司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/どうやって覚えるか?④/小泉嘉孝

koizumi 2015-08-19 20:23:18


 「意味記憶」の引出しを開けるコツ-第一弾
 「理解して覚える」

 

私がこの勉強の面白さとコツを掴んだのは、ある講師の発した、
たった一つのフレーズがきっかけでした。

「小泉くん、何でかわかるか?」

- 求めよ、さらば与えられん。—

必死で探している人間には、必ずその答えが見つかります。
いや、既に与えられていても、それに気づいていないだけかもしれませんね。


私がこの勉強を始めた当初、最も苦手としていたのが、
不動産登記法と商業登記法でした。
-分からない、覚えられない、興味もない。-

そこで、チューターの方に相談しました。
どうしたら良いかって。

すると、アッサリとこう言われました。
「小泉くん、君は司法書士に向いてないと思うよ。」

やっぱり・・・。
自分でも何となくそうかなぁと思ってはいたのですが、
やっぱりそうですか。

まぁ、確かに。
不動産登記と商業登記は、司法書士としての最も中心となる業務ですからね。
それが嫌いとなると… 確かに向いていない(笑)

それでも、なぜか不思議と勉強をやめようという気にはなりませんでした。
とりあえず仕事としてやってみて、それでも本当に面白くないと思ったら、
その時、別の道を探そうと。

しかし、合格するためには、コイツをなんとかしなきゃ
という思いはありました。
すると、ちょうど良いタイミングで、
新人講師の「書式ゼミ」というのが始まったのです。

藁にもすがる思いで参加したわけですが、当然ビックリするような秘策が授けられるわけでもなく、
私の書式(記述式)に対する苦手意識は何ら解消されることはありませんでした。

ところが、商業登記もそろそろ終盤に差し掛かった頃、
私は講師の先生から、こんな質問をふられました。

解散登記で「年月日株主総会の決議により解散」と記載する。
「小泉くん、何でかわかるか?」

何でって、そう書くと決まってるからでしょ。

「わかりません。」
「解散後に会社継続できるパターンが限定されてるやろ。
そやから、その会社がどのパターンで解散したか、
登記簿に残しとかへんかったら、
次に継続登記が申請された場合に登記官がそれを判断でけへんからや。」

「ほんなら、解散登記と一緒に申請する清算人登記で、
登記すべき事項に年月日を入れへんのは何でか?
逆に、登記の事由に年月日を入れるのは何でか?」

「わかりません。」
「解散と同時に就任するのが最初の清算人や。
解散の日は、当然登記されてるわなぁ。
そこがイコール就任日や。
そやけど、登記期間は2週間と決められてるから、
これを登記の事由に記載させて、
登記官が判断できるようにしたんや。」

ナルホド!!!!!!!!

その時、ドカーン‼と何か大きなものが私の中ではじけました。

それまで、申請書の記載なんてすべて「丸暗記」と考えていた私にとって、
その一つ一つに理由があるなんて衝撃だったわけです。

これをきっかけに私は、「理解して覚える」という感覚を掴んだのです。
そうすると、これまでと同じ目の前の教材が、
視点を変えるとまったく違うものに見えてくるから不思議です。

「小泉くん、何でかわかるか?」
いつもこの言葉が、自分の勉強の中心にあり、
常に「結論」とともに「理由」を確認するようになりました。

ナルホド! 面白い!
「理解をする」ことで、法律の勉強の楽しさ、奥深さを実感し、
さらに論理的に物事を考え、法律に当てはめて問題を解決する、
この仕事の魅力を知ったわけです。
もうそうなったら勉強は、結構ノリノリに。

そう、実は知識としての「意味記憶」を引き出す最大の極意は、
実はその「記憶のしまい方」にあったのです。

「理解して覚える」
それは、あたかも自分のお気に入りの洋服を綺麗にたたんで、
引出しにきちんと仕舞い込むような感覚です。

ぐちゃぐちゃ、シワシワ、どこの引出しにあるのかもわからない、
なんて状態では、何を着ても楽しくなるはずがありません。

そして、「お出かけするよ。」
という記憶のスイッチを入れられたら、
「じゃあ、今日はどのお気に入りで出かけようか。」
とワクワクする気分で引出しを開ける。

そこまでくれば、ついにこの勉強の楽しさを掴んだね、
ということです。
もうあなたに司法書士への道は開かれたも同然です。

この感覚を人に伝えたい。
私が講師になりたいと思った大きな理由の一つです。

そこで、極テキストには、一言でも二言でも、
できる限り「理由」を落とし込むようにしています。

ただ、これまた面白いことに、その書式ゼミで、
そんな洗礼を受けたのは私だけだったようです。

「えっ? そんなにあのゼミ良かった?」
それが、みんなの感想でした(笑)

でも、それで良いのです。
目覚めるきっかけは、人それぞれ。

ただ、追い込まれて、必死に求めること。
これが大切です。

そして、必ず正解がある。
99人が気づかなくても、あなたにだけ用意された答えが見つかります。

私の講義の中で、もしその発見があれば、
そんなに嬉しいことはありません。

次回は、意味記憶の引出しをスムーズに開ける方法の第二弾。
「関連づけて覚える」です。

講師 小泉嘉孝

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