koizumi 2015-07-13 20:54:19
記憶を定着させるための勉強方法とは?
「特技は?」
「鉄棒の逆上がり連続100回できます!」
幼稚園の頃の話ですが・・・・。
今の特技は、「ゴロ合わせを作る」こと、ぐらいですかね。
10ケタの数字とかなら、3分頂ければ、それなりのモノが出来上がります。
「ゴロ合わせ記憶法」、果たしてこれは正しいのか?
何回かに分けて、お話しします。
前回は、「司法書士試験の半分以上は、ここから出題しますよ。」とあらかじめ宣言されているに、なぜその「過去問」をやらないんだ! というお話をしました。
「いや、やってますよ!」
そう、多くの受験生は、どこかしらの過去問は持っていて、ある程度はやってるわけです。
では、一肢残らず、正確に答えられますか? と聞かれて、「そりゃもうパーフェクトに!」と自信を持って答える人は、なかなか。
私も、ときどき間違います(笑)
100%完璧に越したことはないのですが、過去問に対しては、最低9割以上の正解率を確保する必要があります。
しかも、肢別の単位で。
およそ合格する人は、これができているわけです。
これが1つ目のポイント。
過去問「やってます。」じゃなく、「できてます!」であること。
じゃあ、なんで自分は、「できてます!」の段階に毎年行き着けないのか?
それは、そもそも過去問を解くことの「魅力」が理解できていないからです。
逆にこの「魅力」を知ってしまうと、今日からやりたくなります、きっと。
講師を始めて今年20年目ですが、「何でもいいから、今すぐ講義をやって下さい。」と言われると、実はこれがほぼできません。
142回分のネタはあるはずなのに・・・・。
正直、何も思いつかないんですね。
結局、昔あの先生の講義をモノマネでやってたから、そのネタでもやるか・・・みたいになってしまって(笑)
でも、これが「民法94条2項類推適用を」とか、「表見代理について」お願いします、なんて言われたら、「ハイハイ、それなら教科書なくたってできますよ!」に突然切り替わるわけです。
なんで?
面白いですね。
一体人間の脳ってどうなっているでしょうね?
どうやら、私たちの記憶を分類すると、その中に「エピソード記憶」と「意味記憶」というのがあるそうです。
エピソード記憶は、自分の経験に関連した記憶。
意味記憶は、経験とかはなく、抽象的ないわゆる「知識」。
つまり、大ざっぱに言ってしまうと、そこに自分が絡んでいるか否かの違い。
2つの記憶の大きな差の一つが、
エピソード記憶は、自分で意識して自由に引き出せる。
意味記憶は、多くの場合、何か「きっかけ」がないと引き出せない。
つまり、私がこれまで脳の中に民法の知識を詰め込んできたといっても、普段は眠っているわけです(潜在記憶)。それを「何でもいいから」と言われても、その「きっかけ」にはならないんですね。
それが、「民法94条2項類推適用」「表見代理」となると、十分な「きっかけ」になる。
一方、「昔モノマネでやったあの先生の講義」には、自分の経験が絡んでいるので、「きっかけ」はなくても引き出せる(顕在記憶)というわけです。
記憶の定着として、一定の期間内に引き出しておくことが必要だ、というのは当然ですが、
その引き出す手段を知ってるか否かは、イコール勉強方法そのものを知っているか否かの差といえます。
これが2つめのポイント。
もちろん、エピソード記憶の方が意味記憶よりも強いわけですが、受験勉強としての記憶は、その多くが「意味記憶」とならざるを得ない。
ならば、それを引き出す「きっかけ」なしにやってる勉強は、ただ机に座っているに等しいんじゃないかと。
自分が本さえ開けば、次々にその「きっかけ」を提供してくれる優れもの。
それが、「過去問」です。
「・・・・この場合、Aは善意の第三者として保護されるか。どう?」
今日も、そんな感じで。
講師 小泉嘉孝
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koizumi 2015-07-13 23:08:36