司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/破産者がいる場合の遺産分割登記の添付書類

tocchi 2014-11-29 16:13:42

今一つ理解出来てないので教えて頂けますか。

相続開始後に相続人の1人が破産開始決定を受けて、破産管財人が当事者として遺産分割協議に参加した場合です。

遺産分割の調停又は審判が成立した場合に、添付書類に「戸籍謄本その他一般的な相続を証する書面」は必要でしょうか?

宜しくお願い致します。

tocchi

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調停証書を提供して相続登記を申請する場合、相続書類を提供することを要しない。
               S37.5.31民事甲1489

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senpai 2014-11-29 17:08:28

senpai様

ありがとうございました!

いつもご指導頂いて本当にありがとうございます。

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tocchi  2014-12-01 14:41:41

tocchi様に

おそらく疑問のもととなったのは,
先例(平成22年8月24日民二第2078号)又はこの先例に基づく解説だろうと思います。

まず,当該先例の照会部分を全部引用すると,次のとおりです。

「1 相続人の一人が相続開始後に破産手続開始決定を受けた後,相続財産について他の相続人から遺産の分割に関する処分の調停又は審判が申し立てられ,破産者である相続人は当事者とならず,その破産管財人が当事者となって調停が成立し,又は審判がされた事案について,その相続を原因とする所有権の移転の登記の申請には,相続を証する情報として,戸籍謄本等の一般的な相続を証する情報のほか,当該調停又は審判に係る調停調書又は審判書の正本の提供があれば足りるものと考えますが,破産管財人は遺産の分割に関する処分の調停又は審判において当事者適格を有していないとする意見もあることから,その取扱いの可否について照会します。
2 相続人の一人が相続開始後に破産手続開始決定を受けた後,破産者である相続人は当事者として参加せず,その破産管財人が破産法(平成16年法律第750号)第78条第2項の規定に基づく裁判所の許可を得て,遺産の分割の協議に当事者として参加していた事案について,その遺産の分割の協議の結果に基づく相続を原因とする所有権の移転の登記の申請には,相続を証する情報として,戸籍謄本,遺産分割協議書(共同相続人(破産者である相続人を除く。)のほか、破産管財人の署名押印がされているもの)等の一般的な相続を証する情報のほか,当該裁判所の許可があったことを証する書面の提供があれば足りるものと考えますが,破産管財人は遺産の分割の協議の当事者となることはできないとする意見もあることから,その取扱いの可否について照会します。」

次に,これらの照会に対する回答は,特段の留保なく,
「照会のありました標記の件については,1及び2ともに,貴見のとおりと考えます。」
といってしまっています。

ご覧のように,この先例は,遺産分割が1調停・審判による場合と2協議による場合,いずれも
「戸籍謄本等の一般的な相続を証する情報」の提供が必要であることが前提,
という風にも読めてしまいます。

実のところ,この先例を最初に読んだときは,破産管財人が,遺産分割調停又は審判の当事者適格を有し,又は遺産分割協議の当事者たり得ること(登記研究755号・登記情報591号に載っている付属の解説が主に論じているのも,これらのこと)に目が行ってて,戸籍謄本等の添付について言っている部分はスルーしていました。tocchi様の質問に触れ,改めて先例全文を読み返してみたのですが,1の場合における戸籍謄本等の添付というのは,確かに疑問です。

以下,試みに私見を述べてみます。

本先例(以下「平成22年先例」という。)により,
調停(又は審判)による遺産分割の場合は戸籍謄本等の添付を要しない旨の先例(昭和37年5月31日民甲1489,以下「昭和37年先例」という。)は,相続人の中に破産者があって破産管財人が調停の相手方となる場合について,適用がなくなる,とはちょっと考えられません。
 昭和37年先例の趣旨は,調停による遺産分割は,家庭裁判所において相続関係を審査した上で行われることから,調停調書により相続関係が明らかになる,よって,登記申請の際,戸籍謄本等の添付は必要ない,ということでしょう。破産管財人が遺産分割調停又は審判の当事者になる場合だからといって,家裁による相続関係の審査が緩くなり,登記所において改めて厳格に審査する必要が生じる,なんてことはありそうもない話です。

ただし,試験対策としては,上で引用したような形で平成22年先例が出ていることには,一応留意した方がいいのではないかと考えます。
なぜなら,昭和37年先例との関係を考慮せずに,たとえば
「相続人の一人の破産管財人が当事者となって遺産分割調停が成立した場合,相続を証する情報として、戸籍謄本等の一般的な相続を証する情報のほか,当該調停に係る調停調書を提供して,相続を原因とする所有権の移転の登記を申請することができる。」
なんて選択肢が,正しい記述として出題されかねないからです。





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Kilroy2014 2014-12-06 05:09:27

kilroi2014様

懇切丁寧な回答本当にありがとうございます。

実は先例の内容は知らなくて、極テキストを読んで少し疑問に思ったので、質問の投稿をさせて頂きました。

先例はどちらともとれる内容なのですね。

テキストにもご回答頂いた内容を記しておきます。

いつも本当にありがとうございます。

疑問が解けてすっきりします。

tocchi

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tocchi  2014-12-09 12:46:56

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