BUTCH 2016-03-04 06:56:37
抵当権者に対抗できない賃借権とはどのようなものかわからず質問しました。法定地上権とのからみで教えていただけますと幸いです。
1)甲所有の土地・建物についてAが土地に抵当権を設定し建物を乙に貸した場合、登記が
1番 抵当権設定 A
2番 賃借権設定 乙
の時に抵当権実行で法定地上権が成立するということですが、賃借権は消滅するため買受人から乙は追い出されることになるとのでしょうか?
2)甲は建物に抵当権設定後、建物を乙に賃貸した。そしてその後抵当権が実行された。
そこで競売によって建物を取得した買受人丙から直ちに出ていくように請求された
1 抵当権設定 A
2 賃借権設定 乙
この場合乙は追い出されることになると思われます。
1)と2)の区別がよくわからず質問させていただきました。
質問の内容自体もおかしいかもしれませんがアドバイスをいただけますと幸いです。よろしくお願いします。
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1.建物所有者は変わらないので、甲乙の貸借に影響はない。
2.建物所有者は、丙になるので、乙は出ていくか、丙と貸借契約を結ぶ、かの選択。
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senpai 2016-03-04 10:41:39
ありがとうございました。分かったような分からないような状態です。また質問させていただく際にはご回答いただけますと幸いです。よろしくお願いします
BUTCH 2016-03-04 17:27:24
BUTCH様
kochanと申します。
貴殿質問1)・2)においてですが、少しばかり当方から質問があります。
1)においての略登記で2番賃貸借の登記は一番抵当権者の同意があるのでしょか?
また、1)の場合は土地に対しての登記記録か否か?
2)においての略登記は2番賃貸借登記は一番抵当権者の同意があるのでしょうか?
以上宜しく、教えてください。
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kochan 2016-03-04 14:37:20
テキストのページで記載させていただきます。
INPUT編民法Ⅲp.45,46のケースで抵当権実行された場合は賃借人は追い出されるのかどうか
また
INPUT編民法Ⅲp.55のケースで抵当権実行された場合は賃借人は追い出されるのかどうか
がわからない状態です。(後者は追い出されるのは見当がつきますが…)
上記2点を見ていると矛盾しているような感じがしています。アドバイスをいただけますと幸いです。よろしくお願いします。
BUTCH 2016-03-04 17:37:31
BUTCH様
当方、当該講座の基本書を所持していないので、一般論として回答いたします。
まず、1)の場合は確かに土地の抵当権の実行により、法定地上権は成立して、土地買受人に対して当該甲所有の建物には当該土地を目的とする(法定)地上権が成立して、その地上権を権原として当該土地上に甲所有の建物が存続し続けます。
そして、甲所有建物を対象とする、甲を賃貸人、乙を賃借人とする賃貸借契約も存続し続けます。当該賃貸借は土地とは無関係の別個独立した契約であることは明らかであり、その対象の建物が存続すること、賃貸人変更もないこと、また賃貸借契約上の特段の事情もないようでありますから、何の瑕疵もなく存続するのは当然です。
次に2)の場合ですが
民法605条により、当該賃貸借契約の設定登記が存する場合には当該建物の抵当権が実行されても、当該賃貸借は建物買受人に対して対抗力が生じているので、建物を賃貸人は変わるものの、賃貸し続けることはできます。なので、買受人丙からの建物明渡し請求には理由がないので拒否できます。
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kochan 2016-03-05 00:01:21
ご回答ありがとうございました。参考になる点もあり感謝しております。また分からないところがありましたら質問をさせていただきます。その際はご回答いただけますと幸いです。よろしくお願いします。
BUTCH 2016-03-05 09:50:30
BUTCH様へ
建物に関して,
抵当権者に対抗できない賃借権とは,
建物に対する抵当権設定の登記に,
建物に対する賃借権の設定登記ないし建物の引渡しが後れる賃借権のことです。
(登記に代えて引渡しが対抗要件になる点は,借地借家法31条)
①抵当権についての対抗要件(登記)具備の時と
