tatsuya19 2012-01-12 21:06:38
商業登記法2回目の9の154ページにおいて、第三者割り当ての有利発行で株主総会の委任により取締役会で決議する場合の添付書面が「株主総会議事録」及び「取締役会議事録」となっていますが、昭30.6.25.-1333号の先例では株主総会議事録の添付は要しないとなっています。両者の整合性はどのように考えればいいのでしょうか?
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この通達の趣旨は、以下のとおりです。原則として、株主総会議事録を添付するが、「有利発行」に該当するかどうかは、登記官の審査対象ではないので、添付がなくても受理される、ということです。そのため、試験では、必ず添付書類としなければ、減点されます。
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eikuranana 2012-01-11 10:49:21
両者は整合しないと思いますよ。
ご存知だと思いますが、株主総会の議事録が添付書面にならないのは、特別決議を欠いていても新株発行の無効原因にならないため、添付を要求する意味がないからです。添付書面というものは、そもそも登記すべき事項の真正を担保するために必要とされるものですから、この理由付けは説得力があると思いますが、如何でしょうか。先例もあることですし、試験的には添付不要ということでよろしいんじゃないですか。学問的には、もちろん添付必要とする考えもあるでしょうが、なぜ添付が必要なのか、形式論ではない実質論に基づく説得的な論証が必要ではないでしょうか。
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jiro180 2012-01-12 02:20:39
補足をさせて頂きます。
くだんの先例は、公開会社が第三者割当を有利発行したケースの話ですよね。
会社法のルールでは、公開会社は第三者割当の株式発行をするには原則として取締役会決議でいいわけです。しかし、例外的に、有利発行の場合、取締役会ではなく株主総会にて理由を説明したうえで決定しなければなりません。(会社法199条3項、201条1項)
だからその場合、株主総会議事録添付でいいはずだし、添付すべきなんです。
でも、登記官は有利募集であるかどうかを判断するのは実質は、困難です。
それと、有利発行を株主総会決議をやらずに行った場合でも、新株発行の無効原因ではないという判例があります(最判昭46.7.16)。したがって、公開会社の第三者割り当てを有利発行でした場合に取締役会議事録を添付した場合でも、登記官は登記を受理しなければならないことになっています。
無効原因ではないから商業登記法46条2項の却下自由に該当しないということが理由です。
ここまでは、他の方の説明にもあるので、もうすでに十分お分かり頂いていることと思います。
さて、それでは、『商業登記法2回目の9の154ページ』の事例はどうでしょう?
この事例は、株主総会で募集事項を取締役会に委任した場合のハナシです。
(この規定は、どちらかといえば(試験対策上は)非公開会社でよく使われる規定ですよね。)
これはこれでちょっとまた毛色の違うハナシなんですよね~。
この場合、株主総会議事録と取締役会議事録の両方を添付しなければなりません。
(非公開会社のときもそうでしたよね。)
取締役会決議は、最初の株主総会での決議(「払込金額の最低額や発行株式数の上限等を定めてあとの細かいことは取締役会でやってね」)を前提とするものだし、期限は1年と決められているし(それも登記官の審査の対象)、なので、取締役会議事録だけを添付しても商業登記法46条2項を根拠に却下されます。
(件の先例の出る幕ナシ)
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neonext 2012-01-12 09:56:23
詳しい説明ありがとうございます。
しかし、テキスト154ページのcは、「上記bの場合には」と書いてあるので、有利発行の場面についての添付書面についての記載ではないのですか?
tatsuya19 2012-01-12 17:55:04
そうですよ。有利発行の場面です。
もう一度、じっくり考えてみましょ。
公開会社が、第三者割り当てをするときは、原則として取締役会決議です。
①:しかし、有利発行のときは、株主総会で決議しなければなりません(テキストのb)。
②:ただ、そのときも、取締役会への委任というワザが使えます(テキストのc)。
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②は199条3項を根拠とし、③は200条を根拠としています。
①だけでもいいんです。株主総会やって発行すればそれでもいいんです。
でも、公開会社は通常(有利発行じゃないケースでは)新株発行は取締役会決議でやるし、大きな会社なら(EX上場企業)新株発行ごときでいちいち株主総会で細かいことまで決められるかってなもんですわな。だから有利発行のときは②のワザを使うんです。②のケースでも株主総会を一応開きますが、有利発行の理由説明して、株数の上限と金額の下限(いくら以上何株まで)だけ決めてあとは取締役会に投げることができます。
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先例のハナシは、単に①だけの場面です。①だけのときは、登記申請する側の立場で考えれば、株主総会議事録を添付しなければならないし、他の人も言ってたように試験対策上も株主総会議事録添付でOKと思います。ただ、登記官側の立場で考えたら、もし①のケースで取締役会議事録添付で申請があった場合、却下することはできず、受理しなければならないという扱いになっています。
で、テキストのケースは①+②の2段階です。だから株主総会議事録も取締役会議事録もどちらも添付しなければならないんです。ここを見極めれば納得してもらえるかと思いますが…。
neonext 2012-01-12 21:06:38