takugin97 2014-11-03 13:18:13
皆様、よろしくお願いします。
初歩的な質問で恐縮ですが・・・。
新株予約権を発行する際に、
①払込期日を3月10日、割当日を3月20日とする
②割当日を3月10日、払込期日を3月20日とする
の2つともあり得るということでよろしいでしょうか。つまり、払込期日と割当日の前後は問わないのでしょうか。
これまでは、②のように、割り当てられてから払い込む、というのが自然な流れと思っていたのですが、調べてみると①のパターンも可能に思えます。
ご指導くださいませ。
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新株予約権の「割当日」という概念は、新株発行の「割り当て決議」とは異なるものです。
「割当日」に申込み人が新株予約権者になり、払込をしなければ、権利を行使できず(会246)、その新株予約権は、消滅します(会287)。
用語を違う意味で使用しているので、2もあり得ます。
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senpai 2014-11-03 14:51:16
senpai 様
速やかなご回答を有難うございます。
割当日と割り当て決議の区別も必要なんですね。
1も2もあるとのこと、ご指導に感謝いたします。
takugin97 2014-11-03 14:57:13
takugin97様
まず、会社法238条による新株予約権の発行の募集に関することであるとすれば、払込期日は一般的には二回存在します。
その一回目は当該新株予約権の申し込みに対しての割り当てを受ける権利を取得するための金銭等の払込。そして、当該二回目の払込は割り当てを取得した日(割当日という)後に株式等を取得するための対価としての払込(新株予約権の行使という)。
なので、募集新株予約権の発行とは直接に株式を取得することではなく、当該株式を取得するため権利を取得することの募集であり、貴殿のいうところの割当日とは後者の割り当てを受ける日であり、当該権利の取得について有償であるときには割当日の前に払込期日が存するのは一般的に新株予約権の募集においては当然であると思われます。
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kochan 2014-11-04 14:44:37
kochan 様
ご指導有難うございます。
論理的なご回答、大変解かり易いです。
「割り当て日の前に払い込み期日が存在することは、当然のこと」なんですね。
takugin97 2014-11-16 22:20:03
takugin97様 こんばんは。
①又は②の2つともあり得ます。払込期日と割当日の前後は問いません。発行会社が決めたとおりになります。なお,有償発行の場合においてさえ,払込期日の決定は任意的です。定めなければ,行使期間の初日の前日が自動的に払込期日です(246条1項)。
①のパターンも可能です。例えば,払込期日を定めず,かつ,行使期間の初日を割当日と同じ日にした場合が①のパターンと同様になります。
ちなみに,行使期間は「平成○年○月○日まで」のように,末日のみ決めて登記することができます。このように決めた場合,新株予約権者は,割当日に直ちに新株予約権を行使することができます。
新株予約権の発行における「割当日」(238条1項4号)は,
割当てを受けた申込者又は総数引受契約の相手方が新株予約権者になる日です(245条1項)。
募集株式の発行において似た日付を探すなら,
払込又は給付の期日又は期間内で引受人が出資した日がそれに該当します(209条)。
新株予約の発行の場合は,それが有償であっても,出資の履行時期と権利取得の時期がずれることがあるのです。
ところで,新株予約権の行使による変更登記の申請書には,金銭出資がある場合,
必ず「払込みがあったことを証する書面」(商業登記法57条2号)を添付します。
他方,募集新株予約権の発行をした場合の登記申請書には,
必ずしも「払込み(等)があったことを証する書面」(同法65条2号)の添付を要しません。
まず,無償発行の場合,添付しようがないから,この場合は除きましょう。
たとえ有償発行の場合であっても,添付を要しない場合があります。
それは,払込期日が割当日と同日の場合及び払込期日が割当日後の場合です。
takugin97様のいう②のパターンは,これに該当します。
これに対し,払込期日が割当日より前(←「以前」ではありません。)の場合,
すなわち①のパターンのような場合には,
金銭の払込み(又はこれに代わる現物財産の給付若しくは相殺)があったことを証する書面の添付が必要と規定されています(同法65条2号)。
つまり,商業登記手続上も,takugin97様のおっしゃる①のパターンは,想定内なのです。
脱線かもしれませんが,なぜ①のような場合に限りこの書面が要るのか述べてみましょう。参考になれば幸いです。
募集新株予約権1000個として,払込期日までに払込みがあった分900個,なかった分100個の事案を想定します。
時系列が②の場合,1000個につき3月10日発行の登記をします。
一部消滅を事由として900個とする変更の登記はその後になります。この変更は,たぶんですが,払込期日を経過した日,つまりその翌日付(3月21日付)とすべきです。
時系列が①の場合,900個につき3月20日発行の登記をすることになります。つまり,商業登記では,払込期日が割当日に先立つ場合,割当てを受けたのに払込みをしなかった申込者(この例でいえば100個分の申込者)は,原始的に新株予約権者にならなかったものとして取り扱っているようです(松井信憲「商業登記ハンドブック」2版326ページ)。このことの審査のため,払込み等があったことを証する書面の添付が求められるのだと思います。
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Kilroy2014 2014-11-05 01:24:36
Kilroy2014 様
親身なご指導を有難うございました。
冒頭の明快な回答にはじまり、参考事例まで添えていただき、理解が進みました。
ここまで丁寧に教えてくださる方は周囲に存在せず、大変感謝しております。
実に的確な解説をいただき、改めてお礼申し上げます。
takugin97 2014-11-16 22:23:43