司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/証拠共通の原則

kujirakun 2015-07-16 21:47:23

共同訴訟において、証拠共通が認められています。
「歴史的に1つしかない事実はその認定判断も1つしかない」と自由心証主義との関係で理由付けられています
この歴史的1つしかない事実というのは当該判決においてという意味で良いのでしょうか。
他の判決においてその事実につき異なる認定をしても良いのでしょうか。
よろしくお願いします。

 

kujirakunさん

こんばんは。

共同訴訟において、証拠共通が認められている根拠として、確かに自由心証主義との関係が挙げられます。

これは簡単にいうと、仮に証拠共通を認めなければ、認定すべき事実は1つであるにもかかわらず、裁判所が自由に事実認定できず、矛盾した判断を強いる結果になってしまうということです。

一方、他の判決(後訴)において、裁判所が異なった事実認定をできるかというのは、「既判力」の問題となります。

たとえば、AがB(主債務者)及びC(保証人)に対して、100万円の貸金返還請求訴訟を提起し、その中でBの主張した弁済の抗弁がCの提出した証拠により認められ、請求棄却判決が確定した場合であっても、当該弁済の事実についての判断は、後訴裁判所を拘束することはありません。

弁済についての事実認定は、判決理由中の判断であり、主文中の判断ではない。
つまり、既判力が及んでいないからでした(既判力の物的限界)。

そこで、Bは、その後、当該100万円の債権は当初から不成立であったので、自らの弁済によってなされた金員が不当利得にあたるとして、その返還請求訴訟を別途提起することができます。

これは、前訴の「Bが当該100万円の債権につき弁済をし、これによって消滅した」という事実認定と矛盾しているように見えますが、後訴において、Bの不当利得の主張が排斥されることはなく、その請求を認容することも許されるということです。

講師 小泉嘉孝


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koizumi 2015-07-22 21:54:13

先生ありがとうございます。

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kujirakun  2015-07-22 22:19:22

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