takugin97 2014-11-16 22:32:55
よろしくお願いします。
次の例1と例2の登記簿についてです(いずれも甲区)。
例1 1 所有権保存
2 差押
3 仮差押 ・・・ア
例2 1 所有権保存
2 差押
3 抵当権設定 ・・・イ
このとき、仮差押権者アは配当要求できますが、担保権者イは、配当要求できず、無視されると理解しています。
ただ、なぜこのように違いがあるのでしょうか。
両者とも、差押に後れて権利を登記簿に発現しているという点では同じだと思うのですが、配当の実際は全く違う運命にあります。
「こう決まっているから」と言われればそうなのですが、素直に理解できなくております。
どうかご指導ください。
回答順に表示 新しい回答から表示 参考になった順に表示
差押えの効力は,
当該競売手続との関係で相対的に,
債務者による処分を禁止することです。
差押え登記後に設定登記された抵当権者イは,
まさしく禁止された処分により生じた権利者なので,
当該手続において,配当要求の可否も含め,無視されて当然といえます。
ところで,配当要求については,
仮に債権者平等の原則を貫くと,破産手続のように
全ての一般債権者にそれを認めることになります。
仮にそうなら,くだんの差押えに後れる抵当権者も,当該抵当権の被担保債権につき
他に何らの手間を要せず,配当要求できることになってしまいます。
実際,民事執行法施行前の民事訴訟法下では,
(ちなみに,民執は昭和55年ごろ,民保は平成2年ごろ,民訴から分かれてできた法律です。)
配当要求権者を限定しておらず,
虚偽の債権に基づく配当要求の横行
という弊害があったそうです。
現行法で配当要求権者を51条1項の債権者に限定したのは,
この弊害に対処するためでした。
原則は債務名義を有する債権者に限ろうという方向性なのでしょうが,
そこまで限定するとしたら,
債務名義の取得=本案勝訴には,ある程度時間がかかることから,
他の債権者にあまりに酷。
そこで,民事保全というヨリ迅速な手続において,被保全債権の疎明に成功し
仮差押命令を得た者アについては,
仮差押えの登記が差押えの登記に後れる場合でも
配当要求を認めることにした,というわけです。
参考になった:5人
Kilroy2014 2014-11-17 01:04:51
Kilroy2014 様
大変解かり易いご指導を有難うございます。
歴史的な背景にまで言及いただき、感謝申し上げます。
まるで大学の講義を聞いているような奥深い解説ですね。
両者の別もこう考えれば理解できます。
またよろしくお願いします。
takugin97 2014-11-25 20:06:27