司法書士の勉強中に発生する疑問を解決する質問広場

/刑法/因果関係

akiaki 2016-03-19 22:28:59

有名な判例で
AがBを助手席に同乗させて運転中、誤ってXに衝突させXを自動車の屋根に跳ね上げたまま、その事実を知らずに運転を続けていたところ、屋根のXに気づいたBが、Xを引きずり降ろして道路上に転落させて死亡させた場合、
Aの過失行為とXの死亡との間の因果関係は認められない。最決昭42.10.24

私の持っているテキストには
「因果関係が認められないので、Aは死亡についての責任を負わない」とあります。
ではAには何罪が成立しますか?

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akiaki様

kochanです。
貴殿所持しておられるテキストにつき、因果関係が認められないとしていますが、死亡との因果関係が何を示すのか理解できないので、回答のできないのですが・・・・それに、当該判例も不勉強なので確認していないのですが・・・記してあることからすれば、引き摺り降ろして、道路上転倒させた結果として死亡したならば、殺す又は死んでも仕方ないなどの故意性があれば、殺人罪等、殺す等の故意性がなければ、傷害致死罪が適用されるのでないでしょうか。

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kochan 2016-03-20 01:58:37

   主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人ウオーレン・ジー・シミオール、同中尾昭の上告趣意は、判例違反を主張
する点もあるが、判例を具体的に摘示していないし、また、その余は、憲法三一条
違反を主張する点もあるが、実質はすべて単なる法令違反の主張であつて、適法な
上告理由にあたらない。
 しかしながら、原判決の判示するところによれば、被告人は、普通乗用自動車を
運転中、過失により、被害者が運転していた自転車に自車を衝突させて被害者をは
ね飛ばし、同人は、被告人の運転する自動車の屋根にはね上げられ、意識を喪失す
るに至つたが、被告人は被害者を屋上に乗せていることに気づかず、そのまま自動
車の運転を続けて疾走するうち、前記衝突地点から四粁余をへだてた地点で、右自
動車に同乗していたAがこれに気づき、時速約一〇粁で走つている右自動車の屋上
から被害者の身体をさかさまに引きずり降ろし、アスフアルト舖装道路上に転落さ
せ、被害者は、右被告人の自動車車体との激突および舖装道路面または路上の物体
との衝突によつて、顔面、頭部の創傷、肋骨骨折その他全身にわたる多数の打撲傷
等を負い、右頭部の打撲に基づく脳クモ膜下出血および脳実質内出血によつて死亡
したというのである。この事実につき、原判決は、「被告人の自動車の衝突による
叙上の如き衝撃が被害者の死を招来することあるべきは経験則上当然予想し得られ
るところであるから、同乗車Aの行為の介入により死の結果の発生が助長されたか
らといつて、被告人は被害者致死の責を免るべき限りではない。」との判断を示し
ている。しかし、右のように同乗者が進行中の自動車の屋根の上から被害者をさか
さまに引きずり降ろし、アスフアルト舖装道路上に転落させるというがごときこと
は、経験上、普通、予想しえられるところではなく、ことに、本件においては、被
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害者の死因となつた頭部の傷害が最初の被告人の自動車との衝突の際に生じたもの
か、同乗者が被害者を自動車の屋根から引きずり降ろし路上に転落させた際に生じ
たものか確定しがたいというのであつて、このような場合に被告人の前記過失行為
から被害者の前記死の結果の発生することが、われわれの経験則上当然予想しえら
れるところであるとは到底いえない。したがつて、原判決が右のような判断のもと
に被告人の業務上過失致死の罪責を肯定したのは、刑法上の因果関係の判断をあや
まつた結果、法令の適用をあやまつたものというべきである。しかし、本件では、
被告人は、道路交通法七二条一項前段、一一七条の救護義務違反の刑によつて処断
されているのみならず、業務上過失致死と同傷害の法定刑は同一であり、被告人の
刑責が業務上過失傷害にとどまるにしても、本件犯行の態様等からみて、一審判決
のした量刑は不当とは認められないから、右あやまりは、いまだ原判決を破棄しな
ければ、著しく正義に反するものとはいえない。
 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり決定する。
  昭和四二年一〇月二四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
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senpai 2016-03-20 08:31:47

akiaki様

kochanです。
senpai様のご好意に感謝いたしたく存じます。

では、当該判決から、貴殿の質問に回答すると、刑法上は業務上過失致死罪を適用していることになりますね。

まず、判示は法令違反による上告理由ではあるが、その内実は量刑の軽減に終始しているに等しいので法律審の態は為していない。ということにより棄却されているとのではないでしょうかね。
下級審は被害者死亡の原因結果における因果関係を誤認しているのは明らかであるが、下級審における事実要件に対する法律要件は量刑における結果としては不当な量刑とはいえず、最高裁により当該下級審判決を著しく正義に反するものとして言及しない限り、問題はない。と言ってるんですよ。そして、上告趣意においては適法な内容ではないので棄却しますよ。ということだと思います。
余談ですが最高裁の権威が顕著に現れている判例かなとも思います。
そして、最高裁は当方の見立ての傷害致死罪の類が妥当といっているような感じはしますが・・・定かではありません。

2016.3.20 23.15 修正
今先ほど、当該判例を確認したことによる、修正を記します。
当該被害者を引きずり降ろしてたのは自動車運転者ではなく同乗者のようですね。
大変な勘違いで誠に申し訳ない誤認ですが、どうぞお許しください。

少しばかり修正をしたいと思います。
当該他人の介在があった場合における犯行で死亡したときにも、最初の過失による交通事故被害と当該死亡との因果関係は否定されているということのようですね。
しかし、そんな態様であっても、当該判例は下級審の判決を破棄しなくとも、量刑においては不当ではなく、その構成要件の該当事実は著しい正義に反することはないといっていますね。
なので、適用する刑罰は刑法上において業務上過失致死をままに適用しているという判決ですね。

失礼しました


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kochan  2016-03-20 23:32:36

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