欠の方が次回の定時総会のはるか前に死亡した場合を考えてみてください。臨時総会とは必要がある場合いつでも招集することができるものですから(296条2項),補欠役員のあとがまを選ぶことを目的として開催することに問題はないと思われます。
なお,上場会社の臨時総会で,正規の増員取締役の選任のほか,(新たな)補欠社外監査役のみの選任が付議された実例ならあります。
ついでに他の回答者様のおっしゃる309条5項の話と最初のご質問の関係について
最初の質問後段の「役員選任が会議の目的とされていない場合,補欠役員のみの選任決議をする」の部分を読んだ時,わたしも,一瞬は,会議の目的(=議題)ではないなら,決議できないに決まってるじゃない,とか思ってしまいました。今回の回答の冒頭部分のような理解から,議題である役員選任には補欠役員の選任も含めて読んでしまうし,公開会社ならば取締役会設置会社だからです。
しかし,shako様が疑問をもたれているのは,そこについてではないと判断しました。なので「可能です(補欠役員の選任が会議の目的とされていれば)。」とカッコ書きして返したわけです。
訂正
最初の回答であげた旧法下の先例番号は間違っていました。
正しくは平成15年4月9日民商第1079号になります。
さらに追記
この先例発出当時の民事局商事課の人の解説も参考になるかな。
「定款において、定時株主総会における補欠者の予選のみならず、臨時株主総会における補欠者の予選についても規定を設けている場合には、次期定時総会が開催されるまでの間効力を有するという前提で、臨時株主総会で補欠者を予選することも可能と解すべきであろう。」
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Kilroy2014 2014-10-29 13:32:11
Kilroy2014様
再度のご回答,それも大変丁寧に分かりやすくご説明くださり本当にありがとうございました!!
拝読しまして,自分が書いた質問文を読み返しました。今赤面状態です。最初,質問は一つだけで,後段部分はその質問を事例にして繰り返すつもりだったのですが,施行規則の補欠役員の任期が「次の定時総会開催まで」となっていたので,どうして正規役員の任期と同じみたいな規定じゃないのかな? という疑問がでてきて,何故か二つ目の(それも変な)質問を書いてしまいました。投稿前に読み直しもしたんですけど,全く気が付きませんでした。(本当に恥ずかしいです。)
ところで,ご紹介いただきました登記先例及び民事局商事課担当官の解説をインターネット検索して読むことができました。Kilroy2014様から最初の回答をいただいた後も,補欠役員の選任は正規役員選任と同一の機会に限られるかもしれないという考えが排除できずにいましたが,再度頂いたご回答のおかげで混乱していた頭の中も整理でき,その考えを排除することができました。また,会社法施行前から先例によって運用されてことを知ることもでき,大変勉強になりました。
貴重なお時間と大きな労力を使っていただき,心より感謝申し上げます。
お陰様で誤った考えを正すことができました。ありがとうございました。
shako 2014-10-30 01:45:24
恥ずかしながら,再び訂正です。
2度目の回答中
「定款変更が可能であれば,被補欠者の任期と補欠者の選任決議の有効期間をそろえておくという手もあります(同条3項ただし書)」
とある部分は,条文を引き間違っています。
定款の別段の定めとして,有効期間を伸長することが言いたかったので,
ここも,ただし書じゃなく本文でした。
(ただし書は決議による短縮)
取り急ぎお知らせまで。
shako様には,改めてレスします。
Kilroy2014 2014-10-30 11:16:18
三たびshako様に
後でレスすると言いながら,日付がかなり空いてしまってすいません。
お役に立てたようで,うれしいです。
また,ご自身で先例と先例解説に当たり確認されたとのこと,
頭の下がる思いです。
ご質問の内容は,あまり人が思いつかない,
それ故自己解決の難しい疑問だと思います。
こちらも回答しがいのあるものでした。
(結局,空き時間に調べたり考えたりして
回答を作ること自体が楽しいのもあって,やっているわけです。)
それと,変な,とおっしゃっている二つ目の質問(例示)は,
こう言ってよければ適切なものだったと思います。
これがなければ,shako様が何を疑問とされているのか,
こちらで把握するのがイマイチ難しかったかもしれません。
このご質問から「役員選任」と「補欠役員の選任」をまるきり
別物のようにイメージされていることが読み取れ,
ヒントになりました。
わたくしが必ず応答すると約束することは無論できませんが,
疑問がわいたら,また,ぜひ投げてみてください。
キルロイ拝
参考になった:1人
Kilroy2014 2014-11-05 01:38:00
キルロイ様
<回答を作ること自体が楽しいのもあって,やっているわけです。
安心しました。 あ~面倒だ! もういやだ~ ではないかと心配していました(笑)。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
shako 2014-11-05 23:09:26