司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/H27年司法書士本試験午前の部民法22問の疑義について

kochan 2015-07-11 15:50:31

kochanと申します。
本試験から一週間ですが・・・皆様には日々の生活に戻りつつあるのでしょうか。
ところで、当方も本試験を自分なりの客観的な分析をしてみました。
そうすると、表題の正誤について各予備校等解答速報とに疑義が生じたのです。
以下単刀直入に概略と当方の分析結果を記します。なお、立証自体は客観的事実に基づくものですが、その帰結は当方の私見になりますので、ご了承ください。

22問つき一部を抜粋して引用いたします。
相続人に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組み合せは、後記1から5のうち、どれか。

イ 被相続人Aの子であるBが相続放棄ををした場合、Bの子であるCが、Bを代襲してAの相続人となる。・・・という当該肢が誤りということは皆様も当然に理解できますよね、なので当方も誤りと判断しています。
次に
ウ 夫A及び妻Bの子であるCが、故意ににAを死亡させて刑に処せられた場合において、その後にBが死亡したときは、Aの相続について相続人となることができないほか、Bの相続についても相続人となることはできない。・・・各予備校の正誤は正と判断していると思われます。
しかし、当方はこの肢を誤りと判断しました。その理由は誤りは通説というべきものによると法891相続人の欠格事由1項1号の特例として被殺害者(被相続人)の妻は殺害者(相続人)と当該相続の同順位の相続人であり、その1号の 同順位にある者を死亡に至らせた を適用させて、当該Aの妻であるBの相続をCはすることはできない、というものです。しかし、一号の条文解釈は現司法一般では当該態様の場合は相続欠格は相対効であり、このような歪曲は判例を含めて採用されていないのであり、当方としても、当該法一号の趣旨にも相反対するものと思います。そして、現実に各相続対応弁護士事務所においても当該事情の下では当然に相続できるもとして扱いがなされています。
次に
オ 被相続人の生前にされた推定相続人の廃除は、遺言により取り消すことができない。・・・これが全文ですが各予備校はこの回答を誤りとしていますが、当方は正しいと判断しました。その理由は法892の適用である。そして具体的な事例として法学検定試験上級2012年第8問においては  相続欠格及び相続人廃除に関する以下の記述のうち、判例がある場合には判例に照らして、正しい者を選びなさい。 という個数選択正解方式設問の肢5において、相続人の欠格事由や廃除原因が存在する場合においても、被相続人はこれをゆるすことが認められるから、いつでも自由にその意思のみに基づいて、推定相続人の欠格や廃除を取り消すことができる。・・・とするものですが当然解答としては誤り肢となります。そして、その解説には相続の欠格については、被相続人がこれを許すことができるか否かについては見解が分かれている。これに対して、廃除は被相続人がいつでもこれを取り消すことを「家庭裁判所に請求することができる」(民894条1項)。これは被相続人の宥恕を認める趣旨であるが、家庭裁判所に請求しなければならず、「自由に」取り消すことができるわけではない。 としていることを根拠の一つとして、また、その余は判例においても大判昭2.4.22においては 遺言による廃除の判決が確定した場合、・・・・・判決確定時前に被廃除者から相続財産に属する土地につき・・・・・取得し登記をしたものであっても民法177条の第三者に当たらず、その権利を主張することはできない。と判示している旨を採用したもの等が誤りの根拠としました。

以上から予備校等の速報解答はイとオをもって4を設問としての正解としているのに対して、
当方はイとウをもって誤りとして3を設問として正解と分析しました。
当該正誤の疑義はある種司法書士界にとっても、様々な影響が懸念されると存じます。なので、法務省の解答を待つのが妥当と思う反面、多くの受験者の心根を考えると・・・正確な認識を持っていただけれはよいのではないかとの想いで記事を投稿しました。

皆様は如何に思われるでしょうか。様々なご教示の程お願いいたします。



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初心者が机上で物事を考えると、過ちを犯します。

事例

夫 アレク(自称タレント ギャンブル好き 財産はない 有吉反省会くらいしか仕事がない)

妻 川崎希 (会社社長 財産は数億)

子 C

Cは、母が死亡したら、財産の半分は、父が相続し、浪費する。こんなひもみたいな父なら殺してしまえと、殺してしまった。
15年刑務所生活をし、仮出所後、Cは、母の死亡により、唯一の相続人として莫大な財産を相続した。

質問者は、この事態を肯定する考えをしているのです。

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senpai 2015-07-11 16:57:05

senpai様

早速の御私見ありがとうございます。

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kochan  2015-07-11 18:22:47

kochanさん、こんばんは。

第22問ウについては、kochanさんが記載されているとおり、ABに婚姻関係があった以上、AはBの配偶者としてCと同順位の相続人であるため、891条第1号に該当し、欠格者となるというのは、通説的な解釈といえるでしょう。

そうすると、司法書士試験において、正誤を判断する上で基準となるのは、①判例、それがなければ、②通説という順序が原則です。

ここでは、判例がない以上、通説に従うべきです。その通説を飛び越して、少数説等で判断することは、試験対策上はできません。

また、この論点については、平成14年第22問(2)において、過去に出題がなされています。ここでの解答も、通説に従わせるものとなっています。

第22問オについては、そもそも廃除及びその取消しは、遺言でもできる行為か、また、被相続人の「生前」になされた廃除をその後方式の異なる「遺言」という形で取り消すことができるかを問うた問題と考えるべきでしょう。

