shako 2014-11-19 01:06:49
株式の譲渡制限規定について,関連する3つの質問です。どうぞよろしくお願い致します。
①種類株式発行会社ではない公開会社(取締役会設置会社とします)の原始定款に,
『第○条 当会社の株式を譲渡により取得するには,取締役会の承認を要する。』
との株式の譲渡制限に関する規定がある場合の発起設立登記で,株式の譲渡制限に関する規定の部分の登記すべき事項を
『当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を要する』
とする登記が可能でしょうか?
定款の規定どおりの文言で登記申請するのが通常だと思うのですが,手持ちの参考書に『譲渡承認機関を登記することもできるが,発行する株式の内容(会社法107条)が登記すべき事項(会社法911条3項7号)なので,譲渡承認機関は登記しなくてもよい。』との記述があったことから,上記の申請で登記もできるのではないかと思った次第です。
②取締役会設置会社が定款で承認機関を取締役会と規定した場合,会社法139条1項但し書きの別段の定めとなるのでしょうか?
③会社法139条1項但し書きの定款の別段の定めがあり,譲渡制限に関する規定の設定登記をする場合,承認機関は強制的な登記事項となるのでしょうか?(①,②との重複回答となる場合は結構です。)
回答順に表示 新しい回答から表示 参考になった順に表示
①前段
不可です。
却下事由は,商業登記法24条9号
「申請書又はその添付書面(第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。以下同じ。)の記載又は記録が申請書の添付書面又は登記簿の記載又は記録と合致しないとき。」
①後段
参考書にいう「譲渡承認機関は登記しなくてもよい」の具体例は,
定款が
「1 当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を要する。
2 前項の承認は,取締役会の決議による。」
とある場合において,
登記すべき事項を
「当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を要する。」
のみとすることです。
この場合,2項を登記することは強制されません。
②
なりません。
会社法の規定通りに定めているので,
「確認的規定」(商業登記ハンドブック2版34p)ということになりましょう。
③
①後段と重複回答になるかもですが,あえて言うと,
定款の定め方によります。
「1 当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を要する。
2 前項の承認は,代表取締役が行う。」
ならば,必ずしも登記すべき事項とならず,
「当会社の株式を譲渡により取得するには,代表取締役の承認を要する。」
なら,登記すべき事項になってしまいます。
参考になった:2人
Kilroy2014 2014-11-19 09:43:02
Kilroy2014様
ご回答いただきまして,ありがとうございました。
おかげさまで参考書のいうところの意味が解りました。却下事由そのものなのにと,全く理解できなかったのですが,解りやすい事例ですぐに納得できました。
会社法と商業登記法に対する苦手意識が強いのですが,基本中の基本がしっかりとできていないのですから当然ですね。まず何をすべきかが理解できました!
ありがとうございました。
shako 2014-11-19 23:25:34
会社法施行後の会社では、「当会社の承認を要する」との表現が流行っています。
理由は以下のようです。
引用
「会社の解散登記について。
株式の譲渡制限規定が、
「当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を得なければならない」
となっている会社は、解散するときには、「取締役会」の箇所を変更しなければなりません。
例えば、「当会社」や「株主総会」などに変える必要があります。
旧商法時には、変更する必要がありませんでした。
会社法では、変更しなければなりません。
株主総会で、議案にかけなければいけませんし、登記では、登録免許税を3万円余計に払わなければなりません。
取締役会を廃止する場合も同じですが、必然的に伴う承認機関の変更には、登録免許税を安くすべきです(例えば、2,000円位)。
どなたかが、法務局に安くするようにお願いしてましたが、その回答は、
「承認機関の変更の登記申請がなくても、解散登記は受理する。しかし、代表者の任務懈怠となる。」
任務懈怠ということは、過料を取られることもあり得るって事です。
つまり、登記しなくてもお金がかかるのは同じって事ですね。」
引用終了
参考になった:1人
senpai 2014-11-19 14:14:34
senpai様
いつもご回答ご返信をいただきまして,ありがとうございます。
その度に理解が深まり,知識が増えている?かどうかはさて置き,大変感謝しております。
ご紹介くださった引用文にあるとおり,登録免許税の3万円は高いですよね。質問させていただいた①は,設例のとおり取締役会を承認機関とする譲渡制限規定ある公証人の認証を受けた定款を持参した方から設立登記の代理申請を受けた場合に,承認機関を入れずに登記できれば,将来,引用文にある「必然的に伴う承認機関の変更」があったとしても,その変更の登記を申請する必要がなく,依頼者の出費を抑えることができる場合があるのではと思ったものです。
今後ともよろしくお願い致します。
shako 2014-11-19 23:57:19
shako様
kochanと申します。
あのですね、そもそも論にはなるのですが、譲渡承認機関はどのような場面で必要なのかをお考えになることが必須ではないのでしょうか。
①においての当該会社には当該承認機関なる組織は必要ないのではないでしょうか。なので、その余については諸先輩方々が回答なさっているとおりであると思いますので・・・記述は差し控えます。
当該貴殿の設問の株式会社は紛れもない譲渡制限株式を一切発行していない株式会社ですよ。
また、会社法第139条1項は強行規定と解することができることは承知されていると思いますが・・・。
参考になった:0人
kochan 2014-11-19 16:25:18