SR 2012-01-23 15:58:26
Aは、所有する建物「甲」と「乙」が傷んできたので、工務店Bにそれらの改修を1,000万円で依頼した。Bは先ず甲を修理し、Aに引き渡したが、しかし、その頃からAが不況の影響を受け、収入が激減した。改修後もAは工事代金をBに支払っていないので、Bは留置権を理由に乙を引き渡さなかった。
(1)Aは、乙の改修工事分500万円をBに提供して乙の引渡しを要求した。この請求は認められますか?
(2)Bは、乙を利用することについて、Aから包括的な承諾を得ていたので、Cにこの一部を賃貸し、月10万円の賃料を得ていた。Bからの工事代金の請求に対し、AはCへの賃貸によって代金は一部消滅していると主張している。この主張は正当ですか?
(3)Aが乙をDに売却した場合、DはBに乙の引渡しを主張できますか?
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面白い設例ですね。自分なりの考えを書いてみます。まず前提として、BはAに対して無担保の500万円の債権(甲分の請負代金債権)と留置権によって担保された500万円の債権(乙分の請負代金債権)を有していることになりますよね。では、(1)認められると考えます。本問の趣旨を『500万円を甲債権・乙債権どちらの弁済に充当させるかのイニシアティブがAとBどちらにあるかという点である』とするならば、民488条①によってそれは債務者であるAですので。(2)これが分かりません。まず『乙を利用することについのAからの包括的な承諾』が単に民298条②の承諾であると考えます。また、『Cにこの一部を賃貸し』とありますので、仮に残部をB自身が使用していたのであれば、その使用利益=賃料相当額は不当利得としてAに返還すべきものです。(=果実とはいえない)次に、賃料については、民297条①の文言は、『留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。 』ですので、被担保債権(乙債権)に充当してもいいし、しなくてもいい。以上踏まえると、当然に充当されて消滅しているとする主張は引っかかりますね。相殺なら分かります。(3)これについては、Bは当然にDの引渡し請求を拒むことができます。一旦有効に成立した留置権ですので。
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araf 2012-01-23 10:51:53
Aが商人なら、商事留置権により、商人でなければ、民法の共同留置権の法理により、債権全額(1000万円)のため留置できる。
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eikuranana 2012-01-23 15:58:26