image 2011-10-15 02:08:52
過去問がよくわからないので、教えて下さい。本問の肢(ア)においては、AB間の賃貸借が錯誤により無効なので、取消とは違い、最初から、賃貸借契約が成立しておらず、Bは最初から代理占有をしていないと考えるべきではないでしょうか?もし、一度でも代理占有が成立したのならば、民法204条1項各号の事由により代理占有が消滅しない限り、Bの代理占有は消滅せず、Aは間接占有者として占有回収の訴えを提起できますが、代理占有が最初から成立していないので、Aは占有回収の訴えを提起できないことになるのではないでしょうか?
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代理占有関係の発生原因となる法律関係は、有効でも無効でもかまいません。
また、契約関係が終了した後の関係でもかまいません。
何らかの理由で、現に物を所持している者が、その物を他者に返還しなければならない法律上の義務を負っている関係があれば、十分です。
占有は、事実的なものですから、その発生原因となる法律関係も、以上の意味での法律関係で足りると解されるからです。
結論的には、Aは占有回収の訴えを提起することができます。
蛇足ですが、そもそも錯誤無効と取消を比較して論じることに、論理的に無理がありませんか?
取消の効果は、121条本文により遡及的に無効であり、この点は錯誤無効と同様に解されるからです。むしろ、錯誤無効と解除を比較して論じれば、それなりに論理的な考えになったと思います(620条前段参照)。
なお、継続的な契約の場合には、取消の効果も、解除と同様に将来効とする説もあるようです。
もしかしたら、あなたはこの説を前提にしているのかもしれませんね。
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jiro180 2011-10-14 04:26:34
jiro180さん、貴重なご指導を頂き、ありがとうございました。占有は、事実的なものだから、代理占有の発生原因となる法律関係も、何らかの理由で、現に物を所持している者が、その物を他者に返還しなければならない法律上の義務を負っている関係があれば、十分というご指摘、大変参考になります。占有の制度趣旨が、人が物を支配している事実状態そのものを保護することによって社会秩序の維持を図ることという基本、原点に立ち戻って理解しなければなりませんでした。占有権という権利は、他の権利と違い、契約により権利が設定されるのではなく事実状態そのものを保護するという特殊な要素が入ってくるということに気をつけなくてはなりませんでした。また、取消の遡及効を考えると、錯誤無効と取消を比較して論ずることに誤りがあるというご指摘も、その通りだと思い、性急に考えすぎたと反省しております。
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