司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/民訴過去問/23年問3

first2015 2014-12-11 21:59:59

質問させていただきます。

肢ア ○
共同相続人間において定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えは、
その遺産に属することに争いがある限り、確認の利益がある。

肢エ ×
特定の財産が特別受益財産に当たることの確認を求める訴えは、
特別受益財産に当たるかどうかについて当事者間に争いがある限り、確認の利益がある。


上記ア、エの○×が異なる理由が理解できません。
私が持っている過去問集では、エが×の理由について、
「ある特定の財産が特別受益財産であることのみでは、
紛争を直接解決することにはならないからである。
遺産分割の審判等の中で判断すべき。」
とありますが、
アについては「遺産分割の審判等の中で判断すべき。」とはならないのでしょうか?

回答順に表示     新しい回答から表示     参考になった順に表示

アについては、特殊な事例であり、今後出題可能性は低いので、結論を覚えましょう。

旧郵便局の定額郵便貯金債権が、遺産確認の訴えの対象となるかどうかについて,最高裁で、肯定の判断がなされました(平成22年10月8日最高裁第二小法廷判決)。

 預金債権などの金銭債権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて共同相続人の分割債権となり,遺産分割の対象とはならないとされています。

 一方で、郵便貯金法改正前の郵便貯金法7条1項3号は、定額郵便貯金は、分割払戻しができないという制限を付していました。

 そこで,定額郵便貯金債権についても,上記と同様に当然に分割され,遺産分割の対象にはならないのかが争われました。

 最高裁は、大量の事務処理を迅速かつ画一的に処理する必要上、預入金額を一定額に限定し、貯金の管理を容易にして、定額郵便貯金に係る事務の定型化、簡素化を図るという郵便貯金法の趣旨から、定額郵便貯金債権は、その預金者が死亡したからといって、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないと判断しました。

 したがって、旧郵便局の定額郵便貯金については、預け入れの日から起算して10年が経過するまでの間は、共同相続人は分割払戻請求をすることはできないことになり、同じ可分債権である銀行預金債権とは取扱いが異なることとなりました。

 郵便貯金法は、平成19年10月1日、「郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(郵政民営化法)の規定により、廃止されましたが,整備法附則5条によって郵便貯金法7条等の規定は引き続きその効力を有するとされました。
 
 そのため,同日より前に預け入れた定額郵便貯金については,分割払戻しができない等、従前と同様の取扱いが継続されています。
 上記最高裁判決は,このような定額郵便貯金についての判断です。


投稿内容を修正

参考になった:1

senpai 2014-12-12 09:46:12

first2015様

kochanと申します。
まず、確認の訴えにおける確認対象になる要件として最判昭61年3月13日は遺産(財産)が現時点で共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることを要すると言っているので、当該過去問アの定額郵便貯金債権につき検討してみる。
通常の預金債権は当該預金者の相続開始と同時に分割債権として各共同相続人に確定的に帰属(所有)するので、遺産分割前の共有に属することはない。しかし、当該定額郵便預金債権はその例外として遺産分割前の共有財産となることは当該判決の言うところの確認の訴えにおける確認の対象要件に該当するので確認の利益が存することになる。よって当該過去問肢アは正解になる。
そして、他方当該過去問肢エの特別受益財産は具体的な相続分又は遺留分を算定する過程で必要な事項に過ぎない(最判平7年3月7日)ので、特別受益自体の有無を確認したところで、遺産分割前の共有財産として認めるべく理由はない。よって、確認の利益が無いと判断することができ、正誤としては誤りとなるのではないでしょうか。
以上から貴殿の疑問点、アについては遺産分割の審判等の中で判断すべきことの理由がないのではと思います。

投稿内容を修正

参考になった:1

kochan 2014-12-12 13:00:50

senpai様
kochan様
ありがとうございます!

前提となるべき知識が私に全くありませんでした…
お恥ずかしい限りです。

今後ともよろしくお願いします!

投稿内容を修正

参考になった:0

first2015 2014-12-14 17:10:22

質問タイトル画面へ