確かに、この廃除及びその取消しがなされるときに関するもう一つの論点として、kochanさんの記載されている、これが被相続人の意思表示によって効力を生じるものではなく、家庭裁判所の審判確定又は調停の成立によって、その効力が(相続開始時に遡及して)生じる、というものが存在します。
過去問では、昭和60年第10問(3)に該当します。
しかし、これは明らかにその問題が、「推定相続人の廃除の取消しは、被相続人のその旨の意思表示によって効力を生ずる。」というものであったため、問われている論点が、後者に属するものであることが明らかです。

よって、解答を考える上では、まず本肢のような文言であれば、前者の論点として検討し、その上で、組合せからどうしても答えが出ないという場合のみ、後者の論点から再検討するという判断をするべきです。

この辺りは、論点の理解とともにある程度の「慣れ」が必要となってきますので、やはり過去問を繰返し練習することで、そのコツが掴めてくるはずです。

ぜひ継続して下さい。

講師 小泉嘉孝

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koizumi 2015-07-11 20:47:19

koizumi先生

kochanと申します。
いつも、当該板を拝借しており何とお礼を申し上げてよいか、いたみいります。
本当にありがとうございます。
先生ご指摘の司法書士過去問は承知しております。そして、ある一定程度の理解の上で当該疑義に至った訳ですが、この理解の上でもなお以下の理由により理解を超えて疑義が解消されないため記事を投稿することを決しました。
まず、先生指摘のH14.22の2に関してですが、確かにその時点においては当該通説が妥当されていたことは当方にもよく理解ができますが、その後の2011年(H23年)においての法学検定試験において、当方が本稿において提示しました設問の解答が廃除ついての 取り消しの絶対要件として裁判上によることと説示するに至っており、この説示の採用による、当該司法書士試験H27午前22問の解答を導くための分析過程で選択肢オの正誤検討の要素として採用すれば、やはり、整合性で誤りとするのことの正当性を見出したのです。その流れとして、他の誤りを判断せねばならないので肢ウが司法書士H14/22の過去問があるにもかかわらず、現司法実務に運用されている見解を採用して肢ウを誤りにしたしだいです。
また、先生もご承知のこととは存じますが、法検の作成とその実施主体は公益法人日弁連法務研究財団であり、構成員は弁護士・司法書士・公認会計士・税理士等であり、認証評価事業等法科大学院関連事業、法及び司法制度の研究による提言など
を事業としている公益法人であり、何かと行政に影響力があることは周知の事実であり、このことを重要視しての判断となったわけです。
そして、H27の司法書士試験において、この22問は敢えて過去の見解を覆すためを目的にしているような感が存していると思ったのも事実であり、本年の試験の午前の平易さに併せて捨て問として扱っても何ら大勢に影響はない設問として法務省が構成したと考えたほかはありません。
長々と駄文を書き綴り大変失礼しました。

敬具

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kochan  2015-07-11 22:23:06

皆様おはようございます。
kochanです。

昨夜の記事の補足資料として下記、当該2011法検の試験委員の方々を明示しておきます。
なお、この資料提供には何の意図することはござません。念のため・・・。
各位様の敬称は省略させていただきます、又、2011年当時在職経歴に基づくものです。


                  記 

委員長  新堂 幸司  東京大学名誉教授
副委員長 江頭 憲次郎 早稲田大学教授 東京大学名誉教授

委員   大谷     学校法人同志社総長
委員   奥島 孝康  早稲田大学名誉教授
委員   鎌田 薫   早稲田大学総長
委員   河本 一郎  神戸大学名誉教授
委員   佐藤 幸治  京都大学名誉教授
委員   塩野 宏   東京大学名誉教授
委員   鈴木 正裕  神戸大学名誉教授
委員   高橋 宏志  中央大学教授 東京大学名誉教授
委員   永井 和之  中央大学総長・学長
委員   松尾 浩也  東京大学名誉教授
委員   安永 正昭  近畿大学教授・神戸大学名誉教授 

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kochan 2015-07-12 09:45:47

kochanさん、こんばんは。

申し訳ないですが、私は法学検定試験の中身のことは、まったく知らないんです。
なるほど、いろんな資格者と大学の先生で構成されているのですね。
ゆえに、その法学検定試験について、偉そうな意見を言える立場ではありませんが、ただ、kochanさんがアップされている法学検定試験の第8問であれば、私も同じ趣旨の解答を作成します。

そのキーワードは、「いつでも自由にその意思のみに基づいて・・・廃除を取り消すことができる」です。
この文言であれば、まさしく論点は、廃除の取消しが、被相続人の意思のみで足りるのか、家庭裁判所の審判又は調停が必要かを問われているものといえます。

上記に掲載した司法書士試験の昭和60年第10問(3)と同趣旨の問題です。
ここでのキーワードは、「被相続人のその旨の意思表示によって」です。

しかし、今回の本試験のオについては、そのような文言が存在しません。

このようにある一つのキーワードがあるか否かによって、その出題者の出題意図を判断することが要求されます。前述のとおり、その能力を磨くには、過去問を繰返し解くことが何よりの方法です。

また、今回の本試験のウにつき、これを「正」とする解答は、相続欠格の効果につき、これを相対効であるとすることを決して否定するものではありません。あくまで相対効であることを前提としつつ、本肢の事案は、あくまでAはBの配偶者としてCと同順位の相続人であるため、891条第1号に該当し、欠格者となるという判断です。

相続欠格の効果が相対効であるという解釈については、何ら変更は生じていないということをまず理解して下さい。
それとは、別のルート(891条第1号に別途直接該当)で欠格者になっているということを区別するところがポイントです。

講師 小泉嘉孝


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koizumi 2015-07-12 21:53:49

遺言による廃除の取り消しは、遺言が有効かどうかだけが、が要件となる。
つまり、遺言がされれば、取消の審判はされる。

「家事事件の要件と手続」岩井俊(元 東京高等裁判所判事)日本加除

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senpai 2015-07-13 08:26:22

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