BIRIKORO 2015-05-13 21:54:42
senpai様
いつも回答ありがとうございます。
一問一答集にあったもので、先例をそのまま引用した肢なのですが、違いがみえず、
悩んでおります。
以下、そのまま記載します。
①公開会社において募集株式の発行の効力が生じることを条件として、
発行可能株式総数を、募集株式の発行の効力発生時の発行済株式総数の4倍
とする登記はできる。
回答〇 一般論として条件付決議はできる。
②公開会社において発行可能株式総数を超過する数の募集株式の発行の決議をした後に、
発行可能株式総数を募集株式の発行の効力発生時の発行済株式の総数の4倍とする決議をしたときは、
登記できる。
回答× こちらは元々の募集株式の発行の決議が枠外発行なので、不適法です。不適法な決議
を条件とする決議も不適法である。(昭45.6.29-468)
③公開会社において発行可能株式総数を超過する数の募集株式の発行の決議をした後に、
発行可能株式総数を増加する決議をしたときは、これに基づく登記ができる。
回答〇 募集株式の効力発生前に瑕疵が治癒された。(昭40.11.13-3214)
なお発行可能株式総数を増加する決議は株主全員の賛成を要する(昭57.11.12-6853)
というものがあります。
わからないのが以下の2点です。
(1)②の発行可能株式総数を超過する数の募集株式の発行の決議をした後にとあるが
①との違いは、「条件付でなく、無条件に増加の決議がされたため、例えば、この決議には、
仮にこの決議が第1号議案だったとして、この後、2号議案で、瑕疵を治癒するような決議をとる予定で も、その決議が可決しなければ違法となる。」それが①と②との違いだなー。なんて思っていたら、
③の問題があり、私が考えた一連のロジックはふきとびました(汗)
①②③の違いがわかりますでしょうか。
(2)③の解説の最後の一文
「なお発行可能株式総数を増加する決議は株主全員の賛成を要する(昭57.11.12-6853)」
とありますが、これは単なる特別決議なんではないかと思いまして。
よろしくお願いします。
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2についての詳細は不明ですが、次のように推測しました。
株主総会の招集通知に、枠外発行を「条件に」可能総数を増加することが記載されていた。
午前の取締役会で、発行決議がされ、午後の株主総会で、増加の決議がされた。
登記申請において、登記官は形式的に審査し、民法132条に該当すると判断し、法務省に照会し、回答を得た。
総会議事録の書き方が悪かっただけの、稀有な事例だと考えます。
司法書士が関与せずに、このような登記申請がされたのでは?
あくまで、推測です。
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senpai 2015-05-14 08:47:56
具体例で示してみます。
①の場合
発行済2万株 発行可能3万株の公開会社であったとすると、
1万株の募集新株の発行を条件として、発行可能株式総数を12万株とする定款変更をする場合です。
枠内発行であるし、定款変更の効力発生日における4倍ルールも守られているので、何の問題もありません。
②の場合
発行済2万株 発行可能3万株の公開会社であったとすると、
2万株の募集新株の発行を条件にとして、発行可能株式総数を16万株とする定款変更をする場合です。
これは枠外発行が条件として提示されているが、枠外発行はそもそも不法です。不法を条件としている(枠外発行済み株式総数をベースに発行可能株式総数を定めている)ので民132条によって、その法律行為自体すべて無効です。
無効な決議に基づいて登記をすることはできません。
③について
引用している先例と事例とに齟齬があります。
発行済2万株 発行可能3万株の公開会社であったとすると、
3万株の募集新株の発行の決議をします。このままでは枠外発行に当たりますが、枠外発行に該当するか否かを判断するのは募集株式の発行の効力発生日の段階です。ですから効力が生じる前に発行可能株式の総数の定款変更をしてしまえば(具体的には、8万株までの増加)問題ありません。
次に(昭40.11.13-3214)の場面ですが、
こちらの方はすでに枠外発行をしてしまっています。
例えば発行済み株式の総数3万株、発行可能株式総数4万株の公開会社であれば、2万株の募集株式の発行をし、発行済株式の総数が5万株となった後、発行可能株式総数を20万株とする定款の変更をするという場面です。
枠外発行なので違法ですが、すでに株主が存在してしまっているうえに、株主全員の賛成が得られているので、このような登記申請を受理して差し支えないというわけです。
まとめると、4倍ルールや留保の問題は効力発生日において判断されるのでその日までに是正されれば問題ありません。決議の順序も関係ありません。ただし、違法行為を条件とするのは許されません。例外の例外として、枠外発行が実際にされた場合でも株主全員が賛成するなら認められます。
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bolza 2015-05-23 12:03:50