司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

①民法 不真正連帯債務

neonext 2012-02-04 18:26:53

お世話になります。不真正連帯債務は、判例によれば、ひとりに生じた事由は、債権を満足させる事由を除き、他の者に影響を及ぼさない(相対効)ものとされています。そこで質問ですが、請求による時効中断については、他の者に効力が及びますか?請求により時効を中断させることは「債権を満足させる事由」にあたるか、あたらないか、ということの解釈が、現在の判例通説では、どっちなんでしょう?ご存知の方がいらっしゃいましたらご教示くださいませ。

 

原則として弁済(広い意味も含む)以外は当たりません。

他の者には、原則として及びません。

参考判例
最判平成10年9月10日


 甲乙は丙に対する共同不法行為者であり、その過失割合は6対4であった。ところが、甲丙間には別訴で裁判上の和解が成立し、甲は丙に対して自己の負担部分を越える和解金を支払い、丙は残債務の免除の意思表示をなした。
 本件は、甲が乙に対し、乙の負担部分についての求償金の支払いを求めたものであるが、丙が甲に対してなした免除の効力が乙に及ぶかどうかが問題となる。



「この場合、甲と乙とが負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であるから、甲と被害者との間で訴訟上の和解が成立し、請求額の一部につき和解金が支払われるとともに、和解調書中に『被害者はその余の請求を放棄する』旨の条項が設けられ、被害者が甲に対し残債務を免除したと解しうるときでも、連帯債務における免除の絶対的効力を定めて民法437条の規定は適用されず、乙に対して当然に免除の効力が及ぶものではない」
「しかし、被害者が、右訴訟上の和解に際し、乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶものというべきである。そして、この場合には、乙はもはや被害者から残債務を訴求される可能性はないのであるから、甲の乙に対する求償金額は、確定した損害額である右訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従いその負担部分を定めて、これを算定するのが相当である」



 従来より判例は、共同不法行為者の損害賠償義務について、不真正連帯債務と解する立場をとってきていた。そして、講学上連帯債務と区別して理解される不真正連帯債務関係にあっては、免除の絶対効に関する民法437条の適用はなく、したがって不真正連帯債務者のうち一人に債務の免除がなされたとしても、他の者に対してはその効力が及ばないものと解されるのが一般的であった。
 これに対して本件は、上の立場を基本的に採用しながら、不真正連帯債務関係にある他の共同不法行為者に対しても、免除の効果が及びうる場合のあることを示唆したものである。この点、本件丙が乙に対しても残債務免除の意思を有しているのであれば、乙丙間で免除の効果が生じるのはあたかも当然のように見えるかもしれないが、一般の意思表示理論からすれば、丙の免除の意思表示が乙に到達するなりせねばならないはずであって、単に丙が免除の意思さえ有していれば足りるとした点において、本件判決には独自の意義があるものと解される。
 「共同不法行為 → 不真正連帯債務 → 免除相対効」と単純な図式で理解している人は、本判決を機会にこの点を整理してみてください。

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eikuranana 2011-11-08 10:59:49

少しは、「反論」がありますか?

結局「だんまり」ですね。

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eikuranana  2012-02-04 18:26:53

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