司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

H12-15-1

miyagikun 2011-10-09 06:25:39

売主である公団が敷地権付き区分建物を売却し、その売却代金債権を被担保債権として抵当権を設定した場合、公団は、抵当権設定登記請求権を代位原因として、代位によって買主名義への所有権保存登記を嘱託することができる。

答え ×

売主である公団が敷地権付き区分建物を売却し、その売却代金債権を被担保債権として抵当権を設定した場合においては、公団は、抵当権設定登記請求権を代位原因として、代位によって買主名義への所有権保存登記を嘱託することはできない(昭63.1.19民三甲325号)。

 公団が、買主に対して有する抵当権設定登記請求権を保全するためには、買主名義の所有権に関する登記が必要であり、そのためにには、いわゆる転得者(買主)による所有権保存登記(74Ⅱ)をする方法と、表題部所有者が自己名義に所有権保存の登記(74Ⅰ①前段)を行い、その後買主へ所有権移転登記をする方法とがある。

 本肢においては、表題部所有者である公団は、自己名義に所有権保存登記(74Ⅰ①前段)をした上で、公団から買主名義への所有権移転登記をすることが可能であるので、公団が代位によって買主名義への所有権保存の登記を嘱託することは、自己の債権の保全の必要性を超えるものといえ、当該登記の嘱託はすることができない。

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疑問
昭24.2.25民甲381
では、所有権移転登記に関して、売主が買主に代位できるとされている。売主が買主に登記を得させて、売主が差押て強制執行をかけるためだ。

しかし、上の昭和63年先例では、所有権保存登記(74Ⅱ)に関して、売主が買主に代位できないという。

74条2項は、実質的に所有権移転であり、ケースとしてはほとんど同じであると考えられる。

なのに、なぜ、この2つの先例について、結果が異なるのだろうか。

 

債権保全の必要性判断の相違だと思いますよ。
63年の先例は、保全の必要性なし、24年の先例は、保全の必要性あり。
両者の被保全債権を念頭において考えてみるとわかると思います。
前者の先例の被保全債権は登記請求権で、後者の先例の被保全債権は、登記請求権ではありませんのでご注意を。

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jiro180 2011-10-09 06:25:39

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