takugin97 2015-06-06 21:59:53
よろしくお願いします。
吸収合併に代表される、組織再編における債権者保護手続きについてです。
このときの「債権者」とは、どこまでの範囲を示すのか、よく解らないのです。
たとえば、会社に売掛債権や損害賠償請求権等の「金銭債権者」は、ここで意味する「債権者」に含まれるであろうことは理解できます。その際、会社は弁済・担保提供等をする必要がでてくると思います。
一方、新株予約権者はどうなのでしょうか。
新株予約権は、会社に対する債権の一種とは思うのですが、金銭債権とは異なると思います。この新株予約権者は、上記の「債権者」に含まれるのでしょうか。もし含まれるのであれば、異議を出されたときに、会社は何等かの対応を迫られると思うのですが、どのような対応が必要なのかも解からないのです。
そうすると、新株予約権は、債権会社財産に直接の影響を及ぼすものではないので、債権者保護手続きでいうところの「債権者」には該当しない、と考えるのが正しいような気もするのですが…。
ご指導ください。
回答順に表示 新しい回答から表示 参考になった順に表示
吸収合併における両当事会社の債権者に限定して話を進めます。(他の場合は債権者の一部しか異議を述べることができない場合があるので…)
仰るとおり、新株予約権は債権の一種であるので、新株予約権者は「債権者」ということになります。
会社法252条によると、新株予約権原簿の閲覧又は謄写の請求をできるのは株主及び債権者となっていますが、新株予約権者については明文化されていません。しかし、新株予約権原簿の閲覧請求等を新株予約権者ができないとするのは法理上明らかにおかしいので、新株予約権者は債権者の中に含まれていると解されています。
次に、新株予約権は会社に直接の影響を及ぼすものではないので、新株予約権者は債権者保護手続きの対象外では?とのご指摘の件ですが、、、
仮に、そのような債権者を対象外にすると、当該会社が知れている債権者に対する各別の催告をするときに、いちいち各々の債権者について会社に対する影響の有無を判断しなければならず、吸収合併等の当事会社は余計な事務的負担を強いられることになります。
さらに会社の判断が後に覆されることとなったら債権者保護手続きが完結したことにならず、組織再編の効力も生じなくなってしまうので、そのリスクを回避するためにも「知れている債権者」について例外を設けない方がいいでしょう。
最後に新株予約権者が異議を述べたときについてですが、当該吸収合併等をしても当該債権者を害する恐れがないときは会社法上は別に何もしません。ただ、民事上あるいは道義上の責任は生ずる可能性はあります。
参考になった:5人
bolza 2015-06-07 22:52:26
bolza さん
ご回答有難うございます。
なるほど、新株予約権原簿の閲覧のときに、新株予約権者が閲覧できないのは明らかに変ですよね。よく解ります。
また、「影響の有無」についていちいち判断しなければならないとなると、実務上障害になりますね。
新株予約権者の異議についても、仰るとおりかと存じます。
大変解かり易いご指導を有難うございます。
また、よろしければ、冒頭にあります(他の場合は債権者の一部しか異議を述べることができない場合があるので…)についてもご高説いただけませんでしょうか。
よろしくお願いします。
takugin97 2015-06-08 20:13:54
単なる新株予約権者は、通知または広告があり、一定のものは買取請求という手段が用意されているので(会社787)、債権者保護手続きの債権者に含める必要はないでしょう。
債権は、金銭債権に限られないが、弁済や担保提供により保護を受けられるもの、というのが有力です。「株式会社法」2版 江頭憲治郎
参考になった:1人
senpai 2015-06-08 15:05:20
senpai さん
以前にも引き続き、ご回答有難うございます。
最初に回答いただいたbolzaさんとも若干違う結論なのですね。
ただ、senpaiさんのご指導内容も、説得力がありますし、納得もできます。
どう判断すべきか、私の力では解からないのですが、議論もある論点と考えるべきなのでしょうか。
takugin97 2015-06-08 20:18:40
新株予約権買取請求の制度が用意されているからというのは債権者保護手続きでいう債権者に新株予約権者が含まれない理由にはなりません。
これも前に書いたこととほとんど変わりませんが、新株予約権買取請求が認められるのはsenpaiさんご自身が述べられているようにすべての新株予約権者ではありません。なので知れている債権者に格別の催告をするにあたって買取請求をすることができない新株予約権者に限定することはありません。そして、買取請求をすることができる新株予約権者が異議を述べたときに、買取請求をすることができるので債権者を害することはありませんと、説明すれば済むことです。
また条文からアプローチすることもできます。
旧商法下では、新株予約権原簿の閲覧請求等をできるものとして、株主及び債権者としてさらに別の項で新株予約権者も閲覧等の請求もできると規定していました。これが会社法になると新株予約権者の閲覧請求についての条項が消えました。このことは、新株予約権者が閲覧請求等をすることができなくなったと解するのではなく債権者に含まれたのだと評価されています。つまり、会社法でいう債権者は新株予約権者を含めて構成しています。
吸収合併に限定したのは別に他意はないです。吸収合併の場合異議を述べることができる債権者はすべての債権者であって吸収分割や株式交換の場合は一部の債権者しか異議を述べることができないので新株予約権者は債権者に含まれると言い切れないから言い切るために吸収合併のときに限定しただけです。基本的に考え方はどの場合も同じです。
参考になった:3人
bolza 2015-06-16 23:34:15
bolza さん
ご回答有難うございます。
旧商法時代からの経緯からも説明できるのですね。
また、異議があっても説明すればよいのですか。
とても解かり易い内容で感謝申し上げます。
またよろしくお願いします。
takugin97 2015-06-21 19:58:35