②賃借権についての対抗要件(登記又は引渡し)具備の時で比べます。
①が②に先立っていれば,
③抵当権実行による差押えの登記が
②に後れても,抵当権者の勝ちです。
逆に,抵当権者に対抗できる賃借権とは,
建物に対する抵当権設定の登記に
建物に対する賃借権の設定登記ないし建物の引渡しが先立つ賃借権をいうほか,
建物に対する抵当権設定の登記に
建物に対する賃借権の設定登記が後れるものの,
民法387条の同意の登記を経た賃借権もあります。
ご質問の1)についてですが,土地に対する抵当権設定登記の時と
建物に対する賃借権設定登記の時を比べることに意味があるとは思えません。
当然ながら,建物の賃借権者が,土地の抵当権者から同意を得て,その登記をすることもあり得ません。
以下,興に任せて,ご質問の1)2)を含め,いくつか事例を作ってみました。
参考になりますかどうか。
3)は,法定地上権が成立せず,建物所有者が土地の占有権原を失えば,
建物の賃借権者も,土地の所有者に追い出されるということです(最判昭45.12.24参照)。
1)
甲所有の土地及び同土地上の建物について,甲は,
土地にAのための抵当権を設定し,その登記を経,
また,建物を乙に貸し,引き渡した(又は,建物について乙名義の賃借権の設定登記を経た)。
(その前後は問わない)
土地の抵当権が実行され,これをXが買い受けた。
甲の法定地上権が成立する。
→建物の所有者・貸主は甲のまま,借主は乙のまま。
当たり前だけど,甲は,乙に対し,建物を明け渡せ,とはいえない,
賃借権という建物の占有権原はそのままだから。
また,法定地上権が土地の占有権原になっているから,
Xは,甲に対し,建物を収去して土地を明け渡せ,とはいえないし,
乙に対し,建物を退去して土地を明け渡せ,ということもできない。
2)
甲所有の土地及び同土地上の建物について,甲は,
建物にAのための抵当権を設定し,その登記を経た後,
建物を乙に貸し,引き渡した(又は,建物について乙名義の賃借権の設定登記を経た)。
建物の抵当権が実行され,これをXが買い受けた。
Xの法定地上権が成立する。
→建物の所有者はXとなり,乙の賃借権は抵当権に対抗できないので,消滅する(民事執行法59条2項)。
Xは,乙に対し,建物を引き渡せ,といえる。
ただし,乙には,6ヶ月の猶予が与えられる(民法395条)。
(当たり前すぎて言うのも憚られるけど,念のため,
甲は,Xに対し,建物を収去し土地を明け渡せ,とはいえない。)
3)
甲所有の土地について,甲は,
土地にAのための抵当権を設定し,その登記を経た後,
同土地上に建物を築造し,これを乙に貸し,引き渡した(又は,建物について乙名義の賃借権の設定登記を経た)。
(民法389条の一括競売は選択されず)土地の抵当権が実行され,土地をXが買い受けた。
法定地上権は成立しない。
→Xは,甲に対し建物を収去して土地を明け渡せ,といえる。
また,Xは,乙に対し,建物を退去して土地を明け渡せ,といえる。
4)
甲所有の土地及び同土地上の建物について,甲は,
建物を乙に貸し,引き渡した(又は,建物について乙名義の賃借権の設定登記を経た)後,
建物にAのための抵当権を設定した。
建物の抵当権が実行され,これをXが買い受けた。
Xの法定地上権が成立する。
→建物の所有者はXとなるが,乙の賃借権は抵当権に対抗できるので,存続する。
買受人は,賃借権の負担が付いた所有権を取得し,
貸主の地位をも当然に承継する。
Xは,乙に対し,建物を明け渡せ,とはいえない。
(念のため,甲は,Xに対し,建物を収去し土地を明け渡せ,とはいえない。)
5)
甲所有の土地を不法に占有する丙は,同土地上に建物を築造し
これを乙に貸し,引き渡した(又は,建物について乙名義の賃借権の設定登記を経た)。
その後,甲は,土地にAのための抵当権を設定した。
建物の抵当権が実行され,これをXが買い受けた。
法定地上権は成立しない。
→Xは,丙に対し建物を収去して土地を明け渡せ,といえる。
また,Xは,乙に対し,建物を退去して土地を明け渡せ,といえる。
(これらは,甲自身も,丙及び乙に対していえたこと)
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kilroy2014 2016-03-05 03:34:24
大変詳しいご回答ありがとうございました。参考になりました。法律の勉強をしていると登場人物(A,B、甲,乙など)がたくさん出てくるのですが権利の取得、喪失などにおいて主語がわからないことが多く困っていました。
またわからないことが多々あり、質問をさせていただく際にはご指導をいただけますと幸いです。よろしくお願いします。
BUTCH 2016-03-05 09:49